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建設機械業界
社員一人ひとりの個性を尊重し、最大限に能力を引き出す。組織の未来をデザインする人事の仕事。高橋克幸さんの原点には、高校時代の陸上部での経験があった。
世界を舞台に未来を拓く
建設・工作機械で社会インフラを支える

株式会社小松製作所
人事部 人事グループ
高橋 克幸 (たかはし かつゆき)
1997
愛知県生まれ
2013
東京都 私立 明治大学付属明治高校 入学
2016
明治大学 経営学部 入学
2020
株式会社小松製作所 入社
同年6月 小山工場総務部総務課 配属
工場における人事労務業務全般を経験
2024
8月 本社人事部人事グループ 異動
全社事務系採用を担当し、現在に至る

建設現場で、巨大な機械がダイナミックに活躍する姿を見たことがあるだろうか。それらは、道路や橋、トンネル、ダムといった、私たちの生活に欠かせないインフラを整備するための縁の下の力持ちである。株式会社小松製作所(コマツ)は、そうした社会インフラを支える建設・工作機械の分野で、世界トップクラスのシェアを誇る日本を代表する企業だ。
「コマツは、これらの機械をただ製造するだけではなく、ICT(情報通信技術)を活用したソリューションを提供することで、建設現場の生産性向上、安全性向上、環境負荷低減に貢献しています。特にコマツが推進する『スマートコンストラクション』は、ICTを活用して建設現場の情報をデジタル化し、効率的な施工を可能にする画期的なソリューションです」と、高橋克幸さんは説明する。
例えば、建設現場の道を舗装するとき、従来は人が手作業で測量し、設計図に落とし込んでいた。しかし、スマートコンストラクションでは、ドローンで上空から撮影した3Dデータをもとに、ICT建機が自動で道をならすことができる。これは、工期の短縮やコスト削減、安全性向上につながっている。
高橋さんは、コマツの人事部で、全社採用を担当する。学生時代に培った経験と知識を生かし、コマツの未来を担う次世代の発掘・育成に情熱を燃やしている。
陸上部での経験が、今に繋がる

1997年、愛知県で生まれた高橋さんは、よく弟たちの面倒を見て、一緒にバスケをする活発な少年だった。幼い頃から人と接することが好きで、将来は小学校の教師になることを夢見ていた。高校は明治大学付属明治高校に進学し、陸上部に所属し、短距離走に打ち込んだ。
「陸上の練習は単調なのでモチベーションを維持するのが難しい。部長だったことと、弟が二人いて昔から何かを教えることが好きだったことから、どうすれば部員が楽しく、かつ高いモチベーションで練習に取り組めるか、常に考えていました。目的地もなく学校の周りを何周も走るより、それ自体が思い出になるような練習にしようと」
そこで高橋さんは、通常の練習メニューに加えて、遊びの要素を取り入れた変則的な練習メニューを考案。例えば、正月三が日には、ディズニーランドの近くをダッシュしたり、学校から遊園地までの往復15㎞をリレー形式で走ったりした。「自身がベストタイムを更新できたときよりも、なかなか記録が伸びない後輩に、どうすれば改善できるか理論立てて教え、その結果が出たときの方が嬉しかったですね。ただタイムを競うだけではなく、部員全員が楽しみながら成長できる。そんなチームを作りたかったんです。おそらく、根っからのマネージャー気質なんでしょうね」
大学受験は あくまで通過点

将来について改めて考えるようになったのは大学進学を考えたときだ。もともと人と話すことが好きで幼いころは小学校教員に憧れていたが、高校時代の陸上部での経験を経て、大学では経営学部で組織や人のモチベーションについて学びたいと思うようになった。
高橋さんが通っていた明治大学付属明治高校は、内部進学の推薦制度が充実していたが、推薦基準は厳しく、高校の成績だけでなく、TOEICや英検などの資格も必要だった。
「高校時代の勉学経験は今の仕事に大いに役立っています。もちろん受験に合格するための勉強も大事ですが、勉強のゴールは自分の人生を豊かにすることだと私は思います」
明治大学では、経営学部で組織論やマネジメントを学び、人のモチベーションを高める方法や、コミュニケーションが活性化する組織について研究した。また、学童ボランティアサークルにも所属し、子どもたちと遊ぶ中で改めて人と関わることの楽しさを実感する。
コマツへの入社 そして人事の道へ

大学3年の夏、高橋さんは就職活動を開始。当初は外資系コンサルタントに関心を持っていたが、大学のゼミの先生の勧めもあり、日本のものづくりに興味を持つようになった。
「さまざまなメーカーを検討する中で、コマツの建設機械の大きさと格好良さに惹かれました。さらに、OB訪問で話を聞き、福利厚生の手厚さや、スマートコンストラクションという革新的な技術開発に魅力を感じ、入社を決めました。入社前は建設機械についてほとんど知識がありませんでしたが、入社後の研修や工場での経験を通して、しっかり学ぶことができました」
「建設・工作機械」と聞くと、多くの人は「技術系」の人ばかりの会社をイメージするかもしれない。しかし、コマツのようなグローバル企業では、多種多様なバックグラウンドを持つ人材が活躍しており、事務系職も会社の重要な一員として発展に貢献している。その点も大きな魅力だった。
2020年に入社した直後は、小山工場の総務部総務課に配属。そこで高卒社員や事業所採用、就業管理、評価・査定、コンプライアンス対応など、幅広い人事業務を経験する。
「二年目からは就業管理を担当して、全員が20日間の有給休暇をきちんと取得できているか、残業時間は適切かなどを管理していました。4000人の従業員がワークライフバランスを取りながら働けるようにサポートするのは、責任重大でした。三年目以降は評価・査定も担当して、社員一人ひとりの評価やボーナスの査定を行う中で、人事評価の難しさや、社員のモチベーションを高めることの重要性を学びました。また、コンプライアンス対応や、社員の傷病対応、メンタル・フィジカルケアにも携わり、人事の仕事の奥深さを実感しました」
2024年8月、高橋さんは自ら希望して本社の人事部人事グループに異動し、全社事務系採用を担当することに。「本社への異動を希望したのは、社員のコミュニケーションやモチベーションに関わる仕事により深く携わりたいと思ったからです。父が人事の仕事をしていたこともあり、もともと人事に興味はありましたが、工場での経験を通して、より一層人にフォーカスを当てた仕事がしたいと思うようになりました」
現在の業務についても、夏はインターンシップ、秋は工場見学会、冬から春にかけては会社説明会や選考など、一年を通してさまざまな活動に携わっている。「学生の皆さんと直接話す中で、私自身の就職活動の経験も生かせますし、何より、学生の皆さんの成長に関われるのが嬉しいです」と高橋さんは笑顔を見せる。
現場を知るからこそ できることがある
工場では実務に重きを置いた仕事をしていたが、本社では「企画」という新しい領域にも挑戦している。人材公募制度の運営では、新しいシステムを導入することになり、業者と協力しながら、ゼロから制度設計を行う。大変だが、「社員の方々がより働きやすい環境を作るためにさまざまなアイデアを出し、形にしていくのは楽しいですね」
こうした挑戦ができるのは、工場勤務を経験したことが大きいと高橋さんは語る。
「コマツのモノづくりの考え方には3現主義(現場・現物・現実)という言葉があるのですが、これは、何か問題があればまず現場に行き、自分の目で見て、きちんと現実を受け止めるという意味です。人事の仕事も、社員の方々と直接会って話すことで、初めて分かることがたくさんあります。工場での経験は今の仕事に大いに役立っています」
高橋さんは学生時代から実際に自分の目で見て、相手の話を直接聞くことを大事にしてきたという。実は根っからのコマツ人材で、人事の仕事はきっと天職だ。
Q&A
工場勤務時代と本社勤務時代で、仕事の進め方や働き方に違いはありましたか?
工場勤務時代は、現場に合わせて働く必要があったので、勤務時間や働き方は若干融通が利かないことがありました。本社勤務になってからは在宅勤務やフレックスタイム制をより一層活用でき、時間的・空間的裁量を持つことができた一方で、自分で考えて行動しなければならないので、責任も大きくなったと感じます。