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インターネット業界編
サイバーエージェントが手掛ける無料のインターネットテレビ局「ABEMA」は、2016年4月に開局以来、大きな成長を遂げている。その立ち上げメンバーで、現在、局長としてチームを率いているのが、福地美咲さん。小学生の頃から「チームでなにかを作り上げるのが好き」で、大人になった今もリーダーを務める福地さんの歩みとは?
ABEMA局長32歳
得意技は「巻き込み力」
生粋のリーダーが笑顔でチームをけん引
得意技は「巻き込み力」
生粋のリーダーが笑顔でチームをけん引

株式会社サイバーエージェント インターネット広告事業本部 ABEMA局 局長
福地美咲 (ふくちみさき)
1988年 福島県福島市に生まれる。小学生の時、リーダーの魅力に目覚める。
2007年 福島県立福島高校でハチマキを巻いて猛勉強。念願の慶應義塾大学法学部へ。4年間、サークル活動で完全燃焼。
2011年 サイバーエージェント入社。その年度の新人賞獲得。
2012年 営業マネージャーに抜擢。
2013年 Ameba局の広告部門マネージャーに就任。
2016年 ABEMA局のマネージャー就任。ABEMAの立ち上げに奔走。
2019年 ABEMA局の局長に昇格。現職。広告セールスの責任者として奔走する。

6年目に入ったこの春も、十代に人気のモデルを主役に据えたドラマや、ガールズグループ「NiziU」のオリジナル番組などを製作・放送して話題を呼んでいる。このABEMAを局長として率いているのが、福地美咲だ。福地は2019年、30歳の若さで局長に抜擢された。彼女には、これまでの人生で二度、「自分を褒めてあげたい」と思ったことがあるという。その出来事を中心に、福地の歩みを振り返ろう。
小学生のときから生徒の中心的立場に 高校時代は慶應義塾大学目指して猛勉強

「私は人を強く引っ張るタイプではないんですけど、たくさんの人とチームを組んで、みんながやりたいこと、喜ぶことを一緒に作っていくのが楽しいし、好きなんですよね。中学生の時はすでに、自然とリーダー的な役回りになっていました」
しかし、高校生になると勉強に集中するようになった。なぜ?福地は中学生の頃から、自分の知る世界をもっと広げていきたいと感じるようになり「早く東京に出たい!」と思うようになっていた。目標は、自由でおしゃれなイメージがあった慶應義塾大学に行くこと。その目標を叶えることを、最優先にしたのだ。
高校3年生になり、受験勉強が本格化すると、自室の壁に慶應の写真を貼り、ハチマキを締め、机にかじりつくようにして勉強に励んだ。朝5時には登校して自習し、放課後から23時頃に就寝するまで、食事の時間以外はひたすら問題を解いた。
「私は努力型なので、慶應に合格するためには人よりも量をこなすしかないと思っていました。めちゃ泥臭いし、効率も良くなかったかもしれないけど、そこまでやらないと後悔する気がしたんですよね。この先に憧れの東京があると思っていたから、つらいという感覚はありませんでした」
猛勉強の甲斐あって、2007年、慶應義塾大学の法学部政治学科に合格。入学後は勉強以外に、夏に海の家を運営するサークル活動に熱中し、「最高の4年間でした」
就職活動では、「チームを組んでプロジェクトを進め、成功させる」という自分が好きで得意なことを仕事にしようと、広告代理店を志望。大手広告代理店とサイバーエージェントから内定を受け、「スピード感のある、風通しのいい環境」に惹かれて、サイバーエージェントを選んだ。
福地は、思い残すことがないほど大学生活を満喫し、希望どおりに就職できたのは、がむしゃらに受験勉強をしたからだと振り返る。
「本当に高校生の時の自分を褒めてあげたいですね。あのときがあったから、今がある。人生のターニングポイントだったと思います」
得意技を生かして 新人賞を獲得 2年目には マネージャーに昇格

同期入社のメンバーのモチベーションが驚くほど高く、「絶対に新人賞を獲る」と宣言をしていた。結果的に、新人賞の栄冠を手にしたのは「特に勝気な性格でもないし、誰かとバチバチに競り合うのは苦手」な福地だった。彼女は、ここでも自分の得意技を生かした。
「新入社員だから知識も経験もないし、一人で考えても答えが出るわけがないですよね。だから、どこを誰にどう手伝ってほしいかを明確にしたうえで、先輩に相談し、助けてもらいました。自分だけでやることを成果だと勘違いせずに、周りを巻き込むことを意識したんです」
新人賞を獲得して以降も、周囲の協力を得ながら営業成績を伸ばしていた福地が、役員に呼ばれたのは三年目の途中。「アメーバを伸ばしてほしい」というミッションを与えられ、25歳にしてアメーバブログなどの自社コンテンツを扱うアメーバ統括本部の広告部門マネージャーに就任した。
ここでは、アメーバブログやアバターを使ったコミュニティサービス「アメーバピグ」を使った広告商品を企画し、ソリューション営業と協力して販売するのが仕事。「ブログやピグの強みがなにかを把握したうえで商品を作るのですが、クライアントがその商品を活用することでどんな効果や価値があるのかを説明できなければいけません。ソリューション営業とは使う頭が違うし、明確な正解もないので、難しかったですね」
例えば2015年には、東京駅開業100周年を記念した企画を実施。アメーバピグの仮想空間に東京駅の地上エリアと地下の商業施設を再現し、アバターが行き来しながら交流するという企画で、ピグ内に再現した店舗は、東京駅のリアル店舗でも売り上げが伸びたという。ピザーラとのコラボでは、ピグの仮想空間の中でピザをモチーフにしたアイテムを販売。「アメーバピグ」と「アメーバピザ」を掛けた、史上初のコラボレーションCM制作まで発展した事例となった。
ABEMAの立ち上げメンバーに 人生最大の決断で30歳の局長が誕生

ABEMAでの仕事は、基本的にアメーバ統括本部時代と変わらない。福地はABEMAの製作チームが企画する番組をコンテンツにさまざまな広告を生み出し、販売に東奔西走した。その成果は、ABEMA広告の売上高が2016年の開局からほぼ右肩上がりで伸びていることからも伺える。
迎えた2018年、唯一の上司だった局長が会社を離れることになったことで、福地は重大な選択を迫られた。自分がやりますと手を挙げて局長を引き継ぐか、マネージャーにとどまってほかの人に任せるか。
局長はABEMA広告の全責任を負うリーダーで、戦略立案から執行まですべての権限を持つ。最初は「さすがにそこまで自信がないし、怖いな」と思っていたそうだ。しかし年末の休日、毎年恒例で一年間の振り返りと自己分析をしているときに、ふつふつと熱い気持ちが湧き上がってきた。
「こんなに想いをかけてやってきて、メンバーもついてきてくれているのに、ほかの人に任せるのは違う」
年が明けてからすぐ担当役員を訪ね、「局長をやりたいです」と宣言。それが認められて、30歳の若き局長が誕生した。この決断をしたことが、高校時代に続いて人生で二度目の「自分を褒めてあげたい出来事」だという。
それから二年。局長のプレッシャーは想像以上で、マネージャー時代よりも壁にぶつかることが増えた。しかし、ABEMAという会社の今後を担う事業を成長に導くために、福地は毎日を全力で走り抜ける。持ち前の笑顔を忘れずに。
「私は、人生は幸せに生きるためにあると思っています。仕事をしていて一番幸せを感じるのは、チームのみんなでなにかを成し遂げた瞬間。今日もいい一日だったなと思える日を増やしていきたいですね」