Q.娘がいつもスマホばかり触っています
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1975年生まれ。関西大学大学院総合情報学研究科博士課程後期課程修了・博士(情報学)。福⼭⼤学、武蔵大学で勤務した後、現在は日本⼤学に勤務。専門分野は、メディア・リテラシー論、教育の情報化に関する実践研究、教育工学。主な著書に『メディア・リテラシー論』(北樹出版・2014年)、『フィンランドの教育 教育システム・教師・学校・授業・メディア教育から読み解く』(フォーラムA企画・2016年)などがある。放送倫理・番組向上機構(BPO)青少年委員会委員。NHK学校放送番組『メディアタイムズ』企画委員。NHK高校講座『社会と情報』企画委員。
おそらく、頭ごなしに使うのをやめるように言ったり、取り上げたりしてしまうと関係を悪くするだろうと悩まれているのではないかと思います。関係が悪くなると御子様が心を閉ざしてしまい、お互いの考えを理解することができなくなるので、それは避けた方が賢明です。まずは、お互いの考えを理解するための「対話の扉」が開かれた状態にしておくことが重要です。その上で、まず考えたいことは、本当に問題があるほど使いすぎているのかどうかということです。「スマホばかりをさわっている」という感覚は、人によって異なると思います。何かに支障がでていないとするならば、さわりすぎとは言えないかもしれません。スマホは魅力的なコンテンツがありますし、友達付き合いもそれを介して行われていることを考えると、スマホばかりを触っているように見えることは仕方がないことかもしれません。
ルールを決め、触りすぎる原因を話し合いましょう
一方で、歯止めが効かず、スマホがないと不安になったり苛立ったりするような状況は問題があると言えるでしょう。スマホの利用については、家族のなかで一定のルールを作ることが望ましいです。しかし、明確な支障がでている場合でも、スマホのせいだと決めつけた言い方はしない方が良いでしょう。何が問題の要因になっているのか話し合い、それがスマホのさわりすぎだと本人に自覚があるならば、控える方法を一緒に考えるということが望ましいと思います。使い過ぎであることを人から言われるのではなく、自覚できるようにしていくことが重要です。
高校生にとってのスマホの魅力を理解しましょう
ところで、ご自身は、スマホを使っていらっしゃるでしょうか? 適切な使い方について一緒に考えるためには、スマホにどのような魅力があるのか理解しておかなければなりません。ついつい使ってしまうという気持ちを理解した上で、使いたいと思っている人だったらどんな声をかけてもらえれば、それを自覚し、制御できるようになるか考えてみることが重要だと思います。また、高校生は高校生の文化の中でスマホを利用していることから、親世代が知らない魅力もあることでしょう。スマホの魅力について教えてもらい、よき理解者としての関係性を築くことが、望ましいスマホの使い方について一緒に考えるためのスタート地点になると思います。