こんにちは、二年生の文科Ⅰ類の歌代彩花です。ブログには初登場です。
ユーザー (#12)2015年8月アーカイブ
2015年8月31日 14:34
英語を母語に近付ける
2015年8月27日 17:38
リラックス法のご紹介
2015年8月21日 14:31
進振りについて
2015年8月20日 14:57
経済学部(完結編)
2015年8月18日 18:01
夏休み、ラスト2週間!
「夏模試から、何か成長したのだろうか。」
秋模試の頃、みなさんの多くはこう思うことでしょう。
「受験の天王山」たる夏休みを経て、受験本番までの中間地点。
現役生たるもの、実力は大幅に伸び...ているわけでもないんですね。
みなさんも耳にしたことがあるかもしれませんが、
「現役生がいちばん伸びるのは、直前期」
です。
なぜ、夏休みに、毎日こ~~~んなに一生懸命みなさんが勉強しているのに、
学力は、最後の最後の直前期まで!伸びてくれないのでしょうか。
※ちなみに、直前期無双伝説の信憑性は、高い気がします。
あくまで一例ですが、二次文系数学で1ケタを覚悟していた私の成績は、直前1か月で突き上げられるように伸び、本番で52点(...数学がとても苦手な人にとっては驚くべき点数です...)を獲得しました。
答えは、夏や秋の時点では、まだ学習内容の内在化が完了していないからです。
世界史の教科書を一周読んで、完全に理解したところで、一問一答が解けるようになるわけではないし、自分で論を組み立てられるようになるわけでもありません。
教科書を読み、問題を解き、論理を自分の声で話せるようになること。
人生はよく螺旋階段に例えられますが、ここでも同じことが言えるのではないでしょうか。なかなか、根気のいる過程です。
みなさんがするべきは、これに「淡々と向かい合う」ことです。
状況を悲観する必要もないし、きちんと最終目標までの課題さえ整理できているならば、心を揺さぶられずにただ、学習を進めてゆくまでです。
もちろん、自分の弱みに対しても、目を背けずに淡々と向かい合いましょう。
そうやって、螺旋階段をタンタンッと駆け上がってゆくことが、ここからの半年間に求められるんじゃないかな。なんちゃって。
そんなわけで、夏模試で得た様々な気づきひとつひとつにも、正面から向かい合ってください。
リスニングの問題チェックを、何分で終わらせたら、時間が足りたのか?
あと30分早く会場に到着して古文単語をさらっていたら、あの失点を防げたのではないか?
先輩たちの合格体験記をめくってみるのも、より実感を伴って読むことができて、良いかもしれません。
そのあとは、ただ学習を重ねること。
話し相手がほしくなったら、東大特進コースに電話してみましょう!
小さな悩みでも構いません、自分の学習状況を整理して報告するだけでも、目の前の道のりが透き通って見えることでしょう。
みなさんが、長い道のりに潰されずに、元気にこの夏を走り抜けていってくれますように。
文学部4年の月野でした。
(社会学を勉強しています。興味のある人は、声をかけてね。社会学はおもしろいぞ!)
2015年8月17日 10:30
夏模試お疲れさまでした☆
2015年8月14日 17:38
世界に飛び立て!
2015年8月 7日 17:22
経済学部(勉学)
暑い。伊沢です。
明日はいよいよ一発目の東大模試・駿台実戦ですね。
私から言っておきたいことは、「漫然と受験してはいけない」という一点に尽きます。
多くの受験生にとって、夏の早い時期というのはまだ十分に勉強が仕上がっていない期間です。しかし、それを言い訳に使うようでは前途が思いやられます。
真にこの機会を活かすのならば、「完全に理解している所、勉強したけど忘れた所、勉強していない所」の境界をはっきりさせ、今後の勉強の指針とすることを目標に受験して下さい。そのために、本番中でも点数に夢中にならず、完全にわからない所や忘れていたところには、後から復習した時にわかるよう印をつけておくことをお勧めします。
以上を実践するために最低限本番前にやっておいてほしいことは、どのような順番で解くか、どの問題を捨てどの問題に時間を掛けるかという戦略をしっかり立てて臨んでください。おたおたしている間に終わってしまっては完全に無駄です。
模試は模試です。特にこの時期、初めて東大形式での実戦に臨む人も少なくないでしょう。点数などは二の次です。私も夏の判定はCとDでした。でも受かっています。
大事なことは何よりも復習。全国のライバルとの位置関係を探り、現在地を知るベンチマークとして今回の模試を味わい尽くしてください。
ということで本題。以前書きました導入の続きとして、経済学部で具体的にどのような勉強が行われているかをご紹介します。
前提としてですが、経済学部の授業は二年の冬学期から始まります。二年の冬学期の間は、基礎的な8科目を全員が共通で受けることになります。ミクロ経済学、マクロ経済学、経営、会計、経済史、統計、マーケットとファイナンス、経済原論の8つです。このうち6つの授業に関して単位の取得を求められます。全ての授業は2コマぶっ続けで授業が行われ、それが週八。単純計算で週に24時間張り付きです。
これらの科目が終了したら三年からは本郷で選択制の授業+ゼミになります。この時期は他学部の授業を取得することも可能で、二年冬に比べると若干楽になります。
では、ここらへんで具体的な勉強内容に触れていきましょう。
まずは良く耳にするミクロ経済学とマクロ経済学の違いについて。
ミクロ経済学は、「個人の行動」に焦点を当てます。価格の上昇、税制の変化、生産量の増加などがどのようにして経済に影響を与えるかを見ていきます。
ミクロ経済学をツールとして用いるジャンルには、公共経済学や農業経済学、財政学などがあります。私自身も財政学のゼミに入っているのですが、そこでは色々な種類の税の掛け方によってどのように個人の行動(消費の意欲、就労の意欲、政府の税収、社会的損失etc.)が変化するのかを学んでいます。税に限らず、保険や公共施設など様々なサービスの値段や分量は、このようなミクロ経済学に基づいて設計・提供されているのです。
ミクロ経済学を深く学ぶ上で欠かせないツールが、興味のある方も多いと思われるゲーム理論です。(ゲーム理論によってミクロ経済学が発展し、ミクロ経済学の発展に伴って公共・財政なども伸びる、といった構造になっています、なんとなくですが。)
このゲーム理論というジャンルは学問としての歴史が浅く、ナッシュ、セルテン、ハーサニーという三人の学者が1994年にノーベル経済学賞をゲーム理論家(Gamer)として初めて受賞、というようにその成果が応用され出したのはここ数十年のことです。とはいえ、人間の競争と情報の非対称性を理論化し、経済競争の分析におけるフロンティアを開拓した点でとってもとっても価値のある学問です。
詳しく歴史を述べてもしょうがないので、期末テストの過去問から何問か簡単に紹介します。
「東西に延びる1kmある砂浜に、全く同質のサービスを提供するアイスクリーム屋が二軒、同じタイミングで出店する。砂浜には等間隔で顧客が位置しているとし、アイスを買う場合は必ず近い方の店でアイスを買う。来店する確率は(1-自分の位置と近い方の店との距離)である。
①今、もう一軒の店が半分より西側に立地する時、自分の店はどこに出店することが最も望ましいか。
②二軒の立地におけるナッシュ均衡解(Nash-Equilibrium)を全て求めよ。」(ホテリングの立地ゲーム)
「企業Aが占有している市場に企業Bが参入を計画しているとする。まず、企業Bは参入するかしないかを選び、参入しないことを選んだ時点でゲームは終了し、A、Bの利得ベクトルはそれぞれ(4,0)となる。参入を選んだ時、企業AとBはそれぞれ<高価格戦略、低価格戦略>のどちらかを選択する。利得ベクトルは、<高、低>→(-3,3)、<高、高>→(2,2)、<低、低>→(1,1)となる。この時、両者の部分ゲーム完全均衡を全て求めよ。」(不完全情報ゲーム)
「上において、Bが参入した際、Aのみが競争的戦略か協調的戦略を取ることが出来るとする。前者の時利得ベクトルは(5、-2)、後者の利得ベクトルは(3,3)となる。この時、両者の最適戦略の組を記せ。また、競争的戦略をとったときの利得ベクトルが(2、-1)となった場合ではどうか。」(この問題は皆さんでもできます!暇なときチャレンジ!)
「AとBが1mの金の延べ棒を分け合うゲームを考える。まず、Aが自分の取り分xA1を提案する。Bがこれで納得した場合、取り分は(xA1、1-xA1)となる。納得しない場合、BがxB1を提案する。Aが納得した場合、取り分は(1-xB1、XB1)となる。これで納得しなかった場合、次にAがxA2を提案し、納得した場合は(δxA2、δーδxA2)となる。δは割引因子であり、δ∈[0,1]である。これらをどちらかが納得するまで繰り返し、1期ごとに割引因子が乗算されていく。このとき、二人の取り分はどのように決まるか。」(相互提案ゲーム)
「AとBの二人がオークションを行う。より高い価格を入札した方が商品Xを手に入れるが、その時の買値は低い方の入札額となる。どちらも自然数の範囲で入札額を決定することが出来、Aにとって商品Xの価値は2.5、Bにとっては5.5である。二人の戦略は入札額とし、双方の戦略は同時に提示される。また、以上の条件は全てABともに既知であるとする。この時、均衡での戦略の組を求めよ。ただし、入札額が同じであった場合、両者は商品を半分ずつ受け取り、半分ずつ額を支払うとする。」(ベイジアンゲームにおけるSecond-Price Sealed Bid Auction)
などなどなど。どうでしょう。皆さんの心をくすぐるやたらと長い用語がバシバシ出てきますよ。これらを学ぶことで、様々な経済学上の現象を数学的に説明できるようになるのです。
そう、ゲーム理論はもはや「数学」です。文系とはとても思えません。というより、ゲーム理論家のほとんどが本業は数学者です。経済学は根本のところでは数学と不可分です。数学恐怖症だけど経済に興味があるという人は、是非高校数学でつまづかないよう実力を磨いてください。
長くなってしまったので、答えが気になる(物好きな)人は伊沢まで聞きに来てください。時間がある時解説いたします。
さて次にマクロ経済学について。ミクロに比べて学問的に新しいこの分野は、経済学上の巨人・ジョン=メイナード=ケインズによる「ケインズ革命」により開かれた学問です。主に、税収増や国際的な取引、金利や貨幣量の変化が、国の経済(需要と供給、貿易量などなど)にどのような影響を与えるのかを解き明かしていきます。分野としての新しさゆえに曖昧な部分が無くはない学問であり、ミクロよりも難しいというのが第一印象です。
とはいえ現在の最先端はマクロ経済学であり、人気の高い学問でもあります。マクロ系のゼミは総じて選抜の競争率が高く、特に女子率が高い!という点も注目です(今年度は珍しくゲーム理論の松井ゼミが一番人気でした)。
リーマンショック以来の停滞的な国際経済、株価の動向、国際の理論などなど、やはりニュースで聞く多くの問題はこの学問で解き明かすことが出来ます。私はこのジャンルがとーっても苦手なので、あまり詳しい解説や理論の紹介をすると間違いが出そうなのでやめておきますが、興味がある!という方はお声掛け頂ければテキストなどお見せいたします。何が苦手って、短期なり長期なりモデルごとの設定がややこしくてそのたびに説明理論が変わるんだもの......。
はじめに、が劇的に長くなってしまいました。ということで、続きを次回に譲りたいと思います。次あらば、私が専門的に習っている財政学や、統計の面白さについて、さらにはここで紹介できなかった経営や金融についても軽くご紹介しようと思っております。
模試、落ち着いて頑張って下さい。遅刻だけはしないように。ではまた後日。
2015年8月 7日 16:45
駿台東大実戦模試、応援しています
こんばんは。
初めてブログを書いています、東大特進スタッフ2年、理科2類の住田有子と申します。
明日はいよいよ、駿台東大実戦ですね。拙筆ながら激励文を書こうかと思います。
明日の模試は基本的に、皆さんにとって初めての大型東大模試となります。これまでの模試と桁違いの量の東大受験生が受験する本模試は、今後の皆さんの学習の指針となるものです。よく復習して最大限に活用していただきたく思います。
緊張している方もいるかと思うので、そんなときのためのおまじないをお伝えします!
それは、どうしよう...と思ったとき、自分で自分のお腹をさすりながら、「だいじょーぶ、だいじょーぶ」と自分に言い聞かせることです(笑)
私は模試も入試もあまり緊張しなかったのですが、プレゼン等人前に立つのが苦手で、そのときはこのおまじまいをかけます。とてもよく効きます。騙されたと思って使ってみてください(*^^*)
それでは、今日は少し早めに寝て、明日は実力を発揮してくださいね。甘いものが好きな人はお菓子も買っていくと良いでしょう!たくさんのライバルの姿を見て、この人たちと一緒に東大生になるんだなとワクワクしながら乗り切って下さいね。応援しています。
2015年8月 6日 19:30
English Camp!
こんにちは!法学部3年の勅使河原です。
3年生による学部紹介がしばらく続いてきましたが、
私の所属する法学部については、先日平山君が記事を書いてくれたので
この流れを思い切って切ります(笑)。
そこで、今回はまさに今日私がお手伝いをしてきた、
東進イングリッシュキャンプ2015
についてお話しします。
イングリッシュキャンプについて、皆さんは知っていますか?
今年初めて、高1・2生を対象に実施された、
1週間まるまる朝から夕方まで、英語漬けの体験をしよう!というものです。
具体的には、3~4人のグループごとに英語でディスカッションやプレゼンテーションをしたりと、様々なアクティビティに取り組みます。
なんと朝10時から夕方5時半までのキャンプ活動中は日本語禁止!どこに行っても誰と話しても英語であふれています。
更にこのプログラムのすごいところは
ハーバート大・コロンビア大・シカゴ大・UCLA(カリフォルニア大学ロサンジェルス校)などなど
アメリカの名立たる大学から学生を招いており
各班に一人ずつ、先生として彼らがついてくれるところです!!
世界トップレベルの学生ですが、彼らはとても気さくで明るく、丁寧に生徒たちを指導していました。
ちなみにプログラム4日目の今日は
自身が大学で学んでいることについてアメリカ人学生がプレゼンテーションし、
それについて質疑応答や班でのディスカッションをする、という内容でした。
ハーバードなどでどんなことを勉強するか、学生から直接聞けるなんて、いかにも面白そうですよね(*^^*)
明日は最終日ということで、一人一人自分の書いた原稿でのスピーチを披露するそうです。
そんなプログラムのお手伝いをして私が抱いた感想は、
日本の高校生だって、英語でも話せる!もっともっと自信を持って話していい!
ということです。
今日イングリッシュキャンプに来ていた生徒たちは
キャンプ中、コミュニケーションをとるのに英語を使うほかないので
とにかく思ったことを、何とか英語にして口にしていました。
もちろん文法的に正しい英語を話す子は少ないし、単語の使い間違えも多々あるけど
言わんとすることはアメリカ人学生にもほとんど全て通じていたし
しかも例えば質疑応答でのその発言内容が、アメリカ人学生も驚くほど鋭かったのです。
これを見ていて私は、英語はやはりコミュニケーションのためのツールに過ぎないし
日本の高校生は、そのツールを使おうと思えば使えるだけの力をつけているのだなぁと思いました。
きっとこれを読んでいる高校生の皆さんのなかにも、
英語は好きでよく勉強するけど、スピーキングは苦手、という人は多いと思います。
高校の授業ではなかなかスピーキングの練習が十分にできないので
当たり前といえば当たり前ですよね(^^;)
でも、ライティングの練習をしている皆さんは英語で自分の考えを表現する力をきちんと蓄えています。
多少の間違えは仕方ないと割り切って(ネイティブだって話し言葉の文法は決していつも正確ではないくらいです)、
恐れず英語という自分のツールを使って欲しいなぁと思います(使わないのはもったいない!)。
といっても高校時代に英語でコミュニケーションをとる機会も少ないと思うので
もしまたイングリッシュキャンプのような英語漬けになれる機会を見かけたら、
ぜひ飛び込んでみてくださいね。
言葉は使えば使うほど磨かれるし、磨けばスキルとしてきっと自分の役に立ちます!
ではでは、まだまだ暑さが続きそうですが、くれぐれも体調を崩すことのありませんように(*^^*)
2015年8月 3日 19:30
経済学部(紹介)
暑い。伊沢です。
流れ的に学部紹介をする感じです。頑張って書きます。
私が所属しているのは経済学部です。よくあるアレですね。「就職に有利」「砕けた雰囲気」がよくあるレッテルです。真偽のほどは後に譲るとして、今回はうわべを撫でる程度に経済学部について語ってみたいと思います。
Ⅰ.概略
東京大学経済学部は、一学年約300人から成ります。経済学科、経営学科、金融学科の三つに分かれますが、特に各学科ごとに決まったものを履修するというものではなく、フリーに授業を取ることもできます。もちろん、他学部の授業も受講可能です。
経済学部の特徴は以下の通り。
①単位が取りづらい
多くの授業が出席やレポートではなく試験に重きを置いており、試験一発勝負により単位認定が行われます。自分の時間が欲しい人間にとってはこの上なくいい制度ではありますが、その分学期末の試験はヘビーです。
多くの科目は、週二コマ×13週間=26コマから成ります。一コマは105分です。45時間30分です。付け焼刃の試験勉強では到底かないません。
上で挙げた構成の授業は、可以上の評価で4単位を手にすることが出来ます。卒業までには88単位が要求されます。授業にフルで出たと考えると、1001時間です。16日半くらいですね。あれ、意外と短い?
授業の内容もヘビーなものが多く、半数以上の授業で数学ⅢC以上の知識を用います。この間の授業では「二位価格オークションにおける売り手の期待収入」を求めるために重積分(∬)をやらされました。自主提出の宿題は解答を書くだけで軽く5000字オーバー、それが6-7回行われます。文学部の多くの授業が(2単位ではあるけれど)4000字以下のレポートで単位をくれることを考えると、なかなかどうして経済学部とはチャラそうなイメージに反してへヴィーなことをしているということが分かるのではないでしょうか。
これら26コマを乗り越えて、いざ学年末のテスト、となりますが、これがまた厳しい。今季の僕はテスト対象の5科目が二日間に集中し、試験二週間前くらいからは勉強に次ぐ勉強の日々でした。一夜漬けする暇も与えられていません。もちろん救済のレポートなんてものもありません。その場で理論を運用できないものはいずれまた勝機を逃す、Time is money.こそが経済の通念なのです。
②就職率が高い
東大は進学振り分け制度の影響もあり、理系を中心に院進率の高い大学です。そんな中にあって経済学部は院進率12パーセントと、10人に一人しか院に進まない、という特異な状況にあります。法学部生がロースクールやら司法試験浪人やらで長く学問に留まるのに比べると、文系とはいえ皆社会に飛び出していく学部なんだというのが分かります。
東大経済というブランドは就職でも有利に働く(らしい)し、OBたちが築き上げた強固な学閥によって就職情報は絶えず供給されています。学部棟にいてもやれESがどうだ、お祈りがどうだ、ベンチャーだ外資だ商社だとうるさいくらいに聞こえてきます。いい会社に行く!という意思が、経済学部を貫く一つのテーゼだと言っていいでしょう。
ちなみに私は院への進学を目指しています。けっこう、生きづらい。
③ゼミ
経済学部と言えば「ゼミ」です。ほぼすべての学生が、学部所属の教授が開くゼミに所属しています。毎週二時間ほど、あるテーマに沿って発表をしてディスカッションをしたり、みんなで演習をしたり、はたまた教授の熱い講義を聞いたりして、専門的な知識をより深めていきます。巨大な学部であるがゆえにお互いに知り合う機会の少ない経済学部ですが、このゼミでは同期と、先輩と至近距離で議論し合うことになり、数少ない交友の場となります。
同じ目標に向かって勉強する相手がいるというのは本当に素晴らしいことで、超多人数での講義と自学自習が求められる厳しい大学の学問において、数少ない勉強の指針になってくれます。
私自身、所属しているゼミは財政学について学ぶものですが、ゼミ終了後には有志で統計解析ソフトを使った演習を行ったりしています。この統計解析というジャンルはとても面白いのですが、詳しく書いてしまうと長く長くなってしまうので後日に譲りたいと思います。
色々かいていたら結構な長さになってしまいました。幸い夏休みは一杯勤務に入っているので、合間を縫って続きを書いてみたいと思います。次は経済学部での具体的な勉強について、サラッと紹介する予定です。ではまた後日。
2015年8月 2日 17:40
マイノリティから見た東大法学部
こんにちは、東大法学部第三類三年の平山です。久々の登場になります。
暑い日が続きますが、皆さんいかがお過ごしでしょうか。
さて前回、前々回の記事で工学部と医学部が紹介されていましたので、負けじと今回は東京大学法学部について紹介したいと思います。
とは言いましても、普通の法学部紹介では面白くありません。なので今回は"第三類"というマイノリティの視点も交えながら法学部というものを見ていきたいと思います。
さて、皆さんは法学部が類に分かれていることをご存知でしょうか。第一類(私法コース)、第二類(公法コース)、第三類(政治コース)に分かれ、概ね一類が司法試験を目指し、二類が公務員試験を目指すというようになっております。コース間の垣根は低く、途中で転類する方も多数います[i]。
この三つの類の中で最もマイナーなのが三類です。私の学年には30人程しか在籍していません。高校の一クラスよりも少ないですね。
そもそも政治コースが法学部に存在していること自体おかしいという意見があります。法学と政治学は無関係とは言いませんが、全く別の学問であることは間違いありませんし、政治経済学部のような別個の学部を設置している大学も少なくありません。このことによりどのような帰結が生じているのかも、以下で若干触れることが出来ればと思います。
①法学部の授業
まずは法学部の授業について概観します。その特徴としては、大教室、一方通行、演習の三つが挙げられるでしょう。
まず大教室です。法学部の授業は受講者数がとにかく多い! 法学部には約400名在籍していますが、必修の授業(例えば民法や憲法)では全員強制履修です。単位を落とす方も一定数いますので、履修者数が600名を超える科目もあります。試験の時には巨大な教室の中に詰め込まれることになります。
次に一方通行です。法学部の授業の殆どは教授が延々と喋るスタイルです。黒板もそれほど使いません。授業中に質問することも多くの場合難しいです。先生の話を延々と聞いて、評価は試験一発勝負というのが法学部です。
最後は演習です。所謂ゼミですね。もちろん演習にも様々な形態がありますが、教授の下で学部生と院生合わせて10~20名ほどが議論をしながら勉強していくというスタイルになっています。まるで通常授業の埋め合わせをするかのように、演習では様々なフィードバックを得ることが出来ます。
私自身は法哲学演習に参加していました。英語文献を毎回30ページほど読んできて、担当者が報告を行い、それを基に議論するというスタイルでした。これを通じて実質的な憲法改正についての理論的考察を行ったのですが、知的刺激を多々受けることができました。演習の為だけにでも、法学部に来る価値はあると思います。
さて、具体的な授業の内容に関してもざっと説明しておきましょう。
法学部の授業は大きく実定法、基礎法学、政治学、経済学に分かれます。
実定法とは民法や刑法のように、法学部と聞けばふつう想像するような科目です。
それに対し基礎法学とは法制史や法哲学といった分野になります。この基礎法学の分野が充実していることも東大法学部の特徴と言えましょう。
政治学は日本政治や比較政治のように所謂政治に関わる学問です。
経済学は経済学基礎や財政学のように経済に関する科目です。経済学部との合併授業なこともあります。数はたいして多くありません。
これから分かる通り、法学部は実定法が中心であっても、案外多岐にわたる授業を行っています。他学部の授業も若干なら単位に含めることが出来る[ii]ということもあって、幅広い勉強をするには意外と法学部は向いているのかもしれません。
三類の学生については政治学系の授業を中心に取ることになります。ただ民法などは必修なので実定法でも取らざるを得ませんし、政治学系だけでは取得単位数が足りないので結局は法学乃至経済学も学ばなければならないということになります。
参考までに具体的な授業をいくつか紹介したいと思います。
先ずは憲法です。これは法学部生全員が必修なので受講者がとても多い科目になっています。また、大教室で行われるにも関わらず、現在担当されている教授の方[iii]がとても声が小さいため、リスニング能力が試される授業です。因みに三類の私からすると法学なのに必修のため、非常に厄介な科目になっております。常日頃から法律に触れている方々と闘う訳ですから大変です。
次に日本法制史です。これは基礎法学の科目です。古代から近世にかけて日本の法がどのように存在していたのかを時代の流れに沿って検証していく授業です。高校日本史の土台に当たるような部分を学ぶことで、歴史理解が深まる授業でした。
次に日本政治外交史です。これは三類のみの必修です。幕末から第二次世界大戦に至る日本の政治史を概観するという内容です。知識的には高校日本史に毛が生えたような程度ですが、最新の研究を反映した歴史解釈を知ることが出来ます。例えば高校教科書では日露戦争へ至る過程が[日露協商論―満韓交換論]vs[日英同盟論―満韓不可分論]という構図で捉えられていると思いますが、最近の研究ではどうも違うらしいということが主張されているようです。
最後に経済学基礎を紹介しましょう。これは経済学の本当に基礎的な部分を紹介する授業になっています。数式も殆ど出てきませんし、正直簡単なのですが、経済学入門としては優れた授業になっています。
思ったより長くなりましたが、授業に関しては以上です。
②法学部での勉強
法学部での勉強は大きく資格勉強、試験勉強、その他に分かれると思います。
まず資格勉強です。これは司法試験に向けてと公務員試験に向けての勉強に分かれます。多くの学生がどちらかの受験を考えており、常日頃から勉強しているようです。実際法学部生の勉強熱心さには私自身驚かされます。残念ながら私はあまり詳しくないのでこれぐらいにしておきます。
次に試験勉強です。これはとても大変です。シケプリ[iv]が400枚を超えることもあります。試験範囲は一科目に付き教科書一冊という感じです。覚えるだけでも相当しんどいです。
また、法学部のほとんどの授業は試験のみで評価が決まります。不可を大量に出す先生もいます。もちろん単位を落としても来年取ればいいのですが、落とし続けると留年です。なので皆必死で頑張ります。
さて、実は三類は(あくまで相対的にですが)他の類よりも試験が大変ではありません。というのも政治系の科目の方が分量的にも内容的にも実定法系の科目よりも楽だからです。なので楽だから三類にするという不純な人間も存在します。
しかしデメリットもあります。必修で実定法の科目が他の類より重たくなるのです。具体的には民法です。民法は第一部から第三部まで全科類共通の必修で、普段は法律に触っていない三類の生徒からすればとても困った科目になります。それに政治学と民法は特に関連をもたないので、三類の生徒からすれば兎に角不条理であるということです。
最後にその他の勉強です。人によっては資格試験や法学部の試験対策以外にも勉強しています。やる気さえあれば学部試験や資格に関わらない幅広い勉強を行えるところが法学部の最大のメリットであると個人的には思っています。何しろ特に資格も目指していなければ、試験前以外は基本的に余裕があります。授業も出席が必須ではありません[v]。それなら時間は十分ありますし、身近には資料が沢山あります。勉強したい放題ですよね!
ということで具体的には私的な勉強会を行ったりします。1人で勉強するよりみんなで勉強した方が楽しいという訳です。実際、議論を通じて理解は深まるので私もいくつかやっていました。例えばノージック読書会[vi]やアガンベン読書会[vii]です。
ここで察していただけたかもしれませんが、私は所謂政治学とはずれたところに興味関心があります。つまりマイナー中のマイナーなわけですが、そんな人間でも十分やっていけるというのがこの法学部の素晴らしいところであります。もちろんしっかり単位を取得できればの話ですが(笑)。
以上が法学部での勉強です。他学部に比べると大変らしいです。
③法学部生の進路
これに関しては簡単に紹介します。
まず最近では過半数の学生が民間就職します。なので法学部=法曹or官僚というのは間違いです。ただ民間といっても就職先は多岐にわたります。コンサルや商社、金融などが比較的多いのでしょうか。外資に就職する方もそこそこいます。
次に法曹を目指す方も一定数います。大体100名程度でしょうか。多くは一類の方です。在学中に司法試験に合格される方もいますが、多くは法科大学院に進学します。大学とは別に予備校に通う方も多く、皆さんとても勉強されています。
官僚を目指す方も勿論います。大体7,80名といったところでしょうか。多くは二類の方です。彼らも国家試験に向けてとても勉強されています。
また研究者になるべく大学院進学[viii]を目指す方もいらっしゃいます。とはいえ他の大学院と比べて狭き門であると専ら言われています。成績が相当良くないと進学できないらしいです。
さてマイノリティの三類の方々の進路はどうなっているかというと、やはり多くは民間就職です。ただ公務員も案外います。また、人数の割に研究者志望の人も多いと言われています。
因みに私ですが、絶賛悩み中です。最早悩んでいる場合ではないのですが悩んでいます。「平山さんはこういうの向いてると思う!」という意見がありましたらアドバイスして下さい(笑)。
④法学部の雰囲気
最後に法学部の雰囲気を少しばかり伝えたいと思います。
一般によく言われるのは、法学部は砂漠であるということです。確かに人間関係は希薄になりやすいです。基本的に大人数での授業ですし、そもそも授業に来ない人も多いです。新しい友達はなかなかできません[ix]。また、資格試験を目指す人が多く、学部の試験も厳しいため、勉強するのが当たり前という風潮があります。
但しこのような暗い側面ばかりではありません。例えば演習に参加すればゼミコンパなどが開かれ、ゼミ生同士で仲良くなれる可能性もあります(あくまで可能性です)。また法学部には法律相談所や三類懇親会[x]といったサークルが存在します。このような団体に所属すれば交友の輪が広がる可能性もあります。
因みに三類はせいぜい30名程度なのだからみんなと知り合いになれるかといわれると、そんなこと全くありません。類が一緒で必修が被っていても、特に交流はありません。なので結局のところ知り合いを増やすにはそれなりの努力が必要になります。
以上、東京大学法学部について簡単な紹介をしてみました。ところどころで三類視点が混じっていて鬱陶しかったら申し訳ありません。ただここで伝えたかったのは、法学部は確かに試験が厳しく人間関係も希薄になりがちだけれども、意外と自由に振る舞うことが出来るということです。法曹になるべく勉強に邁進してもよければ、三類に進学してのんびり政治学を学んでもいいわけです。法学部の人気が落ちているというような話もありますが、法学部も案外捨てたものではないのではないでしょうか。
最後になりましたが、暑い中大変でしょうが、受験勉強頑張って下さい! 夏模試での皆さんの健闘を願っています。
[i]現在法学部ではカリキュラム改革が行われており、2017年度進学者からコースが再編成されることになります。但し大枠としては変わらないと思われます。詳しくは東京大学法学部ホームページをご覧下さい。
[ii] 現在では12単位まで卒業単位に含めることが出来る。
[iii] 皆さんが進学される頃には退官されていると思います。
[iv] 学生が協同し作成する非公式の試験対策プリント。法学部では講義録の形式で作成されることが多い。
[v] 教授の中には生徒時代授業に出たことがなかったために授業の仕方が分からないとおっしゃる方もいるそうです。
[vi] ノージックの主著『アナーキー・国家・ユートピア』を輪読しました。最小国家の正当化並びにそれを超える国家が正当化できないことを証明しようとした著作です。
[vii] イタリア現代思想を学ぶべくアガンベンの主著『ホモ・サケル』を輪読しました。ホモ・サケルは殺害可能かつ犠牲化不可能な存在です(これ以上説明しません)。
[viii] 法科大学院とは別です。総合法政といって研究者を目指す方が進学します。
[ix] 因みに私の場合、法学部進学後友達は一人しか増えていません。まぁ特殊例なのかもしれません(笑)。
[x] 因みに三類懇親会は他の類でも所属できます。