お久しぶりです......と言おうとしたら、実は先々週も記事を書いておりました。二週間ぶりでございます。まあどっちにしろお久しぶりか。理科二類2年の石川です。
学校の授業も段階的に再開しているほか、都立高校も全面再開したようですね。かつての日常をすぐに取り戻すことはなかなか難しくても、一歩一歩進んでいけば、いつかは元通りの暮らしができるようになる、と信じてやっていくしかないのでしょう。不安に思うのはあなただけではありません。誰だって同じです。
一方、大学はどうなんだ、と申しますと、少なくともSセメスター(4月~7月)の間は、全ての授業がZoomを用いたオンライン形式で行われ、成績評価についても一部を除いてオンライン試験、または期末レポートによる評価で行うことがすでに決定しています。なんで高校より再開遅いの、と言う声も聞こえてきそうですし、特に今年入学した1年生はまだ1回しか駒場に行けておらず、友達にも会えていない、ということで非常にかわいそうな状況なのですが、大学が決めたことですのでどうしようもありません(もちろん、大学側としても苦渋の決断だったであろうことは想像に難くありません)。いつかはかつての日常が帰ってくる、と信じて日々を過ごすしかない、というのは、結局大学生にとっても同じことなのです。
さて、暗い話はこのへんにして、ここからは明るい話をすることにいたしましょう。先週書いた、2Sセメスターについての記事はお読みいただけましたでしょうか?「東大に入ったら遊びつくすぜ!!」というモチベーションの方にはうってつけの内容かもしれません。小山くんがここからさらに話を広げ、特に文科生について詳細に記事を書いてくれたので、そちらも未読の方はぜひ。
いよいよ本題です(遅筆なクセに前置きが長くなる悪癖は一生治りそうにありません。もうあきらめました)。
今回のテーマは、履修登録をしていない講義に出席して授業を受ける、いわゆる「モグリ」とよばれる受講方法についてです。「なんでわざわざそんなめんどくさいことするの、おとなしく履修登録すればいいのに」とお思いの方もいらっしゃるかもしれませんが、ところがどっこい、話はそれほど簡単ではないのです。
東大の教養学部前期課程では、文一~理三の学生向けに、とんでもなく多種多様な授業が開講されています。それゆえ、興味が少しでもあるものを片っ端から受講登録していると、早かれ遅かれ自分のキャパシティーを超え、にっちもさっちもいかなくなってしまいます(もっとも、実際には、そのようなことに陥ることがないよう、週の履修上限が設けられているのですが)。それだけではありません。このブログでも前々から幾度となく取り上げてきましたように、推薦入学以外の東大生は、2年の夏に進学選択(進振り)を受けることになります。この進振りと言うシステムの存在が、モグリについての話をさらに複雑にしています。
代表的な理由は、以下のようなものです。
・進振りの戦略上、履修登録しない方が有利
上でも述べましたように、前期課程の学生向けの授業は、数がとても多いです。あまりに多いがゆえに、中には、高成績が期待できるにもかかわらずあまり興味をそそられない授業や、逆に、非常に面白いにもかかわらず、テストが難しかったり、課題が重かったりして、得点が期待できない授業も存在します。前者は点数が欲しい人だけ黙って取ればよいので特に問題はないのですが、後者を履修するかどうかは大変な悩みどころです。下手をすれば、面白い授業を楽しく受けたし勉強も頑張ったのに、この科目のせいで進振り点が下がって、行きたい学部に行けなくなった、なんてことにもなりかねないわけですからね。
・履修の都合上、登録できない授業を受講できる
前期課程の学生向けの授業が非常に多い、というのは再三申し上げている通りですが、そうはいっても、全ての授業が、全ての学生向けに開講されているわけではありません。例を挙げれば、総合科目(必修ではなく、ある程度自由に選択できる授業)の「ベクトル解析」や「有機反応化学」は2年生向けの授業なので、制度上、1年生は履修することができません。また、「法」「ことばと文学」などの文科生向けの授業を理科生が受講することも、現行の制度では認められていません。
もう1つ、東大の前期課程には、「同一曜限に複数の授業を登録できない」という規定があります。例えば、自分のクラスの時間割で、月曜1限に必修授業が入っていたとすれば、月曜1限に開講されている、その他の講義を履修登録することは許されていません。2019年度の時間割でいうと、火曜2限や金曜2限などは、特に人気の総合科目がひしめく激戦区だったため、そこに必修がかぶって、狙いの授業を履修登録できず、悔しい思いをした人もいたんだとか。
さて、なぜ東大生の一部はモグリを行うのか、および、前期課程においてモグリを行うメリットは何なのか、について、お分かりいただけましたでしょうか?
また、最後に、読者の方がこの記事に従ってモグリを行ったことによって発生した(もしくは発生しうる)、いかなる被害、不利益その他につきまして、こちらでは一切の責任を負いかねる、ということをいちおう申し添えておきます。
では、また。