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外資系IT企業 編
1939年にアメリカで創業したヒューレット・パッカード社(HP)は、世界トップクラスのシェアを誇るIT機器総合メーカーだ。一般にはパソコンやプリンターなどの製品が馴染み深いが、そのビジネスの範囲は多岐に渡り、法人向けサーバーコンピューターの販売、あるいは携帯電話の通信網や証券取引システムなど、私たちの生活に欠かすことのできない情報インフラの構築にも大きく貢献している。そこで今回は、日本ヒューレット・パッカード株式会社で営業5年目を迎える尹成大氏と営業本部長を務める貝野哲也氏のお二人にご登場いただき、グローバルIT企業で働く意義と醍醐味をお伺いした。
活躍の場は世界トップレベルの外資系IT企業!

日本ヒューレット・パッカード株式会社
エンタープライズ第二営業統括本部
エンタープライズシステム第一営業本部
尹 成大 (ユン ソンデ)
1986年 東京生まれ
2004年 埼玉県 私立早稲田大学本庄高等学院 卒業
2008年9月 早稲田大学 政治経済学部政治学科 卒業
2009年 日本ヒューレット・パッカード 入社
世界中で 30 万人以上の社員が活躍 ITベンチャーから世界的企業への飛躍

「私が携わっているのは、ITのなかでもインフラを担う部分です。わかりやすく言うと、サーバーという製品を販売しています。企業などで扱う情報を管理する際、社内や社外ネットワークの接続などを司る大きな企業向けコンピューター設備のことですね」
そう語るのは、今年で入社5年目を迎える尹成大だ。いまやITは、私たちの生活に切っても切れない存在である。例えば携帯メールを送る、飛行機のチケットを予約する、ATMでお金を引き出すといった行為を簡単に行うことができるのも、その後ろでコンピューターが忙しく働いているからだ。そしてそれらのコンピューターは、私たちが慣れ親しんでいるパソコンとは機能も大きく異なる。大量の情報を素早く確実に処理する能力が求められるため、「最先端のテクノロジー」と「優れた信頼性」を併せ持つ必要があるのだ。
IT先進国、韓国留学で芽生えたインターネットへの興味
「彼を見ていると、パソコンに詳しいだけではなく、情報収集も早い。同世代なのに、どうしてこんなにも情報の格差があるのかと驚かされました。それで自分もコンピューターを使いこなすことができれば、もっといろいろな情報を得ることができると思ったのです」
そこで就職先として選んだのが、日本ヒューレット・パッカード(日本HP)だった。また、尹にはIT業界で活躍したいという思いと同時に、グローバルな仕事がしたいという気持ちもあった。さらに、国籍や性別にとらわれずに人材を起用する「ダイバーシティ」にも積極的に取り組んでいる同社は、尹にとって理想の職場であった。
「英語を生かせる、さらに組織がフラットである点にも魅力を感じました。会社なので上司と部下の関係はありますが、弊社では年次や役職などに縛られずに仕事ができる風通しの良さがあるのです」
面接時には「建前ではなく、自分の思いを正直に伝えよう」と心掛けた。配属先はエンタープライズシステム第一営業本部。法人向けサーバーを販売する部署だ。「入社一年目は、とにかくがむしゃらにやっていました。一日でも早く仕事ができるようになりたいという思いが強かったですね」
顧客との地道な信頼づくりが大きな商談へ
「実は、そのお客様とは当時はまだ取引がなかったんです。その後、商談が成立した際に、震災のとき連絡をしてくれたのは私だけだったと仰っていただいて。そればかりが理由ではありませんが、受注につなげることができました。嬉しさと同時に、営業の仕事は細やかな気遣いが大切なんだということを改めて実感する体験となりました」
顧客との信頼関係が大きな成果をもたらしたのは、この例に留まらない。例えば、尹が入社以来、通い詰めていたある企業があった。しかしその会社はすでに競合他社と取引しており、HPの入る隙がない。
だが、尹は驚くべきアイデアを提案する。その競合他社からHPの製品を販売してもらおうというのだ。前例のないことであったが、最終的には尹の提案が採用されることとなる。これは上司も思わず唸るほどの秀逸なアイデアだった。「尹さんから買いたい」とまで言わしめた顧客との強い絆が、大きな成果をもたらした瞬間だった。
自分が客ならどう感じるか? 常に複数の視点を持ち、考える
「自分の中で納得できていないことをお客様にお話ししても理解を得られるはずがありません。自分がお客様だったらどう感じるかということを常に念頭に置きながら、その点だけはぶれないように気をつけています」
また、顧客の要望に応えるためには、社内でのコミュニケーション能力も必須となる。開発部門などの他部署とスムーズな折衝をしながら、スピード感を持って仕事を進めなければならないからだ。ときには、他部署の部門長に直談判することもある。そんなときにHP特有のフラットな社風が生きてくるが、尹はそこでさらにひと工夫を加えているという。
「社内での相談事も、できるだけ顔を合わせて話をするようにしています。そうやって、相談できる人をたくさん作るように心がけていますね。弊社のオフィスはフリーアドレス制になっていますから、どこに座ってもいいんです。ですから相談したい人のすぐそばに座るということも意識して行っています」
ときには新人教育にもあたるという尹。「後輩に質問されても、まだ答えられないことが多いんです」と謙遜するが、グローバルIT企業の営業マンとして着実なキャリアを積んでいるといえそうだ。(文中敬称略)
綿密な気配りと目標設定が導く自ら思考し実行する営業の育成

日本ヒューレット・パッカード株式会社
エンタープライズ第二営業統括本部
エンタープライズシステム第一営業本部本部長
貝野 哲也 (かいの てつや)
1968年 大阪府生まれ
1987年 大阪府立 市岡高校卒業
1991年 京都外国語大学 卒業
日本ディジタル・イクイップメント・コーポレーション(DEC) 入社
企業向けコンピュータ営業部署に配属
1998年 コンパックによるDEC買収
2002年 HPによるコンパック買収
2012年 現職に就任
営業のサポートに徹することが本部長の最大のミッション
日本HPの場合、まず、顧客ごとの「販売機会」を営業が提示することからスタートする。これは、日々の営業活動の中から、各案件がいつ頃、どのような営業チャンスがあるかということをシステムに入力することをいう。その「販売機会」のなかから、約3カ月の期間で目標達成を目指す。その目標数字が妥当であるかどうかを的確に判断することが、貝野の重要な役割となる。
「営業が持っている販売機会全体のなかから、達成可能な売り上げ目標を決めます。顧客ごとに案件の状況は違いますから、それを週次の報告で確認したり、場合によっては営業からの要請を受けたりして、マネージャーとして顧客と打ち合わせに臨むこともあります」
貝野の場合、数字を設定して部下に売上を求めるというだけではない。自らが進んで、営業しやすい環境づくりを行い、あるいは顧客との折衝も担う。「営業が日々の活動を進めやすくなるように気づかうことも、大切なミッションなのです」と、貝野は言い切る。
自分の殻を破れ!営業に不可欠な心得
具体的には、「顧客、あるいは社内の人間からの要請や依頼には、早く返事を出すことが肝要です。往々にして、10個の宿題があったときに10個が揃うまで何も返さない人がいます。しかし、相手にしてみれば3つのことを先に返してもらうほうがいいかもしれません。できることとできないことを明確にしておいて、まずは返事をしなさいということを部下にもよく言っています」
二つ目は「ネガティブな言葉を使わない」こと。「できない」と考えた途端に、その時点ですべてが終わってしまう。「ネガティブな言葉を使わない」ことで、自分の行動も前向きになると貝野はいう。
「例えば、できるかもしれないから待ってほしい、という具合に言い換えてみる。そこから、どうやったらできるのかと、議論を進めるんです。忙しい人たちに協力してもらうためにも、まずは自分の言葉を変えると効果的だと思います」
さらに貝野は「昨日できていたことを今日できるのは当たり前」とつけ加える。「昨日できていたことと違う何かができて初めて、自分の殻を破ることができるんです。若い営業には、こうした発想を持ってもらいたいですね」
チーム一丸となってゴールを目指す! 重要なことは「言葉にして」「誉める」こと
この「言葉にする」ことが、特に重要だと貝野は言う。ただし、ゴールを達成しようという掛け声だけでは人は動かない。目標設定をして、頑張れと発破をかけても人は頑張れない生き物だ。そこで貝野がたどりついた答えは「誉める」ことだ。
「人が動く理由は、他者から認められたいという思いが強くあると思います。ですから、賞賛すべき点はしっかり誉めたい。そのうえで、注意するべきときや正すときは、ときに厳しく対応する。先にダメといってしまうと、そこに存在している意義自体を否定されていると感じるものですからね」
「なかなかメンバーと深い話をする時間を持てない」と苦笑いする貝野だが、チーム全体への目配りを欠かすことはない。「職場で同じ時間を過ごすのだったら、気持ちよく過ごしたいですよね。そうすることで、チーム一丸となってゴールに近づいていくんじゃないかなと思っています」(文中敬称略)
Q&A
仕事をするうえで手放せない「三種の神器」を教えてください。

「パソコン」「リップクリーム」「スマートフォン」です。パソコンは一人一台。社内では大規模なチャットシステムが整備されていて、仕事の案件をリアルタイムで相談することができます。世界に32万人もの社員がいますから、まったく面識のない人から突然質問を受けることもあります。質問を投げかけるほうにとってはとても便利ですが、受けるほうは戸惑ってしまうこともありますね(笑)。