Q.心の中で人を見下してしまいます
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早稲田大学文学学術院教授。名古屋大学教育学部教育心理学科卒、同大学院教育学研究科博士課程修了。博士(教育心理学) 中部大学人文学部の講師、助教授、准教授を経て、2012年より早稲田大学文学学術院にて准教授、14年より現職。専門はパーソナリティ心理学、発達心理学。
多くの人にとって、自尊感情を維持しようとしたり高めようとしたりすることは自然なことです。自尊感情とは、自分自身を評価の対象とした時の全体的な肯定性のことを意味します。言い換えると自分自身を「好ましい存在である」と考える程度のことです。自尊感情がある程度の高さにあることは、自分をポジティブに捉えていることを指しており、多くの人はそうなりたいと考えるということです。
そして、自尊感情を維持し、高めるにはいくつかの方法があります。たとえば、自分の理想に自分自身を近づけていくことです。自分の現状が理想に近ければ、もちろん自尊感情は高まりますし、理想からかけ離れていれば自尊感情はなかなか高まりません。もうひとつは、他の人と比較することです。自分より劣った人と比較することは、自分を「あの人よりまだマシ」だと捉えることを意味します。
とはいえ、自分よりも劣った人と比較したとしても、自分の自尊感情がそこまでうまく高まるわけではありません。なぜなら、比較の対象が「劣った人」(自分が劣っていると考えている人)なのですから、それは自分自身が自分の理想に近づいたわけではないからです。すると、ついつい、いつも自分よりも劣った人を探してしまうようになります。
過去の自分との比較が今の自分を成長させる
自尊感情は、必ずしも人と比べなくても高めることができます。そのひとつの方法は、過去の自分と現在の自分を比較してみることではないでしょうか。他の人と比べる中で自分の位置を確認して安心するのではなく、自分自身の中で成長を実感してみてはどうでしょうか。