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公開日 : 2022/07/25

Q.どうして自殺はダメなんでしょうか

どうして自殺はダメなんでしょうか (高1女性)
この世に生まれたからです

この方が回答してくださいました!

ようろうたけし
養老孟司 先生

1937(昭和12)年、鎌倉生れ。解剖学者。東京大学医学部卒。東京大学名誉教授。1989(平成元)年『からだの見方』でサントリー学芸賞受賞。新潮新書『バカの壁』は大ヒットし2003年のベストセラー第1位、また新語・流行語大賞、毎日出版文化賞特別賞を受賞した。『唯脳論』『かけがえのないもの』『手入れという思想』『バカの壁のそのまた向こう』『ヒトの壁』など著書多数。



自分の身体は、自分のものか?

 

 10年ぐらい前にテレビで高校生が「どうして人を殺してはいけないんですか」という質問をしたことがメディアで話題になりました。そのときに色々な人が色々な答えを言い合ったけど、どれも納得のいく答えじゃなかったんです。それはその質問の前提に問題があるからです。そもそも自殺というのは、被害者が他人か自分かの違いというだけでいわば殺人行為です。自分の身体であれば殺したり、傷付けたり、好きにして良いと思っているのだとすればそれは間違いです。


 今の世間において、自分の身体は自分のもの、自分の命は自分のものという考え方が大半でしょう。本当にそうでしょうか?自分の身体というのは、言ってみれば外の自然が変形してできたものです。例えば、田んぼは将来の君です。田んぼで稲が育って米ができて、それを食べると自分の身体になります。身体というのは、自然なんです。そういう意味で身体は自然と直接つながっています。ゆえに自分の身体は本来、誰かのものという訳では無いんです。現在の人が「自分の身体は自分のもの」と勝手に思っているだけなんです。昔は自分の身体は預かりものだと考えられていました。しかし、皆さんの親御さんぐらいの年代から 


自分の身体は世界から与えられている」


  という感覚がなくなってしまいました。そのために、その子供である皆さんも自分の身体は自分のものだと思い込むようになっているのです。これは、西欧思想の流行によるものでしょう。明治以降の日本が自分の身体は自分のものだということを当然としようとしました。西欧近代的自我と呼ばれるものです。この西欧近代自我が定着し、自分の身体が誰のものでもないという考えがなくなっていったのです。自分の身体は自分のもので思い通りにできるのだと考えてしまう故にこのような質問が出るのでしょう。



親孝行


 そもそも自殺が良いか悪いかという問題を個人の中だけで考えるべきではありません。周囲に相談したら自殺なんて絶対ダメっていうに決まっています。 自殺問題は、自分にとどまらないのです。人間が社会生活をしている以上は、命の問題というのは自分だけの問題ではありません。 人と人との関係で一番近しいのは親ですから親子の関係が人間関係の最初です。 親はあなたが自殺をしようとすれば、とんでもないと止めるのは当たり前でしょう。 親は、赤ん坊の時代からあなたを一生懸命育てました。子供が、親が悲しまない方を選ぶのは当然のことです。これを親孝行と言います。 


 『孝経』にこんな言葉があります。「身体髪膚、之を父母に受く。敢て毀傷せざるは、孝の始めなり。」人の身体はすべて父母から恵まれたものであるから、傷つけないようにするのが孝行の始めであるという意味です。


 人としてなすべき親孝行を考えれば、自殺の是非は明確でしょう。明治以降の日本が自分の身体は自分のものだということを当然としようとしました。西欧近代的自我と呼ばれるものです。 西欧の文化では、生まれてから死ぬまでの一貫した自分というものを必要とします。 必要のない私をどうしても入れなきゃならなくなったのはキリスト教の影響が大きいのです。 



語りえぬもの、生きる意味


 なぜ自殺してはいけないのかという話は、そもそも考えても仕方のないことであり、意味のない議論です。 そんなことを考えていると、生きている時間がどんどん過ぎてしまいます。 

 

 意味のない時間を過ごすより何か楽しいことをして生きませんか?


 また、多くの人は人生の意味を考えるとき自分の中に探すんです。そうでしょう?


 どういう夢があるとかなんとか。 人間は社会性動物であるため、自分の中に生きる意味を見出すのは難しいものです。 自分の中ではなく外に生きる意味を見出してみてはどうでしょうか。


  

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