Q.過去にとらわれず自信を持って生きていくにはどうすればいいですか。
この方が回答してくださいました!
大阪大学人間科学部卒業、京都大学大学院教育学研究科修士課程臨床教育学専攻修了、京都大学大学院教育学研究科博士後期課程教育方法学専攻修了、奈良女子大学文学部助手、福島大学人間発達文化学類助教授・准教授、兵庫教育大学大学院学校教育研究科准教授を経て、現職。青年心理学,自己論、特に青年期の自己形成過程に関する研究を専門分野とし、青年期の自己形成過程を明らかにすべく、青年の自己意識や自己感情の問題に取り組む。
つらい経験、心に深く刻まれますよね。そんな中で、これまであなたはどうやって生きてきたのでしょうか。きっと何とか前向きに生きようと、努力されてきたのではないかと想像しています。終わったことだ、過去なんだから気にしないようにしよう、と。でもなかなかうまくいかなくて、こういう質問をされたのではないかなと、そう想像して答えてみますね。
まずはその努力がうまくいかなかったことについて。気にしないようにしよう、考えないようにしよう、とするのはとても難しいことなのです。「気にしないようにしよう」と心がけている限り、そのことを気にしてしまう状態から抜け出せないんですね。 そして、人は、ポジティブな出来事よりもネガティブな出来事の方を強く意識し、また、長く記憶してしまう傾向があります。
さらにいうと、そこからあれこれ考え出すと、「そういえばあのときも…」と似たようなつらい出来事がどんどん思い出されて、「これまで何にもいいことがなかった」というような思い込みに至ってしまうこともあるものです。それは、思い込みなんだけど、でも、そう思い込んでしまっている人にとっては、それが「リアル」なんですよね。自分でどんどん自分を不幸にするストーリーにはまりこんでしまう。 人間の「考える力」は、こういう副作用をもたらしてしまう一面もあるのです。
心が傷ついていることを認めよう
そもそも考え方を前向きにしていく前に、気にしないといけないことがあります。あなたの心は傷ついているのではないか、ということです。私も、自分に対して99人が嬉しいことを言ってくれても、1人が否定的なことを言ったらその1人の言葉が頭から離れないことがあります。そんなとき、99人の人が言ってくれた嬉しい言葉を自分に言い聞かせて気持ちを立て直そうとします。それがうまくいくときもありますが、やっぱり気分が晴れないこともあります。頭では分かるのですが、心が整理できないのですよね。それはやっぱり、心が傷ついているからです。そこの気持ちを癒やせない。
自分を癒してあげよう
もしもあなたの心が傷ついているのなら、自分が悲しい気持ちになったこと、傷ついたこと、そのことをしっかりと認めて、その気持ちを抱いていた自分を癒やしてあげましょう。「悲しかったんだな」「つらかったんだな」と、当時の自分を慰めてください。もしかしたら今も悲しいかもしれませんね。その気持ちをただただ受け止めてください。そして「それでも折れずにやってきたんだな」と、自分をいたわってあげてください。
つらいことがありながらも、それでもきちんと生活を続け、そして、なんとか前向きに生きたいと思っているのはあなたの強さです。無理に前向きな自分に変わろうとしなくても大丈夫です。あなたの中に、すでに前向きな気持ちがあるのですから、それを頼りに歩いていきましょう。心の傷の具合と、あなたの中の強さががんばれる具合とを見ながら、時にはゆっくり、時にはスイスイと。時には休憩したりもしながら。時間はかかるかもしれませんが、急がば回れ、です。
自分で自分を決めつけず、出遭う言葉や出来事を素直に受け止めよう
そしてもう一つ。過去にあなたにつらい思いをさせた人間関係と、今あなたが向き合っている人間関係は別のものです。たとえ同じ人であっても、時と状況が変われば、違う人みたいになっていることもあります。あなたの心の中に思っている「まわりの人たち」は、実際の「まわりの人たち」とまったく違ってしまっていることもあります。あなたが思っているよりも、まわりの人たちはあなたを嫌ってなんかいなくて、あなたを受け入れているかもしれないですよ。
もしそんな人に心当たりがあるなら、その人があなたに言ってくれる励ましや肯定の言葉は、しっかり受け止めてくださいね。自分が思っていることと違うことを言われてもなかなか信じられないかも知れませんが、あなたの心に栄養になるような言葉や出来事に出遭ったときは、心に留めるようにしてください。疑心暗鬼でもいいんです。「そういう風に思う人もいるのかあ」と、そんな感じでもいいので、記憶していってください。それが積もっていくと、いつか自分でも「確かに私にもそういういいところがあるな♪」と思える日がくると思います。
その日を楽しみに今日も頑張っていきましょう!