Q.失恋で切り替えることができません。
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広島大学大学院教育学研究科博士課程後期修了,博士(心理学)。専門は,社会心理学,パーソナリティ心理学,教育心理学。著書に‘Teach psychology with a sense of humor: Why (and how to) be a funnier and more effective psychology teacher and laugh all the way to your classroom’(Curious Academic Publishing,2021年,共著)など。論文に‘The light and dark side of self-directed humor: The development and initial validation of the Dual Self-Directed Humor Scale (DSDHS)’(Personality and Individual Differences, 157, 2020年,共著)など。人間関係におけるユーモアや笑いの機能を幅広く研究している。
ー失恋したことを忘れるのが大切なんですね。思い出さない状況にするのがいいということは、失恋した相手のことを悪く言って、憂さ晴らしをすることもよくないのでしょうか。
失恋のことで思い出す内容には大きく分けてネガティブなものとポジティブなものの2種類があります。ネガティブなものが思い出されれば、好きだった人の愚痴などを友人に聞いてもらい憂さ晴らしをするかもしれませんし、反対にポジティブなものが思い出されれば、その人との楽しかった思い出に浸るようなこともあるでしょう。この2つは、失恋をした多くの人がとる行動ですが、どちらの行動もストレスを強めてしまい失恋からの回復を遅らせてしまう可能性が高いです。つまり、「思い出す」という行動が、失恋によるストレス反応を強めると考えられます。
例えば、失恋をして腹が立ったときに、サンドバッグに好きだった人の顔を貼り付けてパンチをするとスッキリしそうな気もするじゃないですか。マンガやドラマなどでよく見かけると思いますが、このような行動をとると攻撃性が増してしまい余計に腹が立ってしまうことが分かっています。
ー一見、憂さ晴らしができそうなのにストレスが増してしまうのですね。
「思い出さない」ということが大切です。失恋した当初は、1日のうちの20時間くらいその人のこと考えてしまうかもしれません。ですが、なるべく思い出さないようにして時間の経過を待っていると、いつの間にか20時間考えていたものが10時間になり、10時間が3時間になり、その人のことを考える時間が短くなってきたなぁ、と思っているうちに、新しい恋愛が始まるのではないでしょうか。人間には自然治癒力が備わっているので、それにあやかって時間が解決してくれるのを待ってみるのはどうでしょうか。というか、本質的にはそれしか解決策はないのかもしれませんね。
ー結局は時間が解決するというのはあるかもしれませんね。ですが、十分な時間が経過する間も、勉強は進めなくてはならないと思います。その期間の対処法は何かありますか?
勉強もまた一つの回避する方法として挙げられると思います。深く考えるような問題を解くのは難しいかもしれませんが、英単語の暗記作業などをしていれば、これも一つの回避行動になるのではないかと思います。
例えば、若いうちは風邪をひいて免疫を作ったほうがいいとも言われますよね。それと同じで、恋愛でも若いうちにある程度痛い思いをしていたほうが勉強になるし、大切な経験になると思います。また、悲しい想いをすることがあることを含めて、恋愛の醍醐味だとも思います。時間とともにいい経験をしたな、と思えればいいのではないでしょうか。
ー失恋したこと自体を思い出すことがマイナスになることは知りませんでした。貴重なご意見をいただきありがとうございます。