Q.朝学校に行くことを考えると、吐き気、腰痛、腹痛、倦怠感などが出ます。
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88年東京大学医学部卒業。同附属病院にて臨床研修。89年滋賀医科大学附属病院精神科助手。94年同大学にて博士(医学)取得。95~96年文部省在外研究員としてアイオワ大学精神科にて研究に従事。97年東京大学医学部精神神経科助手、99年同講師。2001年理化学研究所脳科学総合研究センター(18年より脳神経科学研究センター)精神疾患動態研究チーム チームリーダー。20年4月より現職。同年9月 順天堂大学気分障害センター センター長。 著書として、双極症 第4版 病態の理解から治療戦略まで(医学書院、2023年)、『名医』はどこにいる? よい精神科主治医にめぐりあうために(日本評論社、2020年)、双極性障害 第2版―双極症Ⅰ型・Ⅱ型への対処と治療(ちくま新書、2019年)臨床脳科学~心から見た脳(岩崎学術出版、2018年)など。
不登校にも様々な理由があると思います。この場合、いじめや嫌なことがあったのかなと推測したのですが、そのために学校に行きたくないのだとしたら、当たり前ですよね。そして、行きたくないと思うと、体の症状が出るということも、ごく自然なことだと思います。嫌な目にあった場所に行こうとすると、体が拒否するわけです。この他にも様々な理由が考えられるので、どうして不登校になったのかということを掘り下げることが必要だと思います。
体の不調の可能性もある
ただ、吐き気、頭痛、腹痛、倦怠感をもたらす病気が隠れている可能性は否定できません。全ての体の病気を否定して初めて、精神的な疾患かもしれないと考えることができるのです。そのため、まずは、そのような症状をきたす体の病気をしっかり調べる必要があります。それを調べた上で精神的な疾患が疑われる時、どうしたら治るのかを考えること自体が治療の手始めとなります。治療を始める前から結論が得られているわけではありません。どうしたらいいのかを専門家と一緒に考えることが治療になるのです。具体的には、学校にいけなくなった理由は何なのか、今学校にどういう思いがあるのかなどをしっかり洗い直してみましょう。それによって解決策が見えてくるのではないかと思いますよ。
生活リズムを見直してみることも1つの方法
他にも、いじめなどの理由はなくても、学校に行きたいのに行けずにいる場合が考えられます。この場合には、昼夜逆転した生活で体のリズムと世の中のリズムがずれてしまっている可能性があります。これを「内的脱同調」というのですが、そのような状況下では吐き気や倦怠感が出てくることがあるのです。実は、体のリズムを世の中のリズムにしっかりと合わせて朝起きることで、症状が無くなる場合もあり得ます。どのような原因なのかを明らかにして、その原因に応じた対処法を探っていくと良いですね。