Q.友達に自分から謝りたいと思っているのになかなか謝ることができません。
        
    
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教育方法学・授業実践開発を専門とし、メディアリテラシーやキャリア教育、いじめ防止などに取り組む。文部科学省や内閣府などの委員を歴任し、青少年のネット利用や教育政策にも関与。『ケータイ世界の子どもたち』『いじめで子どもが壊れる前に』など著書多数。教育現場と社会をつなぎ、時代に応じた授業づくりを推進している。
私たちはつい、「謝れば許してくれる」と考えてしまいがちです。しかし、実際はそんなに単純ではありません。たとえば、相手があまり気にしていなかったり、もともと悪意がなかったりする場合は、特に謝らなくても自然に許してもらえることもあります。
逆に、相手が深く傷ついていたり、自分の謝り方が表面だけのように見えたりすると、「反省もしていないのに謝るなんて失礼だ」と思われ、かえって相手の怒りを大きくしてしまうこともあります。
謝る必要があるかは状況しだい
では「謝らないほうがいいのか」というと、そうでもありません。謝らなければ謝らないで、「悪いことをしておいて何も言わないのか」と、相手がさらにつらく感じることもあります。「謝ればいい」「謝らないほうがいい」と決めつけず、相手の気持ちや状況を考えてみましょう。
自分の気持ちを正直に話してみよう
大事なのは、謝罪を「許してもらうための手段」と考えないことです。謝ったからといって、相手の心の傷がすぐに消えるわけではありません。むしろ、謝罪は「これ以上相手を傷つけないための行動」と考えることが大事です。
たとえば、「許してほしいとは言わないけれど、本当にごめんなさい」と伝え、自分がなぜそんなことをしてしまったのか、これからどう直そうとしているのかを正直に話すことが大切です。そうすることによって、少なくとも「謝罪もない」という理由で相手の苦しみを増やしてしまうことは防げるはずです。
相手を不快にしない気持ちを大切に
一度してしまったことをなかったことにすることはできません。それでも私たちは、友達や周りの人と一緒に生活している以上、ときには相手を傷つけてしまうことがあります。
だからこそ、謝罪をするときは「相手に余計な苦しみを与えないようにする」という気持ちを大切にしたいものです。謝ることは勇気のいる行動ですが、その勇気はきっと相手にも伝わり、関係を少しずつ前に進めるきっかけになるはずです。