Q.受験うつ病みたいな症状が出てしまい、教科書を読んでも頭に入らないことや、集中ができなかったり、何に関しても興味がわかなくなったりしました。家族にあまり迷惑をかけずに治す方法はありますか?
この方が回答してくださいました!
九州大学大学院人間環境学府博士課程単位取得退学。博士(心理学)。公認心理師、臨床心理士。専門は学校臨床心理学、教育相談。公立学校のスクールカウンセラーとして、子どものメンタルヘルス支援等にも携わる。
うつのような症状は、必ずしも「心のストレス」だけが原因ではありません。実は、身体の病気が関係している場合もあります。以前にも同じような症状を経験しているということなので、自己判断せずに一度、内科などで身体の病気がないかどうかを確認してみてください。
また、高校2年生のときに一度症状が落ち着いたという経験は今回の症状を和らげていくヒントになります。症状が落ち着いた時期の生活や考え方を振り返り、「何が回復に役立ったのか」を整理してみるとよいでしょう。
身体が健康になれば、心も健康に
心と身体は密接に関係しています。そのため、身体をリラックスさせることが心の安定にもつながります。軽く汗をかく程度の運動や、寝る前のストレッチなどで、無理のない範囲で身体をほぐす習慣を取り入れてみましょう。
ゆっくりとお風呂に入ったり、好きな香りで癒されたりするのもよいでしょう。自分が少しでも「楽しい」「ほっとできる」と感じられることを意識的に生活の中に取り入れてみることが、回復への一歩となります。
「考えすぎ」?自分の考え方のクセを知ろう!
うつの症状の背景には、「考えすぎ」が関係している場合があります。たとえば、「失敗した=自分はダメだ」と極端にとらえてしまうと、自分を追い詰めてしまいやすくなります。
まずは、自分の考え方の傾向を知ることが大切です。「どんなときに考えすぎてしまうのか」「どんな思考パターンが多いのか」 といった点を振り返り、少しずつ柔軟に受け止める練習をしてみましょう。
こうした考え方を見直す方法は、心理学では「認知療法」と呼ばれています。もし興味があれば、公的資格を持つ専門家が書いた本を参考にすると安心です。
一方で、何もする気が起きないときは、無理に頑張ろうとせず、信頼できる医師やカウンセラーに相談することも「自分を大切にする行動」のひとつです。
受験と心のバランスを取るためには
受験期は、多くの高校生が大きなストレスを感じやすい時期です。受験勉強と心の健康、どちらを優先するか悩む人も多いでしょう。心理学を専門とする立場からいえば、少し受験を遅らせてでも心を整えてから受験に臨むことが望ましいです。とはいえ受験は人生の一大イベントですので、そう簡単にはいかないですよね。
大事なのは、バランスを取ることです。自分の心と相談しながら、「少しずつ」「自分に合ったやり方で」進めていくように、日々の小さな目標を重ねていきましょう。そうしていくうちに、自然と気持ちも落ち着いていきます。焦らず、ゆっくり進んでいきましょう。応援しています。