Q.友達を作りたいです。
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三重大学教育学部卒、名古屋大学大学院教育発達科学研究科博士課程後期課程修了、博士(心理学)。専門は教育心理学(動機づけ、自己調整学習)。学校心理士。最近の関心は、教育心理学の考え方をもとにした授業づくりのサポート。
話しかけるのは難しい
自分から人に話しかけるのは難しいですよね。話しかけるといっても、何を話していいかぱっと思いつきませんし、タイミングもよくわかりません。私もけっこう自分から話しかけるのが苦手で、人といると「話したの方がいいのかな、どうかなあ...」と、もやもやした気持ちになることがよくあります。
うまく自分から話しかけたり、おもしろい話題を出してくれたりする人がいますよね。そういう人をみると、ただただ「すごいなあ...」と思ってしまいます。でも、実は「話すのは苦手」と思っている人は意外と多いようです。
大学生の集まりで自己紹介をしてもらうと、けっこうな割合で「人見知りなので、話しかけてくれたらうれしいです」と言います。お互いに「何を話したらいいんだろう...」となって、沈黙が続いているようなことも多いのかもしれません。
自分が好きなものを好きな人は好き
でも、ずっと黙っているのも疲れますし、ちょっとがんばって話してみようと思いますよね。さあ、何を話そう。これが難しいところです。
とりあえず相手やその場にいる人が好きなものについて話してみるのがいいかもしれません。社会心理学の考え方で「バランス理論」というものがあります。これは、自分と相手の関係が、他の何かに対する好意で決まってくる、という考え方です。
この説明だとわかりにくいので、例を出しますね。たとえば、あなたが好きなアーティストについて、「私もそのアーティスト大好き!」と言っている人がいたら、どう思いますか? おそらく、「ちょっとこの人と話してみたいな」とか「お、よくわかってるな」となるのではないかと思います。「アーティスト」に対して、「あなた」と「相手」が好意的に思っていれば、「あなた」は「相手」に好意をもつように心のバランスをとる、というのがバランス理論の考え方です。逆に、「アーティスト」を嫌いな「相手」には、「あなた」は嫌いになってバランスをとります。
とりあえず相手の好きなもののことを話してみる
さて、友だちになるためにどんなことを話したらいいのでしょうか? ここまでの話をもとに考えると、その場にいる相手が好きなことについて話してみるのがよさそうです。
簡単なことで大丈夫です。「そのアニメおもしろそうだね」とか「そのアーティスト、どんな曲出してるの?」というように、相手の好きなものに興味を示すだけでも十分です。そうすれば、相手が気持ちよく話してくれますし、バランス理論にしたがって、あなたを好意的に思ってくれるかもしれません。そうすれば、あなたも話しやすくなりますよね。
タイミングは...難しいですね。やっぱり少しの勇気が必要です。相手の好きなものが「これかな?」と思ったら、思い切って一言、声に出してみましょう。「話しかけてくれたらうれしい人」がけっこう多いことを信じて。