Q.夜型から朝型に変えるにはどうすればいいですか。
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<略歴> 1986 岐阜大学医学部卒業 2008 岐阜メイツ睡眠クリニック 院長 2018 医療法人三遠メディメイツ睡眠医療部統括部長(併任) (豊橋、岐阜、岡崎、磐田) <現在> 公認心理師 国立精神神経医療研究センター 客員研究員 愛知医科大学睡眠科 客員研究員 日本睡眠学会:専門医, 評議員 教育委員(CBTセミナー作業部会) 認定委員(検査技師、心理士) <著書> ・睡眠時無呼吸症(朝倉書店)2013;分担執筆 ・内科医が診る不眠症(日本医事新報社)2014:分担執筆 ・外来精神科シリーズ、睡眠障害(中山書店)2015;分担執筆 ・睡眠学(朝倉書店)2020;分担執筆 ・不眠症に対する認知行動療法マニュアル(金剛出版)2020;分担執筆
量・質・相の条件が大事
日中のベストパフォーマンスのために必要な3つの睡眠の条件があります。
1つ目は、睡眠時間の長さである「量」です。高校生は8~10時間の睡眠時間を確保する必要があります。2つ目は、睡眠段階である「質」です。空調や寝具などの寝室環境、寝る前のスマホなどの脳を興奮させる生活習慣が中途覚醒や寝つきの悪さを引き起こします。3つ目は、睡眠時刻である「相」です。太陽の日の出時刻に合わせて起床すると、最も日中の体調が良くなります。画面の明るい光は、体内時計を遅くするので、起床困難につながってしまいます。
急に朝型体質に変えるのは難しい
医学的には朝型体質と夜型体質の人がいると言われています。これは、遺伝子約50%、加齢など約50%で決定されています。そのため、気合いで起きたり、体内時計に逆らおうとしたりするなど、環境だけでなく努力の影響で変わることは少ないです。つまり夜型体質の人が急に、または無理に朝型体質に変えようとするのは難しいのです。さらに思春期は睡眠の相が後退する夜型になりやすいことがわかっています。
少しずつ起床時刻を早めよう
いつもの生活から急に早寝早起きをしようとしても難しいです。また、体温が上がっていない時刻に早起きしても、時差ボケのような状態となり勉強どころではないです。ここでは朝型生活に変えるための手順を説明します。まず、十分な睡眠時間をとって、スッキリ起床できる状態を1~2週間続けてください。朝食を摂り、午前中屋外活動(30分以上、ときどき太陽を見る)も大事です。これらができたら、3~6日かけて30分ずつ起床時刻を早めてみてください。もちろん、布団に入る時刻は、眠気を感じながら、起床時刻に合わせて早くする必要があります。朝型生活に慣れるには3週間ほどかかります。