Q.クラスで不登校になっている人がいます。どうするのが彼のために良いでしょうか。
この方が回答してくださいました!
教育方法学・授業実践開発を専門とし、メディアリテラシーやキャリア教育、いじめ防止などに取り組む。文部科学省や内閣府などの委員を歴任し、青少年のネット利用や教育政策にも関与。『ケータイ世界の子どもたち』『いじめで子どもが壊れる前に』など著書多数。教育現場と社会をつなぎ、時代に応じた授業づくりを推進している。
相手に声をかけるときは、「相手がどうするか」ではなく「自分がどう感じているか」を主語にすると伝わり方が変わります。
「がんばって」「きっと大丈夫」と言うと、励ましているつもりでも、「君ががんばれ」「君は大丈夫」と相手にプレッシャーをかける形になりやすいのです。受け取る側は、「自分の気持ちをわかってもらえていない」と思ったり、「無理に元気づけられている」と感じたりして、かえって重荷になることもあります。
何気ない話が相手の心を軽くする
一方で、自分を主語にすると押し付けがましくなりません。「心配してるよ」「また一緒に勉強できるのを楽しみにしてるよ」といった言葉なら、自分の気持ちを伝える形になるので、相手は素直に応援として受け取りやすくなります。
また、「返事はいらないんだけど、今日こんなことがあったんだ」と、自分の出来事を軽く報告するのもよい方法です。相手に負担をかけずに、「君のことを気にかけているよ」という気持ちを伝えられるからです。
「Iメッセージ」で思いやりを届ける
こうした言い方は、心理学者のトーマス・ゴードンが広めた「Iメッセージ」という考え方につながります。 ゴードンは、親や先生が子どもと関わるときに、「Youメッセージ」(=相手を主語にした言い方)ではなく、「Iメッセージ」(=自分の気持ちを主語にした言い方)を使うと、お互いを責めることなく建設的な関係が築けると考えました。
この考え方は本来、大人と子どもの関係に使われたものですが、友達同士でも応用できます。特に受験期のように心が敏感になっているときには、ちょっとした言葉の選び方が大きな影響を与えることがあります。だからこそ、「自分を主語にする」という工夫は、小さいようでいて相手を支える大きな力になるのです。