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合格者
努力は裏切らない?

 「谷底に突き落とされたような心境でした」
 砂田桂花が東進に入学したのは中3の冬だった。中高一貫の進学校に通いながら、勉強とダンス部の両立を決めていた彼女。だからこそ、早期スタートで大学受験への準備を計画的に進めようと考えたのだ。
 当時、東大は遠い存在で自分が受験するとは夢にも思っていなかった。しかし、東進の担任の先生との面談で「せっかくだからトップを目指してみよう」と発破をかけられたことをきっかけに、だんだんと意識し始め、受験勉強を進めるなかで「東大生になりたい」という気持ちが強くなっていった。
 人一倍負けず嫌いな性格。加えて砂田には、今までの経験から確固たる信条があった。
 『努力は裏切らない』
 育ったのは高尾山の麓にある自然豊かな町。競争や受験とは縁遠い環境だったが、砂田の適性を見抜いた母の薦めで小4から塾に通い、一番行きたかった中学に見事合格した。
 「勉強は好きで、親にやらされていると思ったことは一度もありません」
 目標に向かって努力し、結果を出すことの爽快感、達成感。中学受験の成功をきっかけに砂田は、さまざまなことへ旺盛に取り組んだ。
 「学校の勉強は大学受験に必要かどうかに関係なく、全科目どれも手を抜かずに一生懸命やりました」
 部活はダンス部に所属し、部長に任命されてからはパフォーマーとしてはもちろんのこと、約70名の部員を率いてリーダーとしても奮闘。常にやるべきことに追われる毎日だったが充実していて、そんな自分が誇らしくもあった。
 ところが無情にも大学受験によってその自信を打ち砕かれる。砂田は東大と難関私立大の2校を受けて全敗。センター試験利用で私立大1校に合格していたが、東大入学しか頭にない砂田は、目の前が真っ暗になった。
 「不合格 という現実を受け入れたくなくて、思考停止状態でした」
 その様子を見ていた母から、こう声をかけられた。
 「次の道を見つけなくてはね」
 そして、合格発表の翌日、背中を押された砂田は新宿校の説明会に参加したのだ。

東大に行くと決めたのは誰か

 新宿校への入学はほとんど即決だった。
 「この時は、次こそ絶対東大に合格してやる!という気持ちでした。だからこそ、信頼できる東進の授業と学習システム、そして慣れた環境で勉強したかったのです」
 あと一歩及ばず不合格だったものの、この3年間東進で学習したことで、間違いなく学力は伸びていた。だからもう一度同じ環境で頑張ることに決めたのだ。とは言うものの、当初、砂田は完全に立ち直りきれなかったという。現役で合格した同級生への敗北感が、心に重い影を落としていたからである。
 「彼女達と比べて努力が足りていなかったとは思えない。むしろ、もっと努力していた自負もある。それなのになぜ私が不合格なのか」
 4月。そんなある日のこと。担任助手の野原に学習相談をしていたとき、砂田はふと弱音を吐いてしまった。
 「もう東大なんてどうでもいい」
 野原は砂田が目指す理科一類で学ぶ東大生だ。彼はきっぱりと言った。
 「俺はもしまた不合格だったとしても、三度目も挑戦してやるぞという気持ちで勉強していたよ」
 はっとした。いつまでも周囲との勝ち負けにこだわっている自分がちっぽけに思えた。
 どうせやるならトップを目指す。東大理科一類に行くと決めたのは自分だ。砂田は再び前を向いて走り出した。

浪人して身についた力

 砂田にとって本科生としての受験勉強は、現役生のときのそれとは異なるものだった。
 苑田先生の物理は「この世の現象を数式で語る」という物理の本質に基づいている。実は、砂田は現役生のときに受講済みであった。数値を公式に当てはめるのではなく、公式そのものを導き出すやり方に戸惑う人も多いが、「比較的スムースに理解できた」と思っていたそうだ。
 「でも、それは表面的な理解だったことに気がついたんです」
 1つは仲間の存在だ。
 現役のときは、わからない問題に直面すると解説を読んで自己完結していた。あるとき、担任助手に質問して考え方を共有する機会があった。すると「理解が曖昧な箇所」が浮き彫りになったのだ。「人に説明できなければ本当に理解したとはいえない」と身をもって知る機会となった。
 同様に数学も現役時代とは全く違うアプローチになった。青木先生の授業、その特徴を一言でいうと「俯瞰」だ。問題の意図を見抜くところから始まり、修得してきた全分野の中から適切な考え方を選んで問題を解く。それはまるで魔法の道具箱で作品を創造するような軽やかさだった。これらの科目が飛躍的に伸びた「共通の要因」は、「一問一問にじっくり向き合った」ことだそうだ。
 現役のときは効率を重視するあまり、少し考えてわからないとすぐに解答を見ていた砂田。しかし、本科生には現役時よりも十分に時間がある。自分の頭でとことん考える訓練を重ねることで、難問に屈しないタフな思考力がみるみると鍛えられたと同時に、効果的な解法をひらめく直感力が培われた。

挫折を乗り越えて

 「月に一度のホームルームでは、校舎長の古岩井先生から“合格可能性を上げる勉強”を徹底的に指導されました」
 合格可能性を上げるための勉強とは、①自分の学力を総合点で把握し、②勉強が足りていない科目・分野を見極め、③優先順位をつけて補強していくものだ。
 砂田には古岩井から東大本番直前にかけてもらった忘れられない言葉がある。
 「今年は合格しないと困るよな」
 一見突き放しているように思えるが、砂田を見守り、性格や学習状況を熟知した人物だからこそ言える言葉だ。砂田は、信頼してもらっていることが嬉しかった。

 2月下旬。二度目の東大本番入試は一年前と全く異なるものとなった。鍵となったのはやはり数学と物理。一日目の数学は6問中4問を確実に解くという戦略だ。仮に2問は手をつけなかったとしても、合格点に確実に届かせる。
 「自分でも驚くほど落ち着いていました。解答までの道筋がはっきりと見えました」
 物理も数学同様に解法や出題者の意図が浮かんだのはもちろんのこと、「普通に勉強してきた人ならここまでは解けるけど、ここから先は解けないな」というところまでわかる余裕さえあった。

 2020年3月10日、合格発表日。砂田は8時に起床。合格者は大学のウェブサイトで12時から発表される。自信はあったものの、一瞬一年前の悪夢が頭をかすめた。しかし、これまでの一年間を思い返し即座に打ち消した。リビングで苑田先生の『大学への物理』を受けながら その時 を待つ。そばで母が家事をしている。
 「母は無関心を装っていましたが、気になって仕方がないのが伝わってきていました」と笑う。
 12時になったのを確認してアクセスを試みた。混んでいてなかなかアクセスできない。10分ほど経ってようやく通じた。理科一類の画面へ急ぐ。速くなる鼓動。
(・・・あった)
手元の受験票と照らし合わせて、母に言った。
「あったよ」「えー!すごいじゃん!」
母と二人、一年越しの喜びを噛みしめた。
 一年前は想像すらしていなかった浪人生活を「もう一年挑戦してよかった」と砂田は振り返る。『努力は裏切らない』と再び信じられるようになったのだから。「現役の時は“わかったつもり”になっていました。もう一年、勉強と徹底的に向き合う時間ができて、真の理解ってこういうことだったんだと気がつきました」
 そしてこう続けた。
「もしも現役で東大に合格できていたとしても、以前の自分ならそのあと挫折するような出来事に遭遇したら屈してしまっていたかもしれません。でも今の自分なら何があっても乗り越えられるって思えるんです」