Q.将来やりたいことがわかりません
この方が回答してくださいました!
大阪大学基礎工学部制御工学科卒業、大阪大学大学院基礎工学研究科修士課程修了、大阪大学大学院基礎工学研究科博士課程修了。大阪大学産業科学研究所講師、東京工業大学大学院総合理工学研究科助教授を経て、現在に至る。現在は国立情報学研究所教授、総合研究大学院大学情報学専攻教授、東京工業大学大学院知能システム科学専攻連携教授として活躍中。専門分野は人間・知識メディアで、現在はHAI(ヒューマンエージェントインタラクション)、IWI(知的Webインタラクション)について研究している。主な著書は『人とロボットの<間>をデザインする』、『適応エージェント』など。論文は「ロボットとの感情的インタラクションは外見の悪印象を緩和する」など多数。
「2045年に人工知能(AI)が人間の脳を超える」という話を聞いたことがあるでしょうか? 昨今、車の自動運転化が現実味を増し、AIが将棋や囲碁、チェスの世界ランカーを次々と打ち破っています。この話を聞くと、遠くない未来、私たちはAIに支配され、仕事さえも奪われてしまうのではないかと思うかもしれません。
結論から言うと、AIに私たちの仕事がすべて奪われることはありません。たしかに私たちはAIのようにすさまじいスピードで計算したり完璧に記憶したりすることはできないので、一部の限られたAIの得意分野では私たちの役割は減るでしょう。しかし、AIが不得意とする分野が多くあることも確かです。たとえば、AIは決められた道路の上を自動運転で車を走らせることはできても、道路のない場所や駅などを歩いて移動することはできません。簡単なおつかいでさえできないのが現状です。なぜなら、人が経験や常識、倫理観などによって当たり前に判断し、簡単に実行できることが、規定のプログラムとデータで動くAIにはすごく難しい。また、そうした人間が当たり前に持っている莫大な常識や知識を、AIにプログラミングすることも決して容易ではありません。
だから、「人間にしかできない仕事」は必ず存在しますし、創造性を要する仕事は人間(の脳)だからできる領域といえるでしょう。AIに仕事を奪われる…といった心配はまだまだ必要ありません。 むしろ、将来AIをひとつのツールとして使えるようにするために、今できることに精一杯取り組んでいきましょう!
人と違う生き方がしたい!
実は、私が「研究職で生きていく」決断をしたのは、大学院修士課程の2年のとき。ちょうど「一般企業で就職するか、大学に残り研究を続けるか」の境目です。多くの友達が次々に一般企業に就職を決めていく中、焦りと迷いに襲われました。
そんな中、研究職で生きる決断をした理由。それは、「人と違った生き方がしたい」という気持ちをずっと持っていたことと、「自分の好きなことができる環境が大学にあると思った」ことです。周りの人と同じことをして一生を終えるのはいやでした。一般企業でも研究はできますが、研究資金と設備、安定性の面では、好況、不況にとらわれない大学が圧倒しています。ギリギリまで悩んで、「自分の好きなことができる環境がある場所=やりたい仕事」と考えたのです。
高校生のこの時期、やりたい仕事がまだわからなくても仕方ありません。ただ、「自分の好きなこと」や「どういう生き方がしたいのか」という自分の軸を考えておくことが、将来につながるかもしれませんよ!