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公開日 : 2023/01/02

Q.もっと危機感を持ったほうがいいのでしょうか。

志望校合格のために努力しているつもりなのですが、いまいちやる気が出ません。多分受かるという謎の自信を持ってしまっています。もっと危機感を持ったほうがいいのでしょうか。 (高3男性)
小分けにして危機感を持ちましょう

この方が回答してくださいました!

香川大学教育学部 准教授
おかだりょう
岡田涼 先生

三重大学教育学部卒、名古屋大学大学院教育発達科学研究科博士課程後期課程修了、博士(心理学)。専門は教育心理学(動機づけ、自己調整学習)。学校心理士。最近の関心は、教育心理学の考え方をもとにした授業づくりのサポート。



無駄な危機感はなくていい


 受験勉強に対して、あまり危機感を持てていないのですね。それは別に悪いことではないと思います。自分では努力していると感じているので、おそらく勉強もそれなりにしているのでしょうし、多分受かるという見通しも持てているので、それなりに結果も出ているのかなと思います。


 受験も含めて広く評価される場面での不安のことを「テスト不安」と言います。テスト不安がもともと強い人は、テストなどの評価される場面で強く不安を感じてしまい、集中できなかったり、パフォーマンスが下がったりします。その反対に自信を持っている方が、実際のパフォーマンスも高くなると言われています。


 質問にある「危機感」は、このテスト不安にあたるでしょう。そう考えると、今のところ努力ができていて見通しも持てているのなら、無駄に危機感を持つ必要はなさそうです。「やばい、やばい」と感じて不安な毎日を過ごすのは気が滅入りますよね。それよりも、余裕を持って過ごしている方がずっといいのではないでしょうか。



効果的な不安もある


 人が感じる不安は2つあります。1つは勉強を邪魔する面のある「抑制不安」、もう1つは勉強を促す面のある「促進不安」です。


 抑制不安を感じているのは、「受験のことが心配で何も手につかない」「落ちたらどうしよう」といったことばかり考えてしまって勉強が進まない状態です。それとは反対に、「できないと困るから、もう少し見直しておこう」とか「受験のことが心配だから、早めにとりかかろう」といった際の不安は促進不安です。「不安だから勉強しておこう」というように、危機感のようなものから勉強を促します。不安も一長一短だということですね。



部分的には危機感を持ってもいい


 危機感や不安に勉強を促す面があるのなら、危機感を持つのも悪くないことがわかります。大事なのは、うまく危機感を持つことです。漠然と「やばいんじゃないか」と感じることはあまり望ましくありません。そうなると、勉強が手につかなくなってしまうこともありえます。


 そうではなくて、危機感を持った方がいい部分と別に持たなくていい部分を少し分けて考えてみることが大切です。たとえば、教科ごとに自分の得意不得意は違いますよね。「英語は得意だから大丈夫、たぶん点が取れる」と思いつつ、「数学は苦手な分野があるから、問題の出方によってはやばいかも」というように、分けて考えます。そうすると、謎の自信も維持しながら、危機感を勉強に生かせるかもしれません。


 危機感を持つことも一長一短なので、危機感の取捨選択をしましょう。自分の得意不得意を考えて、不得意な部分にうまく危機感を持ち、やる気が出せるといいですね。



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