Q.異性の目を気にしてしまいます。異性の前でも緊張しない方法を教えてください。
この方が回答してくださいました!
筑波大学第二学群人間学類卒業、筑波大学大学院博士課程心理学研究科単位取得退学、博士(心理学)。 茨城大学教育学部講師、准教授、教授を経て、現在は茨城大学大学院教育学研究科教授。 専門は、教育心理学・発達心理学。著書に「TK式コミュニケーション力を高めるワーク」など。
相談者の方は高校1年生なので、思春期・青年期に該当します。第二次性徴のため、この時期には異性への関心が高まります。したがって、男性でも女性でも異性の目を気にするようなるので、相談者の方の悩みは、この時期の誰もが経験する悩みであり、個人特有のものではありません。
異性の前で緊張しないためには、まず第一にこの事実を知ることです。つまり、「自分だけが悩んでいるのではない」、「周囲の同年齢の女性や男性も同じだ」と知ることで、「悩んでいる自分がおかしいわけではない」と思えたり、「悩んでいる自分を認める」ことができるようになります。それによって、不安な気持ちが和らいだり、緊張がほぐれるのではないでしょうか。
段階的にクリアしていこう!実践すればできるようになります。
第二に、心理学では、人間関係も練習次第という考え方(ソーシャルスキル)があります。ソーシャルスキルでは、人間関係や心理的問題を技術論で捉えます。ソーシャルスキルでは、最終的な目標を「異性の前で緊張せず会話ができるようになる」とした場合、最初からそれを実行することは難しいので、その目標に到達するまでの目標を簡単なレベルから何段階かに分けて、少しずつ実行していきます。例えば、まずは「同性の友人といろいろな会話をする」という目標を立て、実行する。それがクリアできたら、次に「身近な異性の同級生とあいさつができるようにする」という目標を立て、実行する。それがクリアできたら、「異性の同級生と簡単な会話をする」という目標を立て、実行し、最終的には自分の目標に到達する方法です。このような方法をスモールステップと言い、心理学以外の分野でも使われています。
ソーシャルスキルは実践しないと身につきません。言い換えれば、ソーシャルスキルは運動と同じように繰り返し練習して獲得することができます。また、ソーシャルスキルが身についていない人は、対人関係がぎくしゃくするため、人との関わりを避けようとしますが、それによってますますソーシャルスキルの獲得が困難になるとういう悪循環に陥ります。したがって、まずは、簡単な目標を決め、実行することをお勧めします。
否定的な考え方から肯定的な考え方に変えていこう。
その他に、「対処の自己会話」という方法もあります。人前で緊張しやすい人は「他者とうまく接することができないのではないか」などのような否定的な考え方をしがちです。言い換えると、人前で緊張しやすい人は否定的な自己会話(自分自身との会話)をしていることが多いのです。否定的な自己会話が始まったら、自分でストップをかけ、「大丈夫、自分ならうまくやれる」など、意識的に肯定的な自己会話に置き換えることによって次第に自分の考え方や行動を変えることができます。