Q.子供が学校に行きたくないと言うのですが、どう対処すればいいのでしょうか
この方が回答してくださいました!
1982年東京都生まれ。中学校受験を機に学校生活が徐々にあわなくなり、教員、校則、いじめなどにより、中学2年生から不登校。同年、フリースクールへ入会。19歳からは創刊号から関わってきた『不登校新聞』のスタッフ。2006年から『不登校新聞』編集長。これまで、不登校の子どもや若者、親など300名以上に取材を行なってきた。また、女優・樹木希林氏や社会学者・小熊英二氏など幅広いジャンルの識者に不登校をテーマに取材を重ねてきた。編著書に『学校に行かない君へ』(ポプラ社)など。
まず、行きたくないというのはそれだけの理由があるわけですよね。もしかしたら、お子さんを学校へ戻すことばっかり考えているのではないでしょうか。実は今、文科省もそういう対応をすることをやめてくださいという指示を出しています。不登校になったときは、学校に戻すことだけが全てではなく、学ぶ機会がちゃんと得られるようにしてあげることが大切であるという指針です。ですから、保護者の方にはぜひそういう状況を整えてあげてほしいです。そして、本人がなぜ行きたくないのか、何に苦しんでいるのかをきちんと考えて、寄り添ってあげてください。
ーなるほど、学校に行かせることが必ずしも正解ではないのですね。 では、子どもが学校に行きたくない理由を知りたい場合、どうしたら心を開いて教えてくれるのでしょうか?
子どもに学校へ行きたくないと言われたら、まず「わかった、今日は休みましょう」といったん休むことを認めてあげることが大切です。今のお子さんの頭の中はいろいろな悩みがあって、勉強どころじゃないはずです。つまり学校に行っても勉強ではなく、苦痛とか、絶望とかを学んでしまっているわけです。ですから、「いったん休んで、そこから次のことを一緒に考える」ということをしてあげてください。休むことを認めると子どもは徐々に心を開いてくれると思います。
ーもし、子どもが学校に行きたくないと言ってから何度か行きなさいと言ってしまっていた場合、そこからどうすべきなのでしょうか?
そうですね、子ども本人が学校に行きたくないと伝える場合は、本当に最後の最後のSOSなんですね。だから、子どもはそこで受け止めてほしいという思いがあります。本当に限界なのに親が学校を休むことを認めてくれないのなら、親に対して不信感を持ってしまいますよね。
このSOSを聞きれなかった人のことを私は「前科持ち」と言っているんです(笑)。「前科」がついた親にはやっぱり残された道って少ないわけですよ。どうすればいいかというと、その「前科」をちゃんと認めることから始めるわけですよね。まずは子どもを苦しめた反省をして、今の気持ちを子どもに伝えてください。そして今どうすればいいかを考えたい、それを考えさせて欲しいと言えば、「前科」の深さによりますが、子どもは少し心を開いてくれるのではないかと思います。
ーありがとうございます。最後に、実際にご自身が不登校になった際、当時は将来についてどのように感じていましたか?
私は中学2年のときに学校に行かなくなったのですが、当時は本当に人生詰んだなと思いました。それこそいい大学に行って、いい会社に入るというのが人生の成功ルートだと思っていました。それがいきなり壊れてしまったわけですから、本当に道から外れて闇の中に落っこちるような感覚だったんですよね。ですが、やっぱり20年経って思うのは、人生は終わってなかったなということです。今、学歴的には中卒なのですが、それこそ東大を卒業した人やアメリカの大学を卒業した人と一緒に仕事をしています。私のように途中で学校をやめても生き生きとした人もいるし、本当に人生それぞれなんだなと思いますね。自分の人生だし自分の思う道を行くべきだなと思います。
だから、今学校に行くことがつらい人たちに伝えたいことは、学校に行ってようが行ってまいが、普通の人生が待ってますよということです。もちろん普通というのは苦労しないって意味じゃないんですよね。たくさん苦労もしますし、つらいこともありますけど、でも、10代のころに想像してなかったこともたくさん起こるんですね。例えば、ちょっと高級な料理屋さんに行ったり、当時は誰とも付き合ったことなかったのですが、今では結婚もしたりしています。私の人生はテレビのドラマでやっているスーパーキラキラした人生ではないかもしれませんが、ドロドロの漫画のようなグロテスクな世界にもなっていなくて、苦労したりしなかったり、楽しかったり楽しくなかったりの毎日を繰り返す人生です。なので一度きりの自分の人生ですから、皆さんもぜひ自分のことを大切にして生き生きと過ごしてほしいなと思います。