Q.危機感が持てません。
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京都大学経済学部卒業、大阪大学大学院経済学研究科博士前期課程修了、博士(経済学)。大阪大学助手、大阪府立大学講師、大阪大学社会経済研究所教授等を経て、2018年から現職。専門は労働経済学・行動経済学。著書に『経済学的思考のセンス』『競争と公平感』『競争社会の歩き方』『経済学は役に立ちますか?』など。
誰でも遠い将来のことよりも、今のことを重視します。また、将来のために我慢強い計画を立てても、今の誘惑に負けて、計画を先延ばしすることも多いです。
例えば、夏休みの宿題を思い出して下さい。夏休みが始まる前は、宿題を夏休みが始まったらすぐに仕上げて、思う存分遊ぼうと計画していたのではないでしょうか。しかし、夏休みが始まると、宿題をするのを毎日先延ばしして、最終日に慌ててすることになったという経験をもっていませんか。将来の計画を実現するためには、将来のことをきちんと考えることがまず必要です。
それだけでは、だめです。将来のことを考えることはできても、それを実現するために、今何をすべきか、という具体的なことを考えて、それを実行するということが必要です。危機感が持てないというのは、この二つが十分にできていないのだと思います。
第一に、将来のことを考えることです。もし、今のままの状態が続けば、3ヶ月後、半年後そして1年後の自分はどうなるか、考えてみて下さい。そのまま延長して、10年後の自分を考えてみて下さい。勉強しないなら、目標とする大学に合格できないでしょう。大学に合格できない場合は、どんな生活をしているでしょうか。では、逆に、成功した自分を思い浮かべて下さい。成功した自分は、その前の年には何をしていたかを想像してみて下さい。そうやって、遡っていけば、今自分は何をしないとダメかがわかると思います。
第二に、今やるべきことがわかったら、それを守らないとダメなように自分の計画を書き出して、公言していくことです。
やる気を出すための「70の法則」
そうは言われても、まだまだやるべきことが多すぎて、やる気が出ないというのもよく分かります。そこで、勇気が出るのが「70の法則」です。70の法則というのは、複利の考え方を分かりやすくしたものです。複利でお金を借りてそのまま返さなかったとき、元利合計がもとの倍になるのに何年かかるか、ということを示す法則です。70を借りた金利で割ると倍になる年数が計算できます。具体的に言えば、5%の金利でお金を借りた場合、70÷5=14ですから、倍になるのは14年後です。
さて、これがわかると、毎日前の日よりも1%だけ成長できれば1年後にどのくらい成長できるかを計算できます。70÷1=70ですから、あなたが毎日1%ずつ成長できると70日後にあなたの実力は今の2倍になります。140日後には4倍、210日後には8倍、280日後には16倍、350日後には32倍になるのです。
つまり、毎日たった1%ずつ成長を続けるだけで、実力は1年で今の32倍になります。しかし、1日に0%の成長だと1年たってもあなたの実力は今のままです。ということは、毎日1%成長の努力をした人と努力をしないあなたの実力は、1年後には32倍も差がつくことになります。これでも危機感を感じませんか?