Q.歴史の記述問題に苦戦しています。
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1962年山形県生まれ。1992年京都大学大学院文学研究科退学。1995年博士(文学)(京都大学) 京都大学助手、新潟大学准教授、大阪市立大学准教授を経て、2011年より現職。近現代ドイツ都市社会史を、とくにベルリンを中心として研究している。著書として、『ドイツ住宅改革運動――19世紀の都市化と市民社会』京都大学学術出版会、2007年、南直人、谷口健治、北村昌史、進藤修一編『はじめて学ぶドイツの歴史と文化』ミネルヴァ書房、2020年などがある。
記述問題に関しては、論点を整理しなさい、訓練しなさいといったことを他の人に言われた上で相談しているのだと思います。ですから、記述問題に苦戦している方に言っておきたいのは、世界史や日本史のことだけではなくて、今日面白かったことや通学途中にあった出来事、自分が考えていることなどでいいので、文章を書くこと自体に慣れていくところから始める必要があるということです。記述問題で問われているのは、論点を整理して自分で書く能力だと思うのですが、その土台にあるのはやっぱり書くということです。書くことに対する抵抗感をなくしていくことが大事だと思います。
というのも、私も大学の授業で特に1年生向けの授業を行うときに、2000字ほどのレポートを最終試験で課しています。学生の多くはそれだけの文章を今までに書いたことがないので、心理的な抵抗が大きいのですが、そのハードルを下げて書いてもらいやすくするために、毎回の授業で課題を出しています。例えば、授業で歴史的な昔の祭りを扱うときは、授業内容のまとめとともに、自分が今まで興味を持った祭りについて書いてもらいます。このように書きやすいテーマを出して、文章を書くことに対して抵抗をなくしていき、その上で私は最終的にレポートを出す形にしています。
このように、特に高校1年生であれば、受験までに時間があるので、文章を書くという根本的なところから慣れていきましょう。慣れたあとで、例えば世界史の大航海時代について論じなさいといった問題に対して、論点を整理しながら自分で文章を綴っていくような訓練をしていくことになると思います。
記述問題を解くことを毎日の習慣に
受験が近い3年生が記述問題に苦戦しているのであれば、色々な大学の過去問の記述問題を毎日必ずやることが大事ですね。過去問の大問一つでもいいですからそれを頑張って毎日書いていく。やっぱり書くのが大事だと思います。もちろん、最初は100字で書きなさい、200字で書きなさいというのも、すぐにはできるものじゃないんですね。最初は論点を整理するのも大変で、整理したけれど実際に解答欄に書いてみたら200字と言われたのに100字にしかならない、逆に200字なのに500字になったといったことがあると思います。論述問題や記述問題が苦手な人は、そこでめげてしまうと思うんですけど、めげないで毎日少しずつ頑張って習慣化していく。毎日ちょっとずつやっていくとどんどん良くなっていきます。