Q.拒食症から過食気味になりお腹がはちきれそうになるまで食べてしまいます。
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神奈川大学人間科学部、准教授。2007年早稲田大学大学院人間科学研究科修了。 摂食障害、食行動異常、身体像不満足感、自己意識について研究。
焦らずに向き合っていきましょう
いろいろと課題も多くあるかも知れません,辛いこともあるかも知れません。なんとか生活を送る中で、もしあなたの心に傷つき(それはもしかしたら気付くことができないものかも知れませんが)があるのなら,その心の傷をゆっくりと癒していくことができると,とても良いと思います。勉強も手につかないくらい食べ吐きしてしまうということの理由は多種多様で,唯一これといったものはないと思います。したがって、心の傷も人それぞれです。苦しい時に苦しいということはとても大切なことです。専門機関への相談は必要でしょう。
受験期ということでストレスもたまると思います。しかし、自分を責めたり、焦る必要はありません。悩みや心の傷というのは,癒そうと思ってすぐに癒すことができるかというと,難しいものです。逆に、時が経てば自然と解決されていたり、癒えているということもあります。今すぐに癒そうと焦る必要はありません。難しいことは先送りしてもいいという意識を持って,「がんばっているんだよ」「大丈夫だよ」と,自分に“OKサイン”を出してあげてください。
時間をかけてあなたの心の傷を埋めていきましょう
一般に拒食症と呼ばれる神経性やせ症と、過食症と呼ばれる神経性過食症は繰り返すことも多く,食べることができない状態から過食になってしまうというのは珍しい話ではありません。あなたがなぜ食べない、食べ過ぎてしまうのかは,今回いただいた質問からだけでは十分に知ることは難しいと言わざるを得ません。しかし、摂食障害に特徴的ともいえる,全く食べない、食べ過ぎる、食べてから吐き出したり下剤を乱用したりするという行為は、見方によっては自分で自分を傷つける自傷行為に類似するものととらえることもできます。
全く食べないことや、ものすごくたくさん食べて吐き出すという行為は単なる食行動の問題ではなく、自分自身の心の問題をはらんでいる可能性があります。だからこそ苦しい思いをしているのだと思います。まず必要なのは、今あなたが食べ過ぎるといった行動の背景にある心の傷を埋めていくという作業です。時間をかけて、しっかりと癒していくことが重要です。それは,自分ひとりの力ではとても大変なことかも知れません。あなたを支えるたくさんの手があること,あなたのことを聴きたい耳があること,あなたに寄り添うことができる人がいることを思い出してください。