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公開日 : 2022/01/16

Q.生理の1週間前から食欲と眠気に襲われて勉強に集中できません。

私は生理の1週間前からいつでも食欲と眠気に襲われて勉強に集中できません。毎月、生理中になると下腹部の痛みが強いので勉強をするどころか起き上がるのもつらい時があります。このような症状を和らげて勉強に集中するにはどうしたらいいでしょうか? (高2 女性)
対処法はさまざまなので1度産婦人科に相談しましょう

この方が回答してくださいました!

東京大学 産婦人科医
こうがかをり
甲賀かをり 先生

1989年筑波大学附属高校卒業。1996年千葉大学医学部卒業。2003年東京大学大学院医学研究科博士課程修了。産婦人科医として東京大学医学部附属病院、三井記念病院、国立霞ヶ浦病院、武蔵野赤十字病院で勤務。2006–2008年豪州プリンスヘンリー研究所、米国イェール大学ポスドク研究員。2013年東京大学医学部産婦人科講師。2014年同准教授。受賞歴、米国生殖内分泌学会Gusdon Award(2008年)、神澤医学賞(2018年)など。日本子宮内膜症啓発会議副理事長、World Endometriosis Society Ambassador。産婦人科医として女性の診療に当たる傍ら、一般市民に対する子宮内膜症や月経関連疾患の啓発につとめている。



自分の体に起きていることを正しく知りましょう


 生物学的に動物のメスという観点では、卵が排卵されてから妊娠するまでの間は、たくさん食べて栄養を蓄えたり、良く寝てエネルギーを蓄えたり、ずっと引きこもっていた方が有利です。なので、妊娠を目的とした場合は、生理前の食欲や眠気は理にかなっている体の反応です。

 ただ、受験生で勉強をしなければいけない状況にいたり、現代社会で妊娠と関係なく過ごしていく女性の中には、眠気などで物事に集中できないことが毎月一定期間の間に起きると困る人も沢山います。本来は生理的な反応なのですが、本人がつらくて困っている場合、それは※月経前症候群(PMS:premenstrual syndrome)という病気です。

 それから、生理中になると下腹部の痛みが強いという症状は※月経困難症によるものです。もちろん、子宮の周りに病気があって痛いのかもしれませんが、病気が無くても、月経血が子宮の内側から出るとき、すなわち、子宮の内側にできた膜が落ちるときに、子宮が収縮して痛みを感じることもあります。


(注)月経困難症は「月経時」つまり生理中に下腹部痛などで生活に支障が出る事です。PMSは「月経前」に眠気、食欲亢進、イライラ、浮腫などで生活に支障がでることです。



自分で症状を和らげる方法もあります。可能なら試してみて下さい。


 1つ目は、「対処療法」といって、うまく自分でコントロールして症状を緩和させる方法です。生理中におなかに痛みがあるなら、手足を冷やさないよう、よく温まるようにすること、痛み止めを早めに飲んでおくことなどが挙げられます。生理前に眠かったら思い切って寝ちゃったり、食欲が増えたら「生理前のこの時期だから食欲が増えるんだ。じゃあ少ない量に抑えておこう」と考えて食べ過ぎないようにしたりなどをして気を付けるといいと思います。



産婦人科に相談する方法もあります


  2つ目は、産婦人科にかかってピルを飲む方法です。ピルを飲むとPMSはほとんど無くなりますし、生理痛を緩和させたり、飲み方によっては生理の回数を減らしたり時期をずらしたりする事もできます。ただその代わり、飲み忘れると変な時期に生理が来てしまうこともあるので毎日飲まなければいけません。※副作用も、克服できればそれほどひどいものではないので、中学生でも高校生でも初経が来てさえいれば飲むことができます。


 受験生で、痛みや眠気で勉強に差し障りがある、あるいは、「今日も勉強しなくちゃいけなかったのにできなかった」と罪悪感を抱いてさらに勉強が滞ってしまう悪循環に陥ってしまうようなら、ピルを飲むのも1つの手として考えてもよいかもしれません。


 正直、ピルが劇的に効くので、産婦人科の先生はピルをおススメしがちなのですが、PMSの症状を和らげたいなら、漢方やハーブなどのホルモン剤ではない自然派の民間療法もあります。


 生理痛がひどい人だったら、産婦人科では痛み止めも処方出来ます。ドラッグストアに売っているような痛み止めよりも、病院で売っている薬の方が早く効いたり、いろんな面で優れています。胃に優しいものも処方可能です。


 自分の体について知るためにも、総合的に見てもらえる病院に行って相談するのが良いと思います。


(注)副作用には、血栓症(窮屈な座席で長時間同じ姿勢のままでいると血管の中で血が固まって血の塊ができ、痛みや腫れが生じる)や気持ち悪さ、頭痛などが挙げられます。ピルを飲む際は、必ず病院で副作用について説明を受けてください




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