Q.相手に気付かせずに距離を置く方法はありますか?
この方が回答してくださいました!
公認心理師・臨床心理士。大学院修了後は、精神科や児童相談所、刑務所などで勤務。現在は中学校・高校のスクールカウンセラーを勤めつつ、大学の非常勤講師やライティングの仕事にも取り組んでいます。
相手と自分との間に「波風を立たせない(変化を起こさない)」ことをとても大事にしておられるのを感じました。「相手に気付かせずに距離を置く方法」を模索しているのも、「距離を置きたい」以上に「相手に気付かせて傷つけたり、相手と自分とでトラブルになったりといった変化が起きるのが嫌だ」という気持ちが勝っているのだと思います。
ただ、
・波風を立たせたくない質問者さん
・何も気づいていない友人
という2人が距離を置くのは、きわめて困難でしょう。「距離を置く」ことは明らかに変化ですし、変化は多少なりとも波風を立たせるものだからです。
もし、波風を立たせないように静かに距離を置いても、何も気づかない友人は普通に話しかけてきます。質問者さんは「波風を立たせたくないから今日だけ相手しよう」と思って、いつも通りに話を聞くのではないでしょうか。すると、友人は「楽しかった!明日も話そう」なんて思うかもしれません。毎日こういうパターンが繰り返されて、いつしか関係は元通りです。
アサーションで自分の感じたことを主張しよう
変化を起こすために波風が立つのは仕方ありません。ただ、デメリットが最大限少ない方法を選ぶことはできます。 いきなり「あなたの価値観は私には合わないから絶縁しましょう!」と伝えると、相手を戸惑わせたり、怒らせたりして、大きなトラブルに発展するかもしれません。そこで、おすすめなのが「アサーション」です。アサーションは、自分も相手も大切にしながら自己主張を行う方法です。
DESC法で伝えると相手に受け止めやすい主張ができる
アサーションでは「DESC法」という4つのポイントを押さえた主張を大事にします。
・Describe:客観的な事実を伝える
・Express:自分の意見や感情を伝える
・Suggest:解決策を提案する
・Consequence:提案した結果どうなるかを伝える
例えば、
D:「いつも〇〇の話題が多いよね」
E:「でも、私は最近ちょっとついていけてないんだ」
S:「××の話はどう?」
C:「××の話だったら一緒に楽しめると思う」
といった形で伝えると、「『価値観が共有できていない』という問題はあるけれど、問題を軽減するための代替案を考えてみたよ!私とあなたとの関係は大切にしたいんだよ」というメッセージを伝えられます。
食い下がられても諦めず伝え続けることが大事
ただ、友人は諦めないかもしれません。「え~、だって〇〇の話題、面白いじゃん。話そうよ」「なんで?あのとき〇〇のネタで笑ってたの嘘だったの?」など食い下がられる可能性はあります。「波風立たせたくない」という思いが強い質問者さんに、たくさんの波をぶつけてくるのです。そうなると、「波風立たせたくない」という気持ちがくすぐられ、「確かに〇〇も好きだけどね…」など、合わせてしまいそうになるかもしれません。 それでも我慢です。諦めずに「あの時は面白いと思っていたけれど、今はもう〇〇は好きじゃないんだ」など自分の思いを伝え続けましょう。