Q.長文を読んでいるときに集中力が続きません
この方が回答してくださいました!
東京大学文学部心理学専修課程卒業、東京大学大学院人文科学研究科心理学博士課程修了。三菱化成生命科学研究所副主任研究員を経て現在明治学院大学心理学部心理学科教授。主要著書論文:Vertebrate Circadian Systems(共著)、心理学アップデイト(共著)、心理支援論(共著)、高校生に知ってほしい心理学(共著)、Circadian rhythms in synaptic excitability of the dorsal lateral geniculate nucleus in tha rat(共著)、海馬神経細胞新生の機能的意義(単著)など。
分かる喜びを知って勉強自体を楽しもう
誰でも自分の好きなことをやっていると集中できて、あっという間に時間が経ったように感じるのではないでしょうか。今やっている勉強を楽しいと思うようにすること、これが勉強に集中するために最も重要なことだと思います。しかし勉強を本当に楽しいと思っている人は少ないかもしれません。勉強を楽しいと思うようになるためには、英語や数学などの難しい問題を30分でも1時間でも集中して考えて、分かったという喜びを経験することが最も効果的だと思います。数分考えて分からないとすぐ答えを見てしまう人は喜びを経験できないでしょう。私は小学生の時、算数の流水算の難しい問題を1日に30分くらいずつ3日考えて解いたことがあり、その時の解けた喜びが、その後も現在まで勉強を続ける原動力になっていると思います。
マルチタスクは集中力を低下させる
もし音楽などを聴きながら、或いはスマホを身近に置いて勉強しているなら、まずそれを止めることも非常に重要です。勉強があまり楽しくないので好きな音楽などを聴きながら楽しく勉強しようという気持ちは理解できますが、そうではなく勉強自体を楽しく好きなものにするのが一番良いのです。
音楽を聴いていると脳の聴覚野にはその音楽による活動が生じていて、脳が勉強以外のためにも使われている状態になっており、好きな曲が聞こえてくるとそちらに注意が移ってしまいます。そのような状況では勉強に集中できるはずはありません。実際、複数の作業を同時に行うマルチタスクが学習や記憶の能力を低下させるという報告がいくつかあります。スマホについては、触っていなくとも身近に置いておくだけで集中力が阻害されるという報告があります(ハンセン著久山訳「スマホ脳」新潮社新書p93参照)。勉強するときはスマホの電源を切り、手の届かない遠いところに仕舞ってスマホを忘れることが重要です。自分で考えて分かることの楽しさを知った人は、勉強の方が楽しいので、勉強中は音楽やスマホなど全く必要としなくなると思います。
それぞれの教科に合わせた方法で集中しよう
勉強が嫌いではないし音楽やスマホもないのに、集中が持続しないという場合は、考えながら読むことを心がけると良いでしょう。国語の現代文であれば、この段落で一番重要な文はどれか、この段落で筆者は何を言いたいのか、それに対して自分はどう思うのか、文全体で筆者の述べたいこと、結論は何か、それに対する自分の意見は何か、このようなことを考えながら文を読むように心がけていると、集中が持続すると思います。
英文を読む場合は、まず一つ一つの文を正確に読解する作業が最初に必要になります。主語と動詞はどれか、動詞は自動詞か他動詞か、他動詞なら目的語はどれか、この前置詞句は名詞を修飾する形容詞句か動詞を修飾する副詞句か、この~ingは現在分詞か動名詞か、このthatは関係代名詞か接続詞か、このandは何と何を結ぶのか(名詞と名詞、動詞と動詞、句と句、節と節、など)といったことを考えながら文を読むことが重要です。大学の私のゼミでは、英語の専門書や論文を読んで訳してもらっていますが、それらの中には1文で50語くらいある長い文もあり、そのような長文は単語の訳語を並べても正しい解釈は不可能です。高校の英文法をしっかり学んだ学生でないと正確に読みこなすのは難しいのです。英文法をしっかり勉強し、上記のポイントについて考えながら読むと自然に集中力もついてくると思います。
また、英文を和訳していると自分でもおかしな訳だと思うことがあると思います。それは英語の神様が君の訳は間違っているよと教えてくれているのです。だからその時はどこか間違っていないか(例えば名詞と動詞を取り違えていないか、語句の並列のandなのに節の並列と間違えていないかなどなど)良く考えてみることが必要です。それをしないでいると、神様はだんだん教えてくれなくなり、間違っていても自分で気づかなくなってしまいます。