Q.”好きになる気持ち”と”匂いが好き”はどっちが先?また、女性によって匂いが違うのはなぜ?
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1989年東京大学農学部農芸化学科卒業後、渡米し、ニューヨーク州立大学ストーニーブルック校化学科でPh.D.取得。その後、デューク大学博士研究員として、のちにノーベル化学賞を受賞するRobert Lefkowitz教授の元でGタンパク質共役型受容体の研究に従事。1996年に帰国。東大助手、神戸大助手、東大助教授を経て、2009年より現職。日本帰国以来、一貫して匂いやフェロモンの嗅覚研究を推進。2012-2017 JST ERATO東原化学感覚シグナルプロジェクト研究総括兼任。日本学士院学術奨励賞、日本味と匂学会賞、国際Right Awardなど授賞。共書として「ワインの香り」(虹有社)など
好きだから匂いも好きになるケースが多い
その人が好きだからその人の体臭・匂いも好きになるケースの方が多いです。見た目や会話をしていく中でその人を好きになり、仲良くなるにつれて、だんだんと物理的距離が近くなり、体臭を感じるようになるという順番だと思います。なので、匂いが好きだからその人を好きになるというケースは少ないと思います。一方で、見た目が好きでお互いの価値観や話が合っているにも関わらず、付き合い始めて距離感が近くなると、どうしても体臭が気になるというケースもあります。それがきっかけで別れてしまうときもあるようです。
また、辛い別れをするとその匂いが嫌いになってしまうこと事もあります。例えば、好きな人がつけていた香水がすごく好きだったけれど、別れた後にその香水の匂いが嫌いになってしまうということが起きます。匂いは不思議なもので、元々の好みもありますが、好きという気持ちによって匂いに対する好みも変わるのです。
人それぞれ匂いは違う
女性によって匂いが違うのは、代謝によるものです。女性だけでなく男性も一人一人匂いに違いがあります。この代謝は遺伝子がベースであり、遺伝子は人それぞれ少しずつ違うので、代謝も少しずつ違います。その結果として代謝経路から生まれる体臭も一人一人異なってくるということですね。そのため、一卵性双生児は遺伝子が全く同じなので、基本的な体臭も全く同じになります。また、食生活によって体臭が変化することもあります。
このように匂いには個人差がありますが、ホルモンや性差によって男性的な匂いと女性的な匂いといった違いも生じます。
匂いの好みは先天的な要素と後天的な要素で決まる
動物は、基本的に生存戦略として強い遺伝子を後世に残そうとするため、自分の遺伝子型と離れたタイプの遺伝子型、つまり体臭が異なるタイプの遺伝子型を持つ者を選びます。
一方で、遺伝子型の近い親の匂いを小さいころから嗅いで育ってきたことで安心感を得て、その安心感が後天的に獲得された匂いの好みになっていくことがあります。このように、匂いの好みには動物的な要素と後天的な要素が関係していますが、この両方が合わさって元々の匂いの好みが決まるのではないかと考えられています。