Q.人のために生きたい思いと自分を大事にしたい思いがあります。他人の幸せを願うのは偽善なのでしょうか。他人が苦しんでいても自分の幸せだけを求めていいのでしょうか。
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早稲田大学文学学術院教授。名古屋大学教育学部教育心理学科卒、同大学院教育学研究科博士課程修了。博士(教育心理学) 中部大学人文学部の講師、助教授、准教授を経て、2012年より早稲田大学文学学術院にて准教授、14年より現職。専門はパーソナリティ心理学、発達心理学。
人のために生きたい思いと、自分を大事にしたい思いがある中で、どちらかが正解で、どちらかが不正解ということはありません。他人の幸せを願うことは別に偽善というわけでもないし、自分の幸せを求めてもいいのです。そもそも偽善というのは、本心ではないことを言っているときに使う言葉です。本心は他人の幸せを願っていないのに、表面は願っているようにふるまう、これは偽善ですよね。そのため、人のために生きたい思いと、自分を大事にしたい思いは両方とも本心なので偽善とは言えません。
自分の幸せの追求が他の人のためになることもある
「他人の幸せ」の「他人」を身近な人だけでなく、世界中の人と考えれば、世界中のどこかに必ず苦しんでいる人は存在しますよね。それでも自分自身が幸せであることを多くの人が求めています。世界中の人が幸福な人生を送るということは不可能に近いと言えます。そこで、少し考え方を変えてみましょう。
人のために生きたいという思いと、自分を大事にしたいという思いがあるのであれば、できるところまで両方追求してみると良いのではないでしょうか。自分を大事にして生きることが、人のためになることもあるかもしれません。
どちらの思いも追求するには自分の幸せのビジョンを明確にしよう
まずは自分でどのようにして人のために生きたいのか、そしてどのように自分を大事にしたいのかを考えてみましょう。人や社会の役に立ちたい、充実した人生を送りたいなど様々だと思いますが、その具体的な内容が大事になってきます。何か行動していれば、それは必ず人のためになりますよね。例えば、私たちは経済活動をしなければ生きていくことはできません。経済活動においては人のために働くことで、自分も利益を得ているのです。具体的にどのような自分を理想としているのかを明らかにすることが、自分の幸せのために必要となってきます。