Q.どうして学校をやめるべきではないのですか。
この方が回答してくださいました!
立教大学大学院文学研究科心理学専攻博士課程前期課程修了。その後、戸田市立教育セン ター教育心理専門員、目白大学人間学部助教、作新学院大学女子短期大学部専任講師、同 准教授等を経て、2019年より現職。学校臨床心理学、コミュニティ心理学、特別支援教育 を専門とし、主に高校中退予防、不登校予防、学校コンサルテーションなどの学校臨床領 域の研究を行っている。
高校を辞めることがイコール人生終わりかというとそうではありません。ですが、今の日本の社会的な状況を考えると、高校を辞めることで将来の選択肢の幅が狭まってしまうことは間違いないです。将来、自分が就きたい職業を見つけたときに、嫌々だったけれども高校に行き、その後進学もしたとなれば、選択肢の中にその職業が残っていたかもしれませんが、高校を中退したとなると、自分の就ける職業の幅からその職業が外れてしまっている可能性があるのです。
中退しても成功する人はいるけれど・・・
世の中には高校を中退していても成功している人はもちろんいます。
実際に今の日本では、一度中退をしてしまうと、正規雇用といった道から大きく外れてしまうことも、また事実です。また、そういう道から一旦外れると、そこから抜け出すのが大変になります。各自治体で高校中退者の追跡調査も行われていますが、中退後に正規雇用に就けていないという結果がどの調査でも一貫しているところです。
高校を続ける努力と将来の可能性の幅を広げる努力を天秤に
高校を辞めるか、続けるかを考えるときに、高校を続ける努力と、中退で狭まってしまった自分の将来の可能性の幅を広げる努力とを冷静に天秤にかけてほしいです。
その上で辞めざるを得ないケースもあります。例えば、いじめに遭っている場合です。その場合は高校を続ける努力のウェイトの方が重くなりますよね。そのような場合、今は高校の形も色々あるので、転校できるならその方がよいと思います。具体的には通信制サポート校や昼夜開講制の定時制高校などが挙げられます。これらの学校は、元不登校の生徒などを積極的に受け入れており、高校中退の受け皿としての役割も果たしています。
はじめに述べたように、高校を辞めたからといって人生が終わるということはありません。安易な選択でないのであれば、それは重大な決断ですし、そうした決断をした人であれば将来にリベンジすることは十分に可能だと思います。