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2020年6月16日 15:36

東大生の2Sセメスター

お久しぶりです。あっという間に2年になってしまいました、理科二類の石川です。ちなみに「お久しぶりです」は中国語で「好久不见」と申します。"Long time no see"という文法的にはめちゃくちゃな慣用表現がありますが、このフレーズ、実は中国語を直訳して生まれた言葉なのですね。 

そんなトリビアはともかく、みなさま、自粛生活はいかがお過ごしでしょうか。一時期に比べれば制限も緩和されてきているとはいえ、満員電車に乗ったり、人通りの多い道を歩いたり、といったことには、まだ抵抗がある方も多いのではないかと思います。東大特進コースでのライブ授業も順次再開していますが、事情も事情ですので、なかなか出席するのが難しい、という方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。 

東大特進コースの各校舎では、入室前の検温や消毒の徹底など、対策としてできる限りのことを行っていますが、不安に思ったら無理をせず、体調管理に努めるのがいちばんだと思います。もし欠席された場合でも、ライブ授業には東大生スタッフが出席して授業のノートをとっており、その日の分のコピーを後日お渡しできますので、校舎に来られるようになったら、受付に気軽に声をかけてくださいね。その他、心配な事やご相談などありましたら、お気軽に東大特進コースの各校舎までお電話ください。

 さて、話は変わって、今回のテーマは、「東大生の2Sセメスター(=2年の前期)」についてです。「東大生っていつも勉強に追われていそうなイメージがあるけど、忙しくない学期ってあるの?」と問われれば、ほとんどの東大生からは「2S」という答えが返ってくることでしょう。必修地獄の1年と、進学先決定後の濃縮カリキュラムが待ち受ける2Aセメスターにはさまれた、つかの間の楽園、2Sセメスター。本日はその秘密に迫ります。 

(おそらく)ご存じの通り、東大では入学してから1年半を教養学部(前期課程)の学生として過ごした後、2年生の夏に行われる「進学選択」(通称「進振り」)によって、残りの大学生活を過ごすことになる、後期課程の学部を決定します。正式に後期課程の学部に所属するのは3年生になってからなのですが、実際には2年のAセメスターから、ほとんどの学部で専門科目の授業が行われています。普通の大学では4年間かけて学習する内容を、東大では2年半で終わらせなくてはならないわけですから、必然的にスケジュールは過密なものになり、(もちろん学部学科にもよりますが)後期課程の学生はそれはそれは忙しい毎日を送る、というより、送らざるを得ないわけです。

 後半がそんなに忙しいなら前半、例えば入学したての1年生はヒマなのか、といえば、断じてそんなことはなく、駒場の名物ALESA/ALESSや、いやがおうにも履修が必須の第二外国語などをはじめとする、それなりに多くの必修科目(+少しの選択科目)をこなすことになります。特に理系は必修の量がとんでもなく多く、1年生の間は週12コマが必修で埋まってしまいます。一部の例外を除けば、一週間に受講できるコマ数は15コマまでですから、自分の興味の赴くまま、好きな授業を受講するのにあてられる時間は、せいぜい週3コマ程度、ということになります。「東大は専門分野の勉強に入る前に前期課程があって、そこでは自分の好きな授業を好きに取ることができます♪」なるうたい文句は、少なくともそれが理系に対するお言葉なのであれば、景品表示法スレスレのラインを行っている、と言っても過言ではないでしょう。

 ここまで、なんだか東大に対するネガティブキャンペーンでもしているかような紹介が続いてきましたが、しかしながら、それでもなお、東大での生活に楽園は残されています。それが2年のSセメスター、通称「2S」です。 2Sを迎えた瞬間、それまで1年間、ずっと時間割表を圧迫し続けてきた必修の授業たちがことごとく消え去ります。後に残るのは、無限にも思える履修の自由と、あふれんばかりの自由時間。あと理系なら、生き残りの必修が少々。東大生にとっての2Sは、まさしく広大なる砂漠の中のオアシス、身も心も疲れ切った東大生たちの前に突如として現れる地上の楽園とでも呼ぶべきものでありましょう......。 

半分は冗談ですが、半分は本当です。「前期課程は1年半」とはいいながらも、実際には1年生の間に要求単位のほとんどを取り終えられるようなカリキュラムになっています。2年のSセメスターは、1年生の間に取りこぼした単位を回収したり、進振りに使う点数をさらに高めたりするための期間だと認識しておけば問題ないでしょう。逆に言えば、その気になれば2Sに履修する授業数をほとんど0にすることだって可能です。実際にそのような計画を立てる人も一定数おり、アルバイトや旅行、留学など、思い思いの活動をして充実した日々を送っているようです。 

最後に、もっと詳しく具体的に知りたい、という方のために、科類別に、標準的な2Sセメスターの暮らしぶりをご紹介したいと思います。

 ・文科一類
 1年生と比べれば格段に余裕が生まれますが、それでも他の科類ほど暇ではありません。なぜかというと、法学部の専門授業が2Sから始まるからです(2年半で足りる訳なかろう!という法学部の教員のお怒りが聞こえてきます)。法学部の授業はふつう本郷で開講されるのですが、2年生対象のこの講義は駒場で行われるので、これらの授業で不可をとってしまった場合、3年生になってからわざわざ駒場に戻って単位を回収しなくてはなりません(俗に「駒バック」とか呼ばれたりします)。ただ、文二や文三と異なり、文一生はほぼ間違いなく法学部に進学できるので、単位さえ取り切れていれば、この時期に進振りを気にする必要はそれほどありません。

 ・文科二類
全科類の中で最も自由を謳歌できるのはほぼ間違いなく文二といえるでしょう。1年生の間に必要単位を全て取得し、なおかつある程度の成績をとれていれば、2Sの間は何もすることなく経済学部に進学することさえ可能です。授業を何も受けることなく、悠々自適の生活を送る姿から、「文ニート」と揶揄されることも......。ただし、全員が無条件で経済学部に進学できるわけではなく、この生活が出来るのは、ある程度の成績を取ることができた人に限られます。1年生の間に試験で失敗した人は、この期間を使って必死に点数を上げることになります。 

・文科三類 
例年合格最低点が低く、他の科類に比べて入学しやすいぶん(2020年入試は違いましたが)、どこに行くにもそれなりに高い点数が必要となってくるのが文科三類です。人気があり、必要点数も高い学部(後期教養学部や法学部など)に進学するために、2Sも真面目に授業を受け、進振り点を0.1点でも高めようと努力している人が多い印象を受けます。文ニート的生活もやろうと思えばできますが、割合はそれほど高くないと思われます。 

・理科一・二類 
人によっては進振り点ももちろん気にしなくてはいけませんが、それ以上に無視できないのが、必修科目「物性化学」「生命科学(理一のみ、理二の生命科学は1年生の必修)」の存在です。何がそんなに問題なのかというと、実はこの授業、「単位を落とすと留年が確定してしまう」んです。必修授業のうちほとんどは1年生の期間に固まっているので、仮に不可をとってしまったとしても、翌年に再履修することにより挽回できる(もちろん、一発で単位取得した場合よりも点数は下がりますよ)のですが、この授業は2年生向けなので後がないのです。多くの先生はこの事情を知っていて、救済なども手厚いのですが、万が一、容赦のない評価を下してくる教員(俗にいう「大鬼」)に当たってしまうと......?まあ、普通に勉強していれば単位は来るので安心してください。

 ・理科三類 
カリキュラム自体は基本的に理二生と同じです。ただし、理三の場合は医学部への進学がほとんど確定しているに等しいので、点数を気にする必要がなく、前述の必修も、「可」以上を取れていれば全く問題ない、ということになります。他学部への進学を志望しない限りは、いわゆる「進振り難民」になることもほぼありません。入試で頑張ったご褒美というやつでしょう。ウラヤマシイ 

いかがでしたでしょうか。東大生は、入学するまでは言わずもがなですが、実は入学してからも1年間は結構忙しい日が続きます。楽しい大学生活を渇望される受験生のみなさまは、ぜひこの2Sのことを心に留め、励みにしてみてください。

「この艱難辛苦の先には、必ずや2Sの悠々自適ライフが待っている!」

ほら、頑張れる気がしてきませんか?
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