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英語教育業界

企業に英語試験のTOEIC®Programを提案し、英語力向上の手伝いをしている石川沙羅さん。幼いころから磨いてきた英語力で、日本と世界をつなぐ“かけはし”になりたいと意気込む。

企業の英語力向上を支援

「あなたと世界をつなぐ」を英語力で実践


一般財団法人 国際ビジネスコミュニケーション協会

IP事業本部 法人営業部 第二チーム


石川 沙羅  (いしかわ さら)

1997年

島根県生まれ

2012年

島根県立松江東高校入学

バレエへの情熱は簡単には捨てられなかったが、ストイックにバレエに打ち込んできた自信を、高2から勉強に注ごうと決意。厳しい決断だったが、未来のために必要な選択だと、前向きに考えたのが良かったと振り返る。

2015年

東京外国語大学 言語文化学部 英語科入学

2019年

大学卒業後、社会人向け公開型ビジネス研修の研修講師兼営業、幼稚園への外国人講師派遣業務を経て2023年4月よりIIBCに入職。

 ビジネスのグローバル化により、英語の重要性がますます高まっている。多くの日本企業が海外での事業を拡大しており、一部の企業では英語を公式の企業言語にしているほどだ。AI翻訳のめざましい進歩も、英語力の必要性を損ねることはないだろう。


 AIは簡単なコミュニケーションには十分かもしれないが、ビジネスにおける信頼関係の構築には、やはり自分の言葉でコミュニケーションをとることが必要だからだ。

 

 ただし、自分の英語がどれくらい通用するのかという現状認識は大切だ。単なる自己満足ではグローバル社会では通用しないと多くの人が確信する中、生きた英語コミュニケーションに必要な英語力を測るものさしとして注目を集めるのがTOEIC Programである。


 TOEIC Programとは、米国ニュージャージー州プリンストンにある世界最大の非営利団体ETSが開発した世界共通の英語力テストで、スコアの信頼性が非常に高いことに定評がある。また、日常会話からビジネスまでさまざまな場面がテストの題材になっているため、グローバル社会で通用する英語力を身につけるにはうってつけだとの声も。なかでも、TOEIC L&R※のスコアは、今や多くの大学や企業で留学や大学院進学、採用活動、昇進、昇格の判断基準として活用されている。※「TOEIC Listening & Reading Test」の略


 このTOEIC Programを日本国内で運用、普及活動を行っているのが、IIBC(国際ビジネスコミュニケーション協会)だ。法人営業部で働く石川沙羅さんは教育に関するいくつかの仕事を経て入職。理由は「好きな英語を生かして日本人の英語力向上に貢献したかった」からだ。


 「TOEIC Programは社員の英語習得のモチベーションを上げたり、英語コミュニケーションスキルのレベルを測定したりできることから、海外進出を進めている企業が積極的に取り入れてくれています。世界的に成長している企業を知るバロメーターとも言えます」


 実際、石川さんもさまざまな業界の企業を担当している。注目している業界について尋ねると、「日本の企業が事業継続や拡大をするためには海外進出は必然ですので、どの業界にとっても英語は必要なツールです。ユニークなところでは、殺虫剤の会社様にご提案したばかり。東南アジアではマラリアを防ぐために日本の殺虫剤が重宝されているそうで、直接ではありませんが、TOEIC Programを使っていただくことで、日本の技術を世界に届けるお手伝いができるのは、すごくやりがいを感じます」

勉強とバレエの両立に苦労した高校時代

 島根県松江市の城下町で生まれ育った石川さん。英語との最初の出会いは、なんと母親のお腹の中。もちろん本人は覚えていないが、胎教で英語の本を読み聞かせてもらっていたそう。一方、石川さんのもう一つの情熱の対象がクラシックバレエだ。始めたのは4歳のときで、幼稚園のお遊戯会でほかの子が踊る姿を見て「自分もやってみたい!」とやる気に火がついた。そのクラシックバレエが英語への興味をさらに深めることに。


 「島根にも、海外のバレエ団がたまに来ることがあって。そのときに興味を持ち、海外バレエ団のDVDを買ってもらってしょっちゅう観ていたので、より英語が身近な存在になりました」


 高校2年生までは、バレエで身を立てることが夢だったが、「将来を考えたときに、自分の能力的にもバレエ一本で食べていくのは難しい」と思い、悩んだ末、バレエを中断。受験勉強に切り替えることを決意する。


 そこで予備校として選んだのが、自宅近くにあった東進だった。受験勉強開始時から東京外国語大学を目指していたため、島根にいながらも難関大で求められる授業を受けられるのが大きな魅力だった。また、校舎には頑張る東進生が多く、校舎に行けば自然とやる気も出た。そして、見事、東京外国語大学現役合格を掴んだ。

大学時代の活動が教育分野を志すきっかけに

 東京外国語大学を選んだのは、好きな英語を学べることのほか、インドネシア舞踊やバリ舞踊、フィリピン舞踊、朝鮮舞踊など、さまざまな舞踊系のサークルがあったことも志望動機の一つだ。


 「オープンキャンパスや学園祭の雰囲気を動画で観て、国際色豊かで多様性を感じたので、そういった部分にも惹かれて希望しました」


 晴れて入学すると、諦めた夢を取り戻すべく、クラシックバレエ部に入部。3年次には部長を務めた。年2回の公演に向けて作品の振り付けやリハーサル、公演当日の舞台進行に夢中になった日々。さらに、ESS(英語サークル)のドラマ(英語劇)セクションにも所属し、さまざまな役を演じた。


 「特に、大学の文化祭である外語祭で英語劇『Grease』のメインキャストを演じたのは忘れられない思い出です。深夜にスタジオでダンスパートを練習するなど、本番に向けた準備や練習の過程で、英語科90人全員で一つのゴールに向かって力を合わせることに充実感を覚えました」こうした舞台芸術活動を経験したことが、現在の仕事にも役立っているという。


 「舞台度胸のようなものは身についたと思います。おかげで、大勢のお客様に対してプレゼンをしたり、初めてのお客様に説明をしたりする場面でも、思い切りやれるというか、動じないところはあるかもしれません」そもそも教育業界を目指したのも、バレエ部の部長を務めていた時の経験が大きい。


 「初心者から経験者まで誰でも入れるバレエ部で、未経験の方たちに一からバレエの基礎を教えました。その人たちが、ちゃんと舞台で立って輝く姿を見たときに、人の成長というのはとても素晴らしいなと思い、卒業したら教育業界で働きたいと決めました」


 新卒で社会人向け公開型ビジネス研修の研修講師兼営業として2年ほど勤務し、その後幼稚園への外国人講師派遣事業に2年ほど従事。そして現在のIIBCに入職した。その動機について石川さんは、「自分も高校時代からTOEIC L&Rを受けてきて、大学の入学時のクラス分けもTOEIC L&R。特に受験勉強中は、英語学習へのモチベーションになっていたので、今度はそのテストを広めていこうとの思いがありました」と語る。

好きな英語で多くの日本人と世界をつなぎたい

 石川さんは法人営業部の一員として、TOEIC Programの運営や質問対応に追われながらも、新規開拓に余念がない。今、日本全国のどの地域の企業でも海外に進出しない選択肢はなく、そこに大きな可能性を感じている。


 現在は新潟と長野を担当し、既存顧客へのフォローに加え、新規企業への飛び込み営業にも精を出す。「断られたりもしますが、地道に電話をかけて、会ってもらえると嬉しいですね」と語る。


 普段は日本人の人事担当者が顧客になるため、英語を使う機会は少ないが、たまにアメリカの本部のメンバーが来日した際や、各国のTOEIC運営団体との情報交換の際には得意の英語力を存分に生かしている。


 ユニークなところではこんな経験も。去年の10月に東京・立川市で開催された世界相撲選手権大会にIIBCのスタッフがボランティアで参加。石川さんは英語で相撲の決まり手を伝える場内アナウンスを担当した。


 「係の方が日本語で教えてくださる決まり手を、“That was a win by YORIKIRI(寄り切り)”という感じで読み上げるんです。西や東は“On the westside~”といった具合。大会は団体戦男子が22の国と地域、女子が12の国と地域から参加。個人戦には217人が参戦して、とても盛り上がりました。こうした貴重な経験ができるのも、今の職業の醍醐味です」


 今後の夢について尋ねると、「やはり英語力は生かしていきたいと思っています。IIBCのスローガンが“あなたが世界をつなぐあなたと世界をつなぐ”なので、それを自分の英語で実践していければ」と力を込めた。


 これからますますグローバル化が進む中で、石川さんのように語学力を武器に、人と人、企業と企業を繋ぐ役割を担う人材が、より一層求められていくだろう。

Q&A

元東進生の石川さん、東進生時代の思い出はありますか?

担任や担任助手の先生方に見守られながら、勉強に集中できる校舎の環境が非常に思い出に残っています。学校の定期テストでは基礎を定着させ、東進の授業では発展的な内容を学ぶというように、どちらも頑張って取り組んでいました。