Q.スマホが気になって目が離せません
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筑波大学第一学群卒業後、大阪大学大学院人間科学研究科で学ぶ。社会学者、博士(人間科学)。社会病理学・逸脱行動論・犯罪社会学などを専門としている。現代の若者が抱える生きづらさの内実と、その社会的な背景について、青少年犯罪などの病理の視点から考察する。
今日、社会の変化やSNSの発達でコミュニケーションは複雑化しています。ネット上だけでの友達や、SNS内で特定のメンバーだけで会話することも当たり前になりつつあり、自分の好きなコミュニティーだけで生きることが可能な時代です。
しかし限られたコミュニティーだけで生きていると、そこで仲間外れになるのを避けるため、お互いが必要以上に気を使い、ネット上でもお互いを確かめ合うようになります。だから、LINEの返信を気にしたり、すぐ返信しなければと義務感を抱いたりしてしまいます。
そこで、LINEを気にし過ぎてしまうという問題を解決するには、関係から距離を置こうとするだけではなく、逆に、さまざまなコミュニティーでのつながりを作っていくことが大切です。広く人間関係を持っていれば、一つのコミュニティーだけにとらわれる必要もなくなります。その結果、特定の関係に過剰な不安を感じることも相対的に減るはずです。
直接人と触れ合うことが、自分の新たな一面を知るきっかけになる
社会に生きる私たちは、自分に向けられた他者の態度を通してでしか、自分がどんな人間であるかを知ることができません。 その他者の態度には、直接会って関わりを持つことでこそ見えてくるものもあります。
ネット上の人間関係では、対面上の人間関係よりも情報をコントロールしやすいため、互いに相手が期待する反応を返すことが容易です。ということは、他者の態度を通して知る自分も、自分の知っている自分でしかないということです。自分の知らない自分と出会うためには、意外な反応を返してくれる他者が必要ですが、ネット上の人間関係ではそれが案外と難しいのです。
しかし、対面上の人間関係では、意図して発する言葉とは裏腹に、顔色や仕草などを通して思わず本音が出てしまうものです。それは心地よいものではないかもしれません。しかし、その反応を通してこそ、私たちは自分の知らない意外な自分を知ることができるのです。
そのため、人と直接触れ合うことは今まで知らなかった自分の新たな一面を知るきっかけになり、自身の成長へとつながるでしょう。ネットを通して人と関わるだけではなく、対面でのコミュニケーションも同時に大切にしてください。