Q.医者や周りから少し太らなければいけないと言われたけれど自分ではちょうどいいと思っています。
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神奈川大学人間科学部、准教授。2007年早稲田大学大学院人間科学研究科修了。 摂食障害、食行動異常、身体像不満足感、自己意識について研究。
あなたが痩せているのは本当に自分のためになっていますか?
あなたは、今の自分がちょうどいい体型で、元の姿には戻りたくないという想いをもっているように感じられます。日本肥満学会の基準ではBMI(Body Mass Index)が18.5未満であると低体重と言われています。あなたのBMIは19.9です。まだ低体重ではないですが、非常にやせ形といえるでしょう。
ここで一つ考えてほしいのは、あなたの価値はどこにあるのかということです。自分の価値基準がどこにあるのかというのは人それぞれです。日本でやせている方が美しいという価値観が広まったのはツィッギーというモデルが日本にやってきたタイミングともいわれます。ここではミニスカートが流行するなど、女性を中心に身体に対する意識が大きく変容(痩身体が美しい)したともいえるでしょう。また、メディアでもやせたモデルを美しいと扱うようになり、一般にやせている方が美しいという価値観を持つ人が増えたといえます。
おそらく、あなたにとってやせている自分というのは価値のあるものなのでしょう。自分の理想や目標が満たされていると安定します。しかし、誰のためにやせているのかを考えてみると自分のためではあるのかもしれません。もし、あなたが痩せていたい理由が、自身の価値(理想や目標)を高めること、すなわち“痩せていること”=“他者から高く評価される”となっているのであれば、少し自分自身の価値について考えてみる必要はありそうです。自分の価値は痩せていることでは決してないのです。
自分が価値を感じるものをグラフにしてみましょう
今あなたに必要な事は、やせている自分の価値は他者から高く評価されるだろうという価値基準をシフトしていくことかもしれません。あまりに苦しい場合は、専門機関を訪れ、心理療法を行うというのも一つですが、自分でできる方法として、まずは痩身体を維持するということに自分がどの程度生活の比重を置いているか確認するなどといった方法があります。自分の一日の生活の中で価値を感じるものや意識するものの時間を円グラフで書いてみましょう。体型について考えている時間が大多数を占めるということはないでしょうか。自分の生活の中にもっと大切なことを見つけて、自分の生活が体型にどれほど脅かされているか考えてみると「やせなければならない」という考えから解放されるかもしません。一方で、体型について考えることに支配されて苦しい場合は、ぜひ専門機関を訪れてください。
受験を控えている高校三年生にとって大切なことは健康を維持し、元気に過ごすことです。無理をして痩身体を維持するということは健康を脅かすこともあるでしょう。健康を保持増進し、受験期を乗り切っていきましょう。