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自動車業界
大学院を経て入社した日産自動車で新車の開発に携わる折茂秀一さん。なによりもユーザー目線を大切にしてこれから世に出るクルマと向き合う。
モノづくりが好きで自動車メーカーに入社
開発に携わった電気自動車がカーオブザイヤー受賞

カスタマーパフォーマンス&車両性能技術開発本部チームリーダー
折茂 秀一 (おりも しゅういち)
1982
神奈川県生まれ。父親が転勤族で、3歳から6歳まで香港で過ごす。幼少期は「ぼんやりしていて、あまり記憶もない」。小学生のときの趣味は、虫捕り。中学生になってから卓球を始めた。
2002
愛知県 私立 栄徳高校入学。得意科目は数学Ⅲ。この頃から「ものづくりをしたい」と思っていた。
2005
金沢大学工学部機械工学科に入学。「スキー部で全国大会に出たのはいい思い出」。
2009
金沢大学大学院自然科学研究科修士課程入学。
2011
日産自動車株式会社に入社。
一年目からインド人、メキシコ人、タイ人と仕事。高校で勉強した文法をベースにして英会話習得。「サクラ」の担当になった時の感想は「面白そう!」。

日産自動車のカスタマーパフォーマンス&車両性能技術開発本部で、チームリーダーとして「サクラ」の開発に携わった折茂秀一さんは、固唾を呑んで発表を見守っていたという。
「決まるかな、決まるかなとずっと見ていて、発表の瞬間に、やった、獲れた!と嬉しかったですね」
カーオブザイヤー三冠に輝く日本を代表するクルマの開発に携わったことは、エンジニアとして名誉あることだろう。折茂さんはどのような道のりを歩んできたのだろうか?
初めて手にした携帯電話を解体 モノづくり志望で工学部を受験

モノづくりに興味を持つようになったのは、地元の中学に通っていたとき。3年生のときには、初めて買ってもらった携帯電話をいきなり分解した。「ホームセンターで買った専用ドライバーでなかを開けて、こういう基盤が入っているんだ、液晶ってこうやってついてるんだと観察しました。外側のプラスチックのところにラッカースプレーで色を塗ってみたり。もとに戻すのに苦労しましたね(笑)」
この頃から数学と英語が好きで、ついついその2教科ばかり勉強して、受験勉強のときにもほかの教科を後回しにしてしまった。
その結果、第一志望の高校は不合格。「もっとバランスよく勉強すればよかった」と後悔を抱えながら、高校に進学した。高校は特別進学クラスで、「次こそは」と挽回を誓って勉強に取り組んだ。塾にも通い、大学受験に備えた。
部活には入らず、自宅でのパソコンが息抜きだった。着メロを自作したり、待ち受け画面に使う画像を加工したりするのが楽しかったと振り返る。
大学受験時には、得意の数学と英語で勝負できる名古屋工業大学と金沢大学に志望校を絞った。「高校でも得意不得意の差があってセンター試験で点が取れないので、二次試験に懸けました。理系に行きたいなら地方の国立に入っておけば間違いない、研究環境もいいし、就職も有利と塾の先生に後押しされたのも大きかったですね」
金沢大学の工学部機械工学科に進学した折茂さんは、スキー部の活動に打ち込んで全国大会に出場。「摩擦現象のメカニズム」など専門的な授業も自分の興味関心に合っていたそうで、学生生活を謳歌した。
大学卒業の年、リーマンショックが起きたこともあり、同じ学科の学生の半数以上が大学院に進んだ。研究室でレーザー加工を学んでいた折茂さんも同じ道を選び、修士号を取得。
その後の就職活動では当時は選択肢が豊富にあったというが、その中で、なぜ日産自動車の採用試験を受けることにしたのだろうか?
「大学院1年生のときに工作機械のメーカーにインターンシップに行ったんです。そのときに思ったほど楽しめなくて、お客さんが使う姿がはっきりイメージできる製品作りの方がおもしろいだろうと思ったんですよね。僕は大学時代に車とバイクに乗っていたので、自動車メーカーがいいなと」
自らの希望で車両実験部に異動 徹底的に検証した日産初の軽EV

折茂さんはそこで、溶接ロボットが40秒かかっていた作業を30秒に短縮するための改善策を練ったり、溶接工程用に開発された接着剤、シーリングがしっかり塗れているかを検査するカメラ検査装置を開発したりしていたそうだ。
4年間経験を積んだのち、希望が通って、冒頭に記した現在の部署に異動した。
「ブレーキ性能や加速性能、ハンドリング性能などクルマの機能だけでなく、メーターの見やすさ、カップホルダーの使いやすさなどお客様視点でクルマ全体の実験をする部署です」
折茂さんは、この部署で日産サクラの開発に携わった。このクルマは日産初の軽EVというだけでなく、社内では「ビヨンド・ザ・軽」というフレーズで軽自動車のこれまでの概念を超えるようなクルマにしようという目標を掲げていた。そのため、実験すべき項目は多岐にわたった。
日本の自動車メーカーのなかでも日産はEVのパイオニアだが、軽自動車のコンパクトなボディをEV化するのは、初めてのこと。軽自動車は、日本の狭い路地にも適した、小回りの利く小型車両であり、今や国内でも4割近いシェアがある。「本当に過不足なく動くのか」を確かめるため、上り坂を時速100キロで走行するなど負荷の高い走行試験を繰り返した。
折茂さんは以前、同じEVである「日産リーフ」の開発にも関わっていて、その際に気がついたポイントを反映させたという。「EVにはワンペダル機能というのがあって、減速したいときにブレーキペダルを踏まなくても、アクセルペダルだけである程度の速度のコントロールができます。アクセルを緩めた時の減速が『リーフ』より滑らかになればより快適なクルマになると思って、取り入れました」
一言で表せば「ワンペタル機能の改善」だが、簡単なことではない。一日中、ハンドルを握りながら何度も加速したり、減速したりを繰り返すと気分が悪くなるそうで、酔い止めが欠かせない日々が続いた。
ほかにも走行中、車内に響くタイヤの音を抑えるために工夫を凝らしたり、車内に搭載する7インチの液晶ディスプレイに、必要な情報をいかにわかりやすく、見栄えよく表示するかを検証したりと、細部に至るまで徹底検証が行われた。
意識したのは「ビヨンド・ザ・軽」 発売直後から注文が殺到した「サクラ」

「『サクラ』のハンドルには革が巻いてあって、見た目も握った感じもすごくいいんですよ。プラスチックなら安く済むんですけど、『ビヨンド・ザ・軽なんだから、お客様が目にするところ、手にするところは特にこだわろう』ということで、ほかの軽自動車の相場を超えるような高級な質感に仕上げました」
「サクラ」は、日産の運転支援技術「プロパイロット」も採用。高速道路を走っている時、ハンドルを握った状態でアクセルを離しても、車間距離や車線中央をキープする手助けを行う。
日産の最先端の知見と技術を盛り込んだ「サクラ」は大きな注目を集め、発売開始から4カ月半で受注台数が3万3000台を超えた。
ユーザーの反響は、折茂さんにとって大切な指標の一つ。SNSで「雨の日に運転したけど、すごく静かだった」というコメントを見たときには、「良かった!」と手応えを感じたという。
「クルマの開発に答えはありません。先が見えないときもあります。そのようなときは、自分を信じてということではなく、お客様に満足してもらうという目的に向かってとにかく手を動かし続ける。これからもお客様に喜んでもらえる車を作り続けたいですね」
最近、町なかで「サクラ」を見かけるようになったという折茂さん。その度に、心のなかで「いつもありがとうございます」と頭を下げる。
Q&A
いろいろな国の人と英語で話すコツは?
意外に高校の時に習った文法や構文が使えるので、しっかり勉強するといいです。
どういう人と一緒に働いてみたい?
高校、大学で学んだことを実際の仕事につなげて考えられる人ですね。