Q.勉強と人間関係のどちらが重要なのでしょうか。
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三重大学教育学部卒、名古屋大学大学院教育発達科学研究科博士課程後期課程修了、博士(心理学)。専門は教育心理学(動機づけ、自己調整学習)。学校心理士。最近の関心は、教育心理学の考え方をもとにした授業づくりのサポート。
勉強か友だちか...???
自分の将来のためにしっかり勉強すべきか、友だちとわいわい楽しく過ごす高校生活か。なかなか天秤にかけられると難しいですよね。また、「しっかり勉強しなさい」という人もいれば、「友だちが大事だよ」と言う人もいて、ますます混乱します。自分では今の状態にそれなりに満足していても、迷ってしまうのもわかります。
でも、ちょっと待ってください。本当に、「勉強か友だちか」なのでしょうか? 勉強も友だちとの関係も、両方ともいい感じになることはないでしょうか? ここを少し考えてみてもよさそうです。
友だちから勉強に、あるいは、勉強から友だちに
勉強するか友だちと遊ぶかで頭を悩ませている図を思い浮かべやすいですね(頭のなかの天使と悪魔のようなイメージ)。時間は限られているので、友だちと遊んでいれば勉強する時間はありません。逆に、勉強に時間を費やせば、友だちとの関係がおろそかになりそうです。
でも、友だちがいることで、勉強が進むということはないでしょうか? たとえば、「一緒にがんばろうね」と言い合ったことで、テスト勉強をがんばれたということがあるかもしれません。あるいは、授業でわからなかったところを、「ここどうやってやるんだっけ?」と訊いて、「なるほど!」となることもあるかもしれません。他にも、「あの先生、厳しいよね」と言い合うことで、何とか授業を乗り切れるということもありそうです。
反対に、勉強を通して、友だちと仲良くなることもありますね。授業でグループが一緒になったのがきっかけで仲良くなったり、塾で違う学校の人と友だちになったり。小学校のとき、けっこうグループ活動が多くなかったでしょうか? あれは勉強面だけでなく、クラス内の人間関係をよくしようという目的もあります。
自分にとっていい状態でいる
今、勉強が大事だと感じていて、特に困ることがないのであれば、無理に「友だちを増やそう」と思わなくても大丈夫だと思います。無理をしてもあまりよいことはありません。
ただ、「勉強か友だちか」というように、2つを対立させて考えない方がいいのではないかと思います。もちろん、「友だちのことに気をとられて勉強に集中できない」とか、「勉強しないといけないから、友だちと遊びに行けない」というように、両立できないことはあります。でも、先ほど書いたように、「勉強も友だちも」となることもあり得るというのは、頭に置いておいてもらいたいなと思います。
と言うのは、大学ではそれが多いからです。高校までとは違い、大学では割と自分の好きなことを追究して学びます。そうすると、自然と人に話したくなります。みんながそう思っていると、勉強(「学問」と言った方がいいかもしれません)を通した人間関係ができていきます。そんな風に、学びと人間関係が混ざり合うような生活を楽しみにしていてください。