Q.不潔恐怖症になってしまいました。どうしたらよいでしょうか?
この方が回答してくださいました!
防衛医大卒。防衛医大病院、自衛隊中央病院、自衛隊仙台病院(復職センター兼務)、埼玉県立精神神経医療センター、薫風会山田病院などを経て、早稲田メンタルクリニック院長。 精神保健指定医、精神科専門医・指導医 2018年4月から早稲田メンタルクリニック開業 2019年12月からYouTube開始 普通の町医者でしたが、現在登録者数15万人 精神科医インフルエンサーとして、精神疾患の偏見を減らす・早期発見早期治療・見ている人の心を癒す、を目標に頑張っています
ひどい体験をされましたね。まず、手が痛いほどに洗うのはもう病院へ行くレベルです。ですから精神科に受診し、治療をするのが良いと思います。不潔恐怖症における精神科の治療では、暴露療法という治療をします。薬物治療としてはSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)というものが主です。
前者の暴露療法というのはカウンセリングの中で行われるものですが、これは自分の中で一番汚いものとぎりぎり耐えられるものを10段階で分けて作り、耐えられるものから徐々にチャレンジし、慣れていくというものです。 例)以下の表のように自分で決めていきます。
難易度高
10 電車のトイレを使う
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7 駅の自販機でジュースを買う
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3 コンビニでジュース買う
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1 家のトイレを使う
難易度低
家のトイレで手を洗うことを10分間我慢し、それができるようになったらコンビニでジュースを買い、それができるようになったら…という風に、楽なものから始めて段々レベルを上げてチャレンジをしていくという治療です。暴露療法の本質は「少しずつ慣れていくこと」です。しかしこれはひとりで行うのはなかなか難しいので、家族と協力して行っていくのが良いと思います。
誰かに話してみよう
家族に相談できていない場合は、自分のタイミングで良いので相談できれば良いのではないかと思います。
とにかく人に話すというのが一番治療になります。人間の本能的に、誰かに話して問題を共有していると負担は結構取れるものです。例えば、テスト前になると友達とみんなで「全然勉強してない」という風に言い合ったら楽になるでしょう。それをしても実際は成績が上がらないけれど、楽にはなる。悩みを言えないということが一番辛いと思いますから、勇気を出して言ってみることが大切です。
精神科を通院すると、家族の協力のもと不潔恐怖症の治療を進めつつ、同時に痴漢をされたというトラウマに対する治療も進めていきます。恐らく家族にも痴漢されたことなどを言いにくいとは思います。しかし、意外と親世代の人たちにとっては電車での痴漢が今よりもよくあるものだったりしました。ですから親は驚きすぎず話を聞いてくれると思います。同級生などには言えないかもしれないけれど、上の世代の人に言うと、話に共感してくれると思いますよ。
今は10代で思春期だからお母さんに告白するのはハードルが高いかもしれないですが、これが20代や30代になるとお母さんは気が合う女友達のように関係性が変化していきます。なので、10代というのは母と娘関係が変化する準備段階でもあります。もし可能ならば、変化する良いきっかけだと思って相談してみてください。 トラウマについても、基本的には時間が経てば良くなると思うので、そこは安心してください。
心配してくれる友達には、「心配してくれてありがとう。でも今原因は言えなくて、元気になったら言えるから、ちょっと待っていてほしい。」という旨を伝えればよいのではないかと思います。