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Q.自分に自信が持てません。自分にはいい所がないのかな、と感じる時もあります。そんな時の対処方法を教えてください。

自分に自信が持てません。自分にはいい所がないのかな、と感じる時もあります。そんな時の対処方法を教えてください。 (中1男子)
自分の中にある不合理な信念に気づき、自分を受け入れることで、新たな良いところが見えてきます

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茨城大学大学院 教育学研究科教授
わたなべ れいじろう
渡部  玲二郎 先生

筑波大学第二学群人間学類卒業、筑波大学大学院博士課程心理学研究科単位取得退学、博士(心理学)。 茨城大学教育学部講師、准教授、教授を経て、現在は茨城大学大学院教育学研究科教授。 専門は、教育心理学・発達心理学。著書に「TK式コミュニケーション力を高めるワーク」など。



なぜ、自信が持てないと感じてしまうのか。 


 思春期・青年期には自分に注意が向きます。そうなると人は、理想自己(なりたい自分)に達していない現実自己(現実の自分)の姿に気づき、自信が持てないなど否定的な感情を体験することが多くなります。心理学では、理想―現実自己の不一致の状態は、不適応状態ととらえられています。理想―現実自己の差異を小さくするためには、論理的に、理想自己を低める方法と現実自己を高める方法の2つが考えられますが、現実的には2つ方法のどちらも問題がある(例えば、前者の方法は本人の意欲を低めてしまう可能性がある)ため、別の方法が考えられています。すなわち、不合理な信念に着目する方法です。不合理な信念とは、「私は全ての人に受け入れられなければならない」など、論理的必然性がない前提を絶対視する信念(考え方)です。現実には、人間関係にはウマが合う・合わないなどの問題もあり、全ての人に受け入れられるのは不可能ですが、不合理な信念の高い人は理想自己(全ての人に受け入れられたい自分)を絶対視するため、理想―現実自己の差異が小さくならず、自分を受け入れることができないのです。  



自分の考え方が本当に正しいのか、もう一度考えてみよう。  

 

 つまり、自分を受け入れるためには、自分が絶対だと信じている考え方が本当に正しいのか、一度疑ってみることが必要です。時として、その考え方は自分一人の勝手な思い込みで、実はそれほど意味のあるものではなかったという場合があります。その思い込みやとらわれから抜け出して自分を受け入れると、否定的な感情から解放されます。


  実際に、以前私が小林麻央さん(歌舞伎俳優の市川海老蔵さんの妻で、2017年に進行性の乳がんのため、34歳で死去)の英国放送協会(BBC)への寄稿文(タイトルは「色どり豊かな人生」)を拝見した時に、同様の記述が見られました。そこには、病気になる以前の小林さんは「2人の子どもたちに対して全て自分が手をかけないと気が済まなかった」こと、「全てをやるのが母親だと強くこだわっており、それが自分の理想の母親像だった」こと、しかし、「病気になって全てどころか全くできなくなり、終いには入院生活で子供たちと完全に離れてしまった」ことなどが記されていました。さらに、「自分の心身を苦しめたまでのこだわりは、失ってみると、それほどの犠牲をはたく(原文ママ)意味のあるこだわり(理想)ではなかったことに気づいた」ことや、病気になる以前と変わらぬ自分に対する家族の信頼や愛情に触れたことによって、「闘病をBlogで公表し、自ら(がんの陰から)日向に出る決心をした」ことなどが書かれていました。 


 したがって、相談者の方も一度自分の中に不合理な信念があるのかどうかについて、じっくり考えてみて下さい。自分で考えるだけではなく、時には書物を通して先人の考えに触れたり、周囲の人と話すことも必要でしょう。そのようにして、自分の中の不合理な信念に気づき、その思い込みやとらわれから抜け出すと、自分を受け入れることが可能となり、否定的な感情から解放されます。そうするとさらに、今まで問題となっていた側面以外にも目が向くようになり、自分の中に今まで気づかなかった良い側面を見出すことができるようになります。



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