Q.他人を信用することができず、自分が迷惑なのではないかと思う
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早稲田大学文学学術院教授。名古屋大学教育学部教育心理学科卒、同大学院教育学研究科博士課程修了。博士(教育心理学) 中部大学人文学部の講師、助教授、准教授を経て、2012年より早稲田大学文学学術院にて准教授、14年より現職。専門はパーソナリティ心理学、発達心理学。
ご質問を読むと「他人を信用できない」という最初の文章と、そのあとの内容が少し違うことを述べているように思えます。おそらく、他の人のことが信用できないというよりも、他の人がどのような反応を示すのかに敏感になっているのが大きな要因なのではないでしょうか。
自分が周囲から注目されているのではないか、と過剰に考えてしまうことをスポットライト効果と呼びます。みな、周囲から注目されている、周りの人は自分のことを気にしていると過剰に考えがちです。しかし、たいてい多くの人は周りにいる人を気にしていません。なぜなら、皆自分にスポットライトが当たっていると思っているからです。多くの人は自分が大事であなたが失敗してもそれほど気にはしません。そのように考えてみてはどうでしょうか。
相手とのコミュニケーションが大事
「この人はこういうことを考えているだろう」と推測することを、こころの理論と言います。この能力は幼稚園や保育園に通う子どもの頃に発達し、小学校に上がる頃には多くの子どもたちが身につけるようになっています。このような「他の人が自分のことをどう考えているのか」を想像する能力を身につけることは、私たちにとってとても重要なことです。なぜならこの能力を持つことで、私たちは円滑な人間関係を営むことができ、社会全体もうまく機能することにつながるからです。
しかし、これはあくまでも「この人はこういうことを考えているだろう」と推測する能力であって、相手の心の中を見抜いて正しく当てる能力ではありません。私たちは自分や他の人が置かれた状況の一部しか認識することはできず、本当にその人が何を考えているのかは「質問する」「尋ねる」「聞く」という行為なしにはわからないのです。要はコミュニケーションが必要なのです。