Q.個性と協調性のどちらが大事なのでしょうか。
この方が回答してくださいました!
三重大学教育学部卒、名古屋大学大学院教育発達科学研究科博士課程後期課程修了、博士(心理学)。専門は教育心理学(動機づけ、自己調整学習)。学校心理士。最近の関心は、教育心理学の考え方をもとにした授業づくりのサポート。
難しい質問ですね。「個性」も「協調性」も、それなりに耳にする言葉です。学校の先生も、「それぞれ個性があるんだから」とか、「社会に出たら協調性が大事だぞ」と言うかもしれません。でも、よくよく考えると、どういう意味なのかピンとこないところもありますよね。
ちょっと難しい言葉をそのまま使って話をすると、うまくかみ合わないことがよくあります。話がうまく通じるようにするコツは、言葉の意味を確認することです。ここではとりあえず、他の人とは違う“自分らしさ”みたいなことを「個性」、集団でいるときにうまく“人にあわせる”みたいなことを「協調性」としてみます。
そうすると、「自分らしさを大事にした方がいいのかな? それとも人にあわせた方がいいのかな?」という問いになりますね。わかりやすくなりましたが、でもやっぱり難しい問題です。
自分らしさ VS 人にあわせる...?
“自分らしさ”と“人にあわせる”は、どちらが大事なんでしょうね。いや、でもその前に、そもそもどちらかを選ぶものなのでしょうか?
もちろん、派手好きな人が、自分らしいファッションしながら、まわりから浮かないようにするのは難しいかもしれません。あるいは、人と違う趣味をもっている人は、なかなか話があわないようなことも多いですね。「ほら、両立しないじゃないか」となります。
ただ、両方をうまくやれている人もいますよね。まわりの人とよい関係を築きながらも、その人らしさもきちんと出している人。学校や部活にそういう人はいませんか?
また、両方が求められることも少なくないかもしれません。たとえば、プロ野球の選手やプロサッカーの選手。どちらもチームスポーツなので、ものすごくまわりにあわせないといけません。でも、それと同時に一人ひとりの持ち味や得意分野があり、それこそ個性的な選手はたくさんいます。
自分らしく人にあわせる
「自分らしさをもちながら、人にあわせるなんて無理...」と思った人もいるかもしれませんね。もちろん、両方うまくやるのは簡単ではありません。でも、どちらかだけを大事にするよりも、バランスよく両方できるようになる方が毎日楽しそうですよね。
授業中や部活では、友だちと協力しながら楽しさや悔しさを分かちあいます。一方で、自分にしかできない発言をして、「○○くんらしいね」と言われたり、部活の試合では自分なりの活躍をする。そして、家ではちゃんと自分の趣味もあって、楽しく自分の時間をもっている。
なかなか簡単にはいかなさそうですね。でも、今のうちは、「自分らしさ」と「人にあわせること」のどっちかを選ぶよりも、両方うまくやるというように欲張ってもいいように思います。自分らしく人にあわせる。そんな自分をイメージしてみてください。