Q.自己管理ができません
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健康教育を専門とし、千葉大学教育学部で教授を務める。主に保健行動や保健の授業を研究。
自己管理に大事なのは、意志よりも「スキル」
私は健康教育を専門にしていますが、健康に良いことを知ってる人が必ずしも実りのある生活を送れるとは限りません。実際に健康に良い生活を送れるかどうかは、自己管理ができるかどうかにかかっているのです。
自己管理がなかなかできないのは、あなたの意志が弱いとか、あるいはダメな人間だからだとか考えていませんか。しかし、この場合の意志の強さ・弱さは結果論なので、考えても意味がありません。大事なことは、あなたに自己管理の「スキル」があるかどうかです。自己管理ができないのは自分に「スキル」が欠けているだけなんだ――まずはそう捉えてみましょう。
まずは「作戦」を考え、「環境」を整える
ローゼンバーグという研究者が、人は冷たい氷水にどれくらい手を入れられるかという実験をしました。長く手を入れられる人とそうでない人の時間の差は、「あと10秒耐えよう!」とか「昨日あった楽しいことを考えよう」などの作戦を考えられるかどうかだと結論付けました。実はこの実験に自己管理の秘密が隠されているのです。
自己管理スキルは大きく2つに分けられます。
1つ目は問題解決的な方法です。これは、何か問題を解決するために作戦を立てたり、環境を整えたりする方法ですが、上で述べた実験の「10秒耐える」作戦が、これにあたります。私は高校生時代、朝早く起きて数時間勉強した後、朝ドラを見てリラックスするという作戦を立てて勉強していました。その際のおススメは、作戦を頭の中で考えるのではなく、紙に書くことです。書かないと、同じことを何度も頭の中で考え続けてしまいますよね。私はいつもやるべきことをリスト化し、終わったら消すという作業を繰り返しています。「環境を整えること」は、朝起きやすいように部屋を温めたりタイマーを置いたりとすぐに勉強できるようにして、作戦の実行のために準備しておくということです。
2つ目が、自分の気持ちや欲求をコントロールする「メタ認知」を用いる方法です。上の実験の「昨日あった楽しいことを考える」ことがこれにあたります。つらいときは、受験後の自分の大学生活や夢などを考えてみるのがいいと思います。上で述べたように、リスト化して消す作業もうまくやる気を引き出すのに有効だと思います。