Q.モチベーションが維持できない。
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86年東京大学教育学部卒。93年東京大学大学院教育学研究科博士課程単位取得退学。法政大学文学部教育学科専任講師・助教授や東京大学教育学部非常勤講師などをへて、2003年法政大学キャリアデザイン学部新設にともない助教授。07年より現職。法政大学キャリアデザイン学部長(2010年~2012年)。法政大学教育開発支援機構FD推進センター長(2013年~2014年)。総長室付大学評価室長(2015年~2016年)。教育開発支援機構学習環境支援センター長(学習ステーション長を兼務。2018年~現在)。日本教育学会理事を歴任。現在、日本キャリアデザイン学会理事(研究誌編集委員会)。著書として、『夢があふれる社会に希望はあるか』(ベスト新書)、『キャリア教育のウソ』(ちくまプリマー新書)を出版している。
人間は自分だけのために働くわけではありません。働く理由として、もちろん収入や自分が成し遂げたいことを実現するためなど個人的な側面はありますが、自分の仕事で社会が回るという社会的側面も重要です。この両側面について考えてみましょう。
自分が成し遂げたいことを見つける
まず、個人的な側面を考えましょう。最初に自分が大事にしたい価値観や成し遂げたいことを考えてみてください。それを探すために自身の強みや性格を分析したり、当たり前だと思っていることに疑いを投げかけたりして自分にとって何が大事なのかを考えてみてください。その大事なことを実現させるために必要なことは何なのかなどを考え、少しずつ中身をはっきりさせましょう。 社会で果たしたい役割を考える。
次に社会的側面を考えましょう。働くことには、分業が進んでいる中で他の人ができない仕事を請け負うという社会参加の一面があります。社会は、各自が自分の役割を果たし、ほかの人に自分ができない仕事をやってもらうことで成立しています。そのため、自分が社会の中でどんな役割を果たしたいかを考えることは重要です。自分が大事にしたい価値観や成し遂げたいことを実現することで、社会にどう貢献できるのかを考えてみましょう。
一方、このように将来について考えるときに注意すべきこともあります。
将来の夢は「ざっくり」と、近い将来のことは「具体的」に考える。
人生設計に遠近法を使いましょう。中高生という早い段階で遠い先まで具体的に定めすぎると視野が狭くなります。これは早くから多くの可能性をつぶし、関心が変わったときに方向転換しにくくなる原因にもなります。そのため、夢はざっくりと考え、臨機応変に対応できるように留めるのがいいでしょう。つまり、「何歳のときにどの会社でどんな仕事をしたいか」ではなく、「地元の発展に貢献したい」や「モノを作りたい」というぐらいのイメージを持つようにしましょう。
一方、近い将来のことは極力具体的に考えておくべきでしょう。例えば、受験生でしたらどの大学のどの大学でどんなことが学びたいのか、その理由も自分の中で明確にするのが望ましいです。近い将来は可能な限り具体的に決め、遠くなればなるほどざっくりと考えることで将来への安心と多様な可能性の維持が両立できるでしょう。
このように、適切な具体性を持たせながら働くことの個人的な側面と社会的な側面の双方を繋げて考えることが将来のことを考えることになります。