この方が回答してくださいました！

　私はユーモアについての研究をしているので、学生からユーモアを期待される場面に遭遇することがあります。そこで、授業の開始前に、1～2カ月あたためた飛び切り面白い(と自分では思っている)小話を学生に披露することがあるのですが、たいていの場合、失笑をかいます(笑)。

ーそうなんですか！？しかしその話が面白いですね(笑)。

　ありがとうございます(笑)。これは自虐的なユーモアといい、過去の自分の失敗談や自分のダメなところを話すことによって笑わせる方法です。このような方法を私は一番おススメしています。

　一番安易な笑いの取り方は、攻撃的なユーモアを使うことだと思うんですよね。例えば、誰かをからかってみたりとか、茶化してみたりとかするものです。しかしこのようなユーモアはリスクがすごく高くて、ある程度の親密な間柄でないと、ターゲットにされた人物が怒ってしまったり傷ついてしまったりと、ネガティブな機能を持ってしまいます。また、親密な間柄でも、ユーモアの度が過ぎてしまうと関係性を悪化させてしまうことが分かっています。

ーなるほど。攻撃的なユーモアは言いやすいという良い面と、リスクが高いという悪い面が両方あるのですね。

　攻撃的ユーモアに比べ、自虐的ユーモアは、自分をターゲットにするので誰も傷つけることもなく笑いを取ることができます。人は誰でも失敗した経験や、恥をかいた経験はあると思います。そういったものを笑いに変えて、全然大したことないって笑い飛ばしてやれば、簡単に笑いもとれるし、人からも好かれる手段になるということが、私の研究によって明らかになっているのです。

ーそうですね。確かにそのように笑い飛ばしてしまうと嫌なことも忘れられて一石二鳥かもしれませんね。

　それから、ユーモアのセンスと聞くと、笑わせる能力を想像すると思うのですが、ユーモアのセンスは、みなさんの想像している笑わせる能力と、「ユーモアを鑑賞して味わう」という能力の2次元からなっていると主張する研究者もいます。

　鑑賞して味わう、ということは人が話している内容から、面白いところを見つけて笑ったり、それを周りの人に伝えたりすることです。この能力も実はすごく大切で、自分の話をよく聞いてくれたり、相槌を打ってくれたり、笑ってくれたりする人は、人から好かれ、その人がいないとなんとなく盛り上がらない、という必要とされる存在になることができるのです。

ー面白い話をしようとするだけでなく、人の話から面白い部分を見つけることも大切なのですね。

　先程もお話ししたように、日常の話にオチをつけて面白く話すことは創造性や知性が必要で、とても難しいことです。無理に面白い話をすることに固執しなくていいと思います。自分の失敗談を話せば笑いはとれるし、友達が話していることを面白く聞いてあげれば、その集団の中で大切な存在にもなれるのかな、と思います。

ー笑いを取る方法は面白い話をするだけではないのですね。私も実践していきたいと思います。ここまで、貴重なお話をありがとうございました！