Q.暗記する方法を教えてください
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東京大学文学部心理学専修課程卒業、東京大学大学院人文科学研究科心理学博士課程修了。三菱化成生命科学研究所副主任研究員を経て現在明治学院大学心理学部心理学科教授。主要著書論文:Vertebrate Circadian Systems(共著)、心理学アップデイト(共著)、心理支援論(共著)、高校生に知ってほしい心理学(共著)、Circadian rhythms in synaptic excitability of the dorsal lateral geniculate nucleus in tha rat(共著)、海馬神経細胞新生の機能的意義(単著)など。
記憶力は伸ばすことができる
記憶力に個人差はあります。しかし、固定されたものではなく、訓練(一生懸命物事を憶えようとすること)により、記憶は良くなります。ロンドンのタクシードライバーについて調べた有名な研究で、ドライバーの脳の海馬(記憶に関係している脳部位)の大きさが、一般の人よりも大きくなっていたという報告があります。キャリアの長い人の方がより大きいので、タクシードライバーになってロンドンの沢山の通りの名前を憶えていくことで海馬が大きくなった(脳の他の多くの部位とは異なり、海馬の神経細胞は大人になってからも新しく増える)と考えられています。海馬の神経細胞を増やす方法としては、物事を記憶することと運動が効果があることが知られています。運動は受験生にとって体力増進だけでなく、記憶力増進のためにも有効なのです。
英単語は繰り返し覚えるようにしよう
記憶は手がかりが多い方が思い出されやすく忘れにくいので、英単語を憶える場合は単に見るだけでなく、何度も声に出して発音し、紙に書くことが効果的です。10回発音しながら書けば多分憶えるでしょう。憶えなければ20回書く、それでも憶えなければ30回書けば良いのです。絶対憶えてやるという強い意志をもって取り組むことが重要です。1個の単語を憶える際に派生語もまとめて憶えてしまうと語数が数倍になります。また、憶えてもしばらくすると必ず忘れるので、数時間後にもう一度テストして忘れていた単語は再度憶えようとすることも大事です。更に、翌日、2日後、4日後、1週間後、と繰り返しテストすれば完璧になるでしょう。
原文復元法を使ってみよう
英単語の記憶というと、単語集などを使うことが多いと思いますが、本来は文の中で憶えるのが理想です。学校の教科書や予備校のテキストや参考書の英文を、訳をみて書けるようにする勉強法は、非常に効果が高いと思います。訳をみて元の英文を書く勉強法を原文復元法と言いますが、私の経験でも英語力をつけるのに非常に効果がありました。長い複雑な難しい英文を正しく訳せるようにするために、どのようにすれば良いと思いますか。それは、そのような英文を自分で書けるようになれば良いのです。自分が書ける英文を間違えて和訳することはあり得ないのです。原文復元法は単語力だけでなく、作文力、読解力も鍛えることのできる一石三鳥の優れた方法だと思います。