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公開日 : 2020/11/04

Q.周りから一人だと思われることに劣等感を抱いてしまう

僕は一人で過ごすことが好きなので、例えば昼休みは自分の席で新聞を読んでいたりしますが、周りからは友達のいない寂しいやつだと思われています。このような時間、僕は好きなのですが、周りから寂しいやつだと思われることに劣等感を抱いてしまいます。今後の学校生活どうすればいいでしょうか。 (高2男子)
周りの目で劣等感を抱く必要なんて全くない

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なこし やすふみ
名越 康文 先生

1960年、奈良県生まれ。精神科医。相愛大学、高野山大学客員教授。専門は思春期精神医学、精神療法。近畿大学医学部卒業後、大阪府立中宮病院(現:大阪府立精神医療センター)にて、精神科救急病棟の設立、責任者を経て、1999年に同病院を退職。引き続き臨床に携わる一方で、テレビ・ラジオでコメンテーター、映画評論、漫画分析など様々な分野で活躍中。有料動画チャンネル、名越康文TV「シークレットトーク」も好評配信中。



今の自分の過ごし方を大切にしよう


 まず、昼休みに新聞を読んだりして自分の時間を大切にしていることは素晴らしいことだと思います。自分の中の教養や見聞を広げるためには一人の時間を定期的にとるしかありません。読書だって、映像を見ることだって、文章を練ることだって、一人っきりにならないとできないことですよね。それだけではありません、一見みんなで作り上げるものに見える、スポーツだって、音楽演奏だって、演劇だって、基礎的な練習をする時はその大半が一人の時間のはずです。人間の本当の実力は、一人の時間をどれだけ有効に使えるかにかかっている、と言っても過言ではないのです。ですから本来、あなたが一人の時間に充足を感じていることを引け目に感じたり、周りの目を気にしたりする必要なんて一切ない、と私は思います。 


 これからはそんな時代です。高校二年生なので、自分が将来どういう仕事につきたいのか薄っすらとあるかもしれません。将来、例えばチームで仕事をするサラリーマンになりたかったり、人前で歌を歌いたかったりするのであれば、多少なりとも他人の評判を気にしなければいけないかもしれません。しかし、自分の人生を大切にして、納得のゆく人生を歩んでゆきたいというのであれば、周りの目や評判を気にしてよそ見していては損をしますよね。自分の知識や教養を得る時間が失われて、二流三流の人生になってしまうこともあり得ます。もちろん、本当は周りとつながりたいのにそれができなくて、昼休みに新聞を読んでいたらストレスでしょうが、そうではなくそれが自分の趣味、ライフスタイルに合っていたら、周りのことを気にして劣等感を抱く必要なんてないのでは、と思ってしまうのです。 



実は「一人で過ごすことが好き」はすごい資質


 一人で過ごすことが好きとはっきりと質問の中で言っておられますが、それはとても素晴らしい資質だと思います。先ほども申し上げましたが、大人になったら余計にわかります。仕事の主だったものは全部一人でしかできないことなのです。仕事の本質は一人の時間です。どれだけチームでやっていても、企画書を書くとき、パソコンに向かうときはいつも一人です。学生の内はとにかく誰かと交ることを良しとされている傾向がありますが、実は一人で何かをすることも大切です。一人で過ごすことが好きだということは、将来仕事ができる人になれる資質です。素晴らしい資質だと自分を褒めてあげて欲しいのです。 僕の考えですが、人間には4タイプの人間がいます。一つ目は、人から愛されないと生きていけないと思っている人、二つ目は人と一緒に何かをやりたくて、周囲を巻き込んでリーダーシップを取りたい人、三つ目は人と人とをつないでいきたい人、四つ目は、自分の時間が大切な人、僕なんかはこのタイプですね。あなたももしかしたらこのタイプではないかなという気がしました。そんな人はたとえば、自分の世界を大切にすることで、人が大切にしている世界も尊重できる大人を目指せば良いのではないでしょうか。 



これからは困っている人を助けるコミュニケーションを


 これらを踏まえて、これからの学校生活では、困っている人を見かけたとして、自分の手が空いているときには、ちょっと勇気を出して手助けをしてあげるようにする、というのはいかがでしょうか。そして逆に誰かに何かしてもらったら、ありがとうと明るい感じで言ってみましょう。もちろん、今までにもやっておられたらそれで良いのです。それだけで僕は十分だと思います。そうすれば自然とクラスでの評判はよくなる事でしょう。別にそれを目的にするわけではありませんけどもね。日本はセクト主義的で、気が合う友達だけで囲ってそこで楽しい雰囲気を味わいたい、楽しませてもらいたいという傾向があります。いつもそこでだけ内向きに“コミュニケーション”をとっているのも楽しいのですが、やっぱりそれだけでは人間的に小さくなりがちです。思うに、コミュニケーションの本質は助け合うことです。誰かを助けて、それで誰かにありがとう言われたり自分が言うようになると、それだけでけっこう自信がついて心が豊かになっていきます。これこそあなたが得意でできるかもしれません。もし気が向いたら、参考にしてみてください。



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