Q.どうしたら人を信じられるようになりますか?
この方が回答してくださいました!
公認心理師・臨床心理士。大学院修了後は、精神科や児童相談所、刑務所などで勤務。現在は中学校・高校のスクールカウンセラーを勤めつつ、大学の非常勤講師やライティングの仕事にも取り組んでいます。
「信じられるか」よりも「自分が仲良くしたいか」が大事!
裏切りが重なれば、「人間はみんな信じられない」と思ってしまうのも無理はありません。でも、本当に大切なのは、「相手が信じられるかどうか」ではありません。「あなたが仲良くしたいかどうか」です。とりあえずは相手を信じられなくても構いません。いま、あなたには完全に信じられるわけではないけれど、仲良くしていきたい友達がいる様子ですね。とても素敵です。
「信じられない」の割合を減らそう
あなたの心には「人間はみんな信じられない!」という思考が90%くらいを占めていそうです。(10%は「友達はちょっと信じられるかも」です。)「人間はみんな信じられない」の思考を0%にはできませんが、別の思考パターンを増やして、「人間はみんな信じられない!」の割合を減らすことはできます。
例えば、友達がそっけなく見えたときに「やっぱりこの子も信じられない!」と思うかもしれません。でも、いったん落ち着いて別の考え方を見つけてみます。「もしかすると体調不良かもしれない」「テストの点が悪くて落ち込んでいる?」などです。「人間はみんな信じられない!」以外に2つの考え方を見つけられれば、「人間はみんな信じられない!」という思考の割合は単純計算で約30%にまで低下します。それだけで心が楽になることもあります。
慣れないうちは難しいかもしれません。自分だけで一生懸命考えず、ほかの人(家族・友人など)に「同じ状況だったらどう考える?」と聞いてみると考え方の幅が広がります。好きなアニメのキャラクターや俳優・アイドルならどう考えるかを想像してみても良いでしょう。
「人間はみんな信じられない」は真実か否か検討しよう
「人間はみんな信じられない」という考え方が真実か否か、検討してみる方法もおすすめ。
・「人はみんな信じられない」が真実だという「根拠」
・「人はみんな信じられない」が真実ではないという「反証」
の両方を考えてみるのです。
今回の相談文からは、
【根拠】付き合った子に彼女がいた。付き合った子から何度も嘘をつかれていた。
【反証】友達は実際に信じられないような行動をとっていない。信じられないのは「みんな」ではなく「付き合った子」ではないか。
などが示せるかもしれません。
ここに書かれていない「根拠」も「反証」もあるでしょう。考えてみてください。100%の真実ではないことがちゃんと証明できれば、「少なくとも友達は信じよう」と思えるかもしれません。
「裏切られなかった」を積み重ねることも大切
お友達との間でこれから先も何度も何度も「信じられない」と思う瞬間があると思います。それでも仲良くしたい友達なら、とにかく一緒に過ごしてみてください。多くの場合は裏切られることもなく、「なーんだ、私の考えすぎだった」と思えるはずです。
「人間はみんな信じられない」はあなたを守るための思考です。そこに「なーんだ」と思える体験を何度も重ねることで、「あれ?そんなに自分を守らなくても大丈夫そうだ」と心が気づけば、「信じられない人もいるけど、それなりに信じられる人もいる」という現実的な思考に和らいでいくでしょう。