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公開日 : 2021/08/25

Q.目的や意義を感じられない学校の講習や行事を強制してくる大人の心情が理解できません。

ただ毎年やっているから、周りがやっているからという理由で、それ以外特に目的や意義を感じられない学校の講習や行事を強制してくる大人の心情が理解できません。またそれによって、自分と共感できない友人や先生たちとの人間関係も悪くなり、学校生活に不満感じてきました。どうすればいいでしょうか。おとなしく従うのが社会でいういい子なのでしょうか。 (高2男子)
学校は自分が生きるために必要なスキルを学ぶ場所。自分の中で我慢する限度を決めて、超えてしまう場合はそこから逃げよう

この方が回答してくださいました!

不登校新聞 編集長
いしいしこう
石井志昴 先生

1982年東京都生まれ。中学校受験を機に学校生活が徐々にあわなくなり、教員、校則、いじめなどにより、中学2年生から不登校。同年、フリースクールへ入会。19歳からは創刊号から関わってきた『不登校新聞』のスタッフ。2006年から『不登校新聞』編集長。これまで、不登校の子どもや若者、親など300名以上に取材を行なってきた。また、女優・樹木希林氏や社会学者・小熊英二氏など幅広いジャンルの識者に不登校をテーマに取材を重ねてきた。編著書に『学校に行かない君へ』(ポプラ社)など。



ーまず、目的や意義を感じられない学校の講習や行事を強制してくる大人の心情が理解できないとのことですが、学校のルールなどにおとなしく従うことがいい子なのでしょうか


 そんなことはありません。私も学生の頃、学校の規則を強制してくる大人の心情が理解できませんでした。それより大切なのは自分自身です。私は中学二年生まで学校に行っていて、その後不登校になったのですが、その一因として挙げられるのが理不尽な校則でした。中学に入ってから突然、男性と女性という観点だけで学生服が分けられていたり、靴下や下着の色まで決められていたりして驚いたことを覚えています。


 私は学校の人間関係って、ガチャガチャみたいなものだと思っているんです。急に席替えがあって、隣の人が誰かによって人間関係が変わってしまうし、先生も自分で選べないですよね。席替えやクラス替えなどで学生生活が大きく変わってしまうって、すごく特殊な世界だと思います。


 一方で社会に出ると転職や配置替えなどがあり、こんなに学校のように強烈に従わなければいけない状況は少ないと思います。なので、今自分は特殊な世界にいるんだということを認識してください。そうすることでこの状況にもう少し従えたり、逆にその特殊さと自分の中で距離をとろうと思えたりするはずです。


ー学校に行くからにはルールに従わなければいけないという葛藤もあると思います。学校に行っている状況でルールとうまく付き合っていくために何かいいアドバイスはありますか。


 そうですね。もしその場にいたいと思ったらば、半分ぐらいまで我慢するのはOK、あと半分は従ってあげないよという気持ちでいることがおすすめです。人によって耐えることができる、できないの度合いは違います。あまりにも周りに従っていると、なんか自分が自分でなくなってしまうというか、自分を殺しているような感覚になってしまうんです。その状態が一番よくないので、そんなときはさっさと逃げた方がいいです。私は自分が生きてくために必要なスキルを学ぶのが学校であって、自分を殺してまで行く場所ではないと思います。


ー自分と価値観を共感できない友人や先生たちとの人間関係が悪くなるということが考えられますが、これは仕方のないことなのでしょうか。


 普通に生活していたら、友人や先生たちとうまくいかないことってたくさんあると思うんです。だから学校生活の日々に不満を感じるのはまともなんだと思ってください。その中でどうにかして全部うまくやろうって思ってしまうと、それは確かにつらいです。


 今はあまり想像できないかもしれませんが、学校の友人や先生との関係って社会に出たらあまりない関係なんですね。こんなにも周りが何十人も同じ年齢なこともなければ、先生と生徒のように年齢や権力が大きく開いている関係もほとんどありません。今は学校という特殊な環境にいて、だから苦しいことが多いんだなという観点に立ったらいいのかもしれません。この不満を、なんで他の人はわかってくれないんだと誰かに八つ当たりしたくなるかもしれませんが、それはあなたが悪いからではなく、環境が悪いからなんです。


 繰り返しにはなりますが、私は学校に従うことだけが正しいことではないと思いますし、もし、自分の中で我慢できなければ、その場から逃げ出していいと思います。一番大切なのは自分自身です。私は学校に行かないという選択肢を選びましたが、今、生き生きと過ごせているなと感じます。自分が壊れない程度に頑張ってみたり、休んでみたりすることが大切です。



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