Q.効率の良い物理の勉強方法はありますか。
この方が回答してくださいました!
2017年にQuizKnockに加入。主に動画に出演し、「ナイスガイの須貝」が決め台詞。動画企画「QuizKnock Lab」の実験制作などを担当し、書籍化した。国立科学博物館認定サイエンスコミュニケーター。東京大学大学院総合文化研究科後期博士課程を修了。学位は博士(学術)。東京大学教養学部卒業の際に「一高賞」を受賞。2018年日本物理学会で「学生優秀発表賞」を受賞。趣味はマンガやアニメの鑑賞、アイドル・声優の応援。ゲーム全般も好きで、最近は将棋や麻雀も好き。
まず、この高2の女の子は物理以外の勉強方法は分かっているのだろうかと思いました。勉強方法ではなく、物理自体が分かりませんと言われたら意味は分かります。物理には色々と難しい内容があるからです。しかし、勉強方法が分かりませんと言われたときに、「じゃあ数学とか英語の勉強方法は分かるんですか?」と聞きたくなります。もし分かっているのであれば、それと同じやり方で勉強してみるのはどうでしょうか。
例えば、英語が得意で単語カードを使って英単語を覚えているのだとしたら、物理も公式を書いた単語カードを用意するとか。数学は問題集をガリガリやったら覚えられている、できるようになったのだとしたら、物理も問題集をガリガリやるとか。それでできるんじゃない?と思いますね。
ー確かに勉強方法が分かっていれば、他の科目にも応用できますね。ただ、そもそも勉強方法も分からない場合があるのではないかとも思います。人によって向き不向きがありますが、須貝さんの勉強方法を教えていただけますか?
僕は勉強の予定を決めません。30分国語やって、30分英語やって、30分理科やって、30分数学やって1日2時間やるといったことはしません。僕はそれをすると気が散ってしまったり、教科の切り替わりのときに、「今から数学とか無理!」といった気持ちになったりするからです。そもそも、僕は予定を立てるのがすごく苦手です。
なので、「今からこの教科のこの単元のところをやります。そして終わるまでやめません」といったようにして僕は勉強していました。例えば、「数学の確率を勉強します」と決めたのなら、何ヶ月かかるか分からないけれど、問題集の確率の範囲が終わるまでずっとやって、その単元のマスター、単元のオタクになることを目指してやっていました。このように、2ヶ月くらいずっとその単元のことばかり考えていると、僕の感覚ではその後も頭によく残ります。
ですが、もしかしたら問題集の確率の範囲が最初から分からないこともあると思います。その場合は前の学年の教科書に戻ったり、それでも分からなければ中学生のときの問題集を買ってきたりするのはどうでしょうか。 −単元のマスター、単元のオタクを目指すことは画期的ですね。ところで、この高2の女の子は、物理へのモチベーションが低いために、こういった質問をしてくれたんじゃないかなと思います。物理へのモチベーションを上げられるような勉強法はありますか?
僕は物理の楽しさは計算ができることだと考えていますが、それと同じで計算できる喜びを味わう勉強法はどうですかと思います。つまり、問題集の初めの方にありがちな、金属の輪っかに磁石を近づけるとどうなるかを問う問題がありますよね。だけど、問題集のページのもう少し下の方には、速度何メートル毎秒かを問う問題があります。そういった、自分ができる計算問題を先に解いてしまいましょう。意味を問う問題を一旦飛ばして勉強していくと、少し物理に対するモチベーションが上がるかなと思います。その現象の意味が分からなくても計算できることが大事だと僕は思っています。意味は正直とても難しいです。なので、計算できる喜びを味わう勉強法っていうのはどうでしょうか。
ー確かに、意味や用語を答える問題でつまずきがちですね。それでは、「理解したつもりでも時間が経つとすぐに忘れてしまう」という質問にお答えいただけますか。
正直に言えば、僕も高校生のときに習った物理のことを忘れています。時間が経つと忘れるのは普通です。なので、忘れそうなときに復習をします。模試を受けることが復習になります。模試を受けると、その度に忘れそうな事柄が出てきますよね。模試が終わった後に、模試で解けなかった、忘れていたなと思った問題や単元をもう一回覚え直します。受験まで覚えられていればいいのではないかと思います。こういった復習を何回もやりましょうと言うほかないですね。
また、物理だけに使える特別効率の良いスーパー必殺技がありますかということを多分聞きたいのかなとも思います。基本的には等加速度直線運動の3つの式や自由落下運動の3つの式、力学的エネルギー保存則のような原則的な式を覚えておきます。それと同時に、導出の過程もうっすらと頭に入れておけば、テスト中に同じことができます。そうすると覚える公式も減ったり、発展的な問題に出会ったときにそれが使えたりします。
さらに、僕は力学の問題のときには、どれだけ簡単でもグラフを必ず全部書いていました。縦軸が速度、横軸が時間になっているv-tグラフです。このグラフでは、加速度という情報が傾きとして現れるので、距離、速度、加速度という欲しい情報が全て入っていることになります。
逆に言うと、僕は公式を全く覚えておらず、簡単な問題であってもいちいちv-tグラフを書いていました。そのため、友達よりも解くスピードが遅かったのですが、全ての問題を解けていました。このように、どんな問題にも使えるけれど、これはやりすぎじゃない?と思われるような技も一応あるので、やってみてはどうですかというふうにも思いますね。
ー須貝さんご自身の経験をお話しいただけて参考になりました。ここまで、貴重なお話をありがとうございました!
■QuizKnockとは?
QuizKnock(クイズノック)は、東大クイズ王・伊沢拓司が中心となって運営する、エンタメと知を融合させたメディア。
「楽しいから始まる学び」をコンセプトに、何かを「知る」きっかけとなるような記事や動画を毎日発信中。 現在、全国の小・中学校、自治体での講演活動も積極的に行っている。 YouTubeチャンネル登録者数は155万人を突破。(2021年1月時点)