さて、自分の進振りについての詳しい話は機会があればまた別の機会に書くことにして、今回の本題に参りましょう。
模試の目標点数についての話が出ると、「高2の間は英数メインなので、地歴理科の点数はあまり気にしなくていいですよ」と言われることが多いのではないでしょうか。ここで言いたいのは、それが間違っている、ということではなく、「じゃあ英数国だけ受ければいいじゃん」とお思いの方はいらっしゃらないだろうか、という話です。「まだできないんだから受けんでいいわ」というなら素直に納得できそうな話ですが、なぜそうではなく、「得点は気にしなくていいから受けるだけ受けてみなよ」と言うのでしょうか。私の見立てでは、それは、できないながらも地歴理科も受験することによって、「ゴールを知っておく」ことができるからなのではないか、と思います。
模試を受ける前から、「東大の問題は難しいから自分じゃまだできない、あとでできるようになってからやればいいや」と決めつけてしまうのは、あまり好ましい姿勢ではありません。東大の地歴理科の問題は、(少なくとも、日本最難関の大学の入試問題、という響きから想像するほどには)難しい問題ではないですし、それに、全範囲できるようになっている頃には、過去問などを解くのに忙しくて、去年の模試を解きなおしている時間などなくなってしまっていることがほとんどです。
模試の地歴理科において、すでに学習した範囲の問題(たとえば、力学の前半部分や、世界史の第3問の一部など)を解いてみると、思ったほどには難しくない、時間さえあれば結構できそう、という感想をもつ方が意外にも多いのではないかと思います。だいたい力学の最初の問題とか√2ghって書いときゃ当たりますしね。未習範囲についても、「こんなに簡単そうな問題も出るんだ」ということだったり、逆に「この問題は絶対捨て問だろ」のようなことも、おぼろげながらでもわかるのではないでしょうか。
これが、「ゴールを知っておく」ということです。
また、「今は他の部分がわからないから、この大問に70分かけて解いているけど、本番ではこの部分は20分ちょっとで終わらせなくてはならないんだな」というようなこともわかるはずです。「時間配分のゴール」とでも呼ぶべきものでしょうか。
おそらく、東大の問題がどのような感じなのかわからないまま闇雲に勉強するよりも、「最終的にはあれくらいの問題をあれくらいの時間配分で解けるようになればいいんだな」というビジョンを持って勉強するほうが、より効率よく、なおかつ安心して取り組むことができるでしょう。これが、今のうちから模試の地歴理科を受けておく最大のメリットであるといえます。
現役生の地歴理科は、これからの1年でメキメキ伸びていきます。勉強を進めて既習範囲が広まるにつれて、模試や過去問の点数もだんだんと取れるようになっていくので、安心して勉強してください(実際には、学習範囲が広くなるにつれて制限時間がカツカツになってくるので、学習範囲と点数が比例関係になるわけではないのですが......まあこれに悩むのも来年になってからの話です。今はそんなこと気にせずに勉強してください)。今はいい点が取れなくても心配ありませんし、そのことを怖がる必要もありません。だから、今のうちから地歴理科も臆せず受験してみましょう。東大入試における「ゴール」のようなものを体感することができたなら、それだけでも受験した価値は大いにあった、と言えるのではないでしょうか。
コメントする