化学I
大問数、マーク数に変化なし。出題内容と形式に変化なし。設問数が1増加。
大問数 |
減少 | 変化なし | 増加 |
設問数 |
減少 | 変化なし | 増加 |
マーク数 |
減少 | 変化なし | 増加 |
難易度 |
易化 | やや易化 | 昨年並み | やや難化 | 難化 |
大問数、マーク数はともに昨年と同じで、出題内容と形式に変化はなかった。2011年に比べて難易度は易しくなり、設問数が1増加した。また、計算問題が昨年に比べ1題増え、全体の計算量はやや増加した。一方で、昨年1題あった8択の問題はなくなり、最大で6択となっている。また、4択の問題が2008年以降はじめて出題された。さらに、6択の問題が14問から7問に大きく減っている。2011年同様、センター試験の過去問そのままという出題が複数問あり、過去問演習をすることの重要性を再認識する問題である。
年度 |
大問 |
出題分野 |
設問数 |
マーク数 |
配点 |
2012 |
第1問 |
物質の構造、同位体、物質の量的関係、状態変化、身の回りの化学 |
6 |
7 |
25 |
第2問 |
熱化学、酸と塩基、中和滴定、酸化還元反応、電池・電気分解 |
6 |
7 |
25 |
第3問 |
無機物質全般 |
7 |
7 |
25 |
第4問 |
有機化学全般 |
7 |
7 |
25 |
2011 |
第1問 |
物質の構造、周期表、物質の量的関係、身の回りの化学 |
6 |
7 |
25 |
第2問 |
熱化学、酸化還元、中和滴定、電池・電気分解 |
6 |
7 |
25 |
第3問 |
無機物質全般 |
7 |
7 |
25 |
第4問 |
有機化学全般 |
6 |
7 |
25 |
2010 |
第1問 |
物質の構造、状態変化、物質の量的関係、身の回りの化学 |
7 |
7 |
25 |
第2問 |
熱化学、酸と塩基、酸化還元、電池 |
4 |
7 |
25 |
第3問 |
無機物質全般 |
6 |
7 |
25 |
第4問 |
有機化学全般 |
6 |
7 |
25 |
2009 |
第1問 |
原子・分子の構造、物質量、身の回りの化学 |
7 |
7 |
25 |
第2問 |
熱化学、中和滴定、電気分解 |
4 |
7 |
25 |
第3問 |
無機物質全般 |
6 |
7 |
25 |
第4問 |
有機化学全般 |
6 |
7 |
25 |
過去の平均点の推移
2011 |
2010 |
2009 |
2008 |
2007 |
56.57点 |
53.79点 |
69.54点 |
64.21点 |
61.35点 |
【第1問】物質とその構造、同位体、物質の量的関係、イオン全般、身の回りの化学
問1は過去3年間続いている小問集合a・bのスタイル。aは単体を選ぶ問題。2007年問1bおよび2008年追試問1aの類題であった。bは物質の構造に関する問題であった。昨年度同様、物質の構造式を覚えていないと対応できないものである。ここ数年、単結合、二重結合、三重結合の数は頻繁に扱われている。問2は同位体に関する正誤問題。問3、4は物質の量的関係を扱った計算問題。問4はドライアイス1立法センチメートルについてなどと、自分で基準を設定しないと対応できない解きづらい出題であった。問5はイオン全般についての正誤問題。イオン化エネルギーについては選択肢中を含めるとほぼ毎年出題されている。また、ネオンの電子配置は2009年にも出題されている。問6は例年同様、身の回りの化学に関する出題であった。現象と状態変化や化学反応を組み合わせるスタイルである。2010年まで毎年出題され、昨年度出題されなかったセッケンが選択肢に扱われている。
【第2問】熱化学、酸と塩基、中和滴定、酸化還元反応、電気分解
問1の反応熱を算出する問題であった。自分でそれぞれの熱化学方程式を組み立ててから対応する2010年度までのスタイルになった。問2も完全燃焼に関する熱化学方程式からの計算であった。メタンとエチレンの割合を熱化学方程式から算出するため、悩んだ受験生も多かったのではないか。問3は酸と塩基に関する正誤問題。アレニウスの定義とブレンステッドの定義の両方が扱われている。問4は中和滴定のグラフから酸、塩基を判断する正誤問題。迷う選択肢もあるが選択肢の数が少なかった事がこの出題の難易度を下げている。問5は過去にも何度か出題されている酸化還元反応でないものを問う出題。扱っている化学反応は極めてポピュラーなものばかりであった。問6は電気分解の実験に関する計算と現象を扱っている。bは選択肢の数は少ないが、電解槽AおよびBにおける陽極、陰極での反応が正しく分からないと対応できない問題であった。
【第3問】無機物質全般
問1は化学薬品の保存法に関する正誤問題であった。選択肢のどれもがポピュラーな薬品であることと答えの選択肢がアルコールの確認に用いられる反応であることから解きやすかったと思われる。問2は酸化物の反応に関する正誤問題であった。問3はオストワルト法の過程に関する正誤問題であった。オストワルト法自体が化学Iの工業的製法としてポピュラーなものであり、答えがオストワルト法の過程ではなく一酸化窒素の性質を知っているだけでわかることから対応しやすかったと思われる。問4は酸素の実験室における製法に関する計算問題であった。問5は沈殿物(難溶塩)に関する出題であった。昨年度も難溶塩は出題されているが、今年は難溶塩の色を問う点が目新しかった。問6のマグネシウムとカルシウムに関する正誤問題は基本的な内容であったが、頻出ではないため迷う受験生が多かったと思われる。問7のアンモニアソーダ法の過程に関する正誤問題は、ポピュラーな題材ではあるが問3とは異なり、過程をしっかり把握してないと対応できないものであった。
【第4問】有機化学
問1は鎖式飽和炭化水素に関する正誤問題。鎖式飽和炭化水素=アルカンであることに気づけば解答できる。問2は異性体に関する正誤問題。2-プロパノールの構造式を覚えていれば、解答できる。問3はヨードホルム反応を示し、かつ臭素を脱色する化合物を選択する問題。検出できる構造を正確に覚えていないと解けない。問4は芳香族化合物の付加反応を選択する問題。毎年、似た出題があるが、その中でも解きやすい問題。問5は芳香族化合物の分離に関する問題。アニリンが弱塩基であることをおさえているだけで、選択肢を決定できる。問6はエチレンの反応とアルコールの酸化に関する問題。エチレンからアセトアルデヒド(化合物B)を得る反応がやや難しいが、この反応は2009年に出題されている。問7は元素分析に関する計算問題。センター試験ではめずらしく、計算だけを問う問題。